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文庫 第51回日本推理作家協会賞 受賞作品

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みんなのレビュー277件

みんなの評価4.0

評価内訳

269 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本

強烈!

2004/02/20 13:55

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ががんぼ - この投稿者のレビュー一覧を見る

 とんでもない小説だ。「このミステリーがすごい」で年間トップになったり、その後日本推理作家協会賞を受賞したりしてだいぶ話題を集めたから、ある程度面白いとは予想していたが、これほどとは。これに比べると宮部みゆきや真保祐一はほんの子供に見えてしまう。高村薫も超えてしまったように見える。大物である。
 弁当工場の夜勤という辛い仕事を共有する女たちが、その一人の殺してしまった夫の死体をばらばらに解体するというショッキングな設定。これに、犯人と見なされたために築き上げたものを失った男の復讐が絡む。死体の解体だけではなく、この男が抱える猟奇的な犯罪の過去が物語の倒錯した危険度を高める。
 つまり桐野は、人間の心の闇にどうしようもなく惹かれてそれを書きつづける作家に属するのだ。だから暗い。死体解体よりも、その後の猟奇性にドロップアウトする読者もあろう。
 しかしそうした生々しさが好きな読者はもとより、苦手な読者にとっても、それを補って余りある魅力がある。まず人間心理に食い込んだ描き方。特に主人公雅子がいい。これは映画で演じる原田美枝子のイメージがぴったりなのだが(映画はしかし、だいぶ趣が違うらしい)、この渋くて強い人物の孤独感は強烈で、読者は彼女の犯罪にもかかわらず、共感し感情移入してしまうのではないか。だから最後の悲惨を恐れながらもどこかで救いを期待するのではないか。
 そして半端ではない物語自体の面白さ。過去の謎とサスペンスと対決と。プロットだけでも十分勝負できるだろう。暗い素材にもかかわらず、私などはある種の奇妙な明るさを感じたのだが、それはあまりに面白い筋立てのせいだと思う。話の面白さの痛快さが暗さを吹き飛ばしてしまうのである。これが作家にとって幸か不幸かはわからない。もっと人間の暗部に食い込みたいなら、この娯楽性は邪魔かもしれないからだ。だが、とりあえず楽しみたい読者にはホッとする部分でもある。
 いつも思うが、面白い展開を持つ作品ほど、ラストの締めが難しい。幾通りもの展開が考えられる中、結局無難なものになった。これで決して悪くはないとは思うが、作者自身がインタビューで3つほどあった可能性から選択する格好になったのが自分では不満だったと述べている。もっと自然な無意識のものにしたかったと。結末は十分優れているが、強いて弱さを見出せば、作者のそうした選択の迷いのようなものがかすかに感じられるところだろうか。絶対この結末という迫力ではないからだ。それと最後の凄絶な対決に、それまで耐えていた読者がさすがに辟易する、というような危険もあるだろう。もちろん作者はそれを承知でああいうテーマを選んだのだろうが。
 夜3時までかかって一気に読み、その後しばらく眠れなくなった。

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紙の本

OUTってなんだ!

2014/05/09 11:21

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ジミーぺージ - この投稿者のレビュー一覧を見る

夜間弁当工場で働く4人の仲間、雅子、ヨシエ、邦子、弥生の話。
それぞれに家庭の事情があり、また、生活に困窮している。
雅子は主人公で優れもの。
ヨシエは人のよいオバサン。
邦子は派手好き。
弥生は一見ナイーブだが以外と偏屈。
弥生が夫を殺し、それを他の3人が処分することから話が本題に入り展開する。
この本のタイトル「OUT」の意味を探しながら読み進んだが
具体的には書かれていなかった。
私は、現状からの脱出と理解した。
あなたはOUTをどう理解しますか?
読んで見て下さい。

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紙の本

魂の深部へと突き進んでいく壮絶なストーリー!「OUT」。

2011/01/26 18:06

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:オクー - この投稿者のレビュー一覧を見る

 98年度「このミス」の国内1位をはじめ、もう評価が定まった作品な
ので読んでる人はとっくに読んでる。ドラマ(99)になり、舞台(00)
になり、映画(02)にもなったミステリーの傑作、とにかくこの話はす
ごい。未読の人はぜひ!!

 深夜の弁当工場で働く4人の女。1億総中流なんて言葉をあざ笑うか
のように、作者はこの女たちの空虚な日常と心の闇を描いていく。そし
て、彼女たちのどうしようもない思いが決壊したように起こる夫殺しと
死体解体。女の1人が夫を殺してしまい、仲間がその死体をバラバラに
し、ポリ袋に入れて生ゴミとして始末する。しかし、これはあくまで物
語の発端。彼女たちが警察からどう逃れるか、というような話になるの
かと思っていると、まったく違っていて、ストーリーはさらにさらに魂
の深部へと突き進んでいく。 

 話の中心になるのはリーダー格の雅子という女。彼女は第二の死体解
体まで請け負い、そのことで自分が開放されていると気づくのだが、ギ
リギリのところで自由にはなりきれない。出口を求めてもがく雅子、そ
こに同じような心の闇を持つ人間が…。最後はもうむき出しの魂がゴロ
ンゴロンと転がっているようなすごい展開になる。ここではもうミステ
リーとか何とかを完全に超越している。ストーリーは突っ走って突っ走
って、ようやく「このラスト」にたどり着く、という感じ。桐野夏生、
昔も、そして今も、この人はかっちょ良すぎる!!

ブログ「声が聞こえたら、きっと探しに行くから」より

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紙の本

女の凄味

2017/05/22 18:50

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ねむこ - この投稿者のレビュー一覧を見る

ハードカバーでずいぶん前に読んでいたので、なんとなく手に入れ損ねていましたが、今再読すると、なんてことない主婦だったはずなのに、この腹の座り方はなんだ!って世界に引き込まれ、上下巻一気読みです。

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紙の本

「過去に生きる」か「未来に生きる」か

2005/02/20 15:53

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:森山達矢 - この投稿者のレビュー一覧を見る

文庫本の解説で松浦理英子が解説しているように、この小説は「階級」を一つのテーマにしたものである。が、そうした先入観を抜きにしても、本当に読み応えある作品である。緊張感が最後まで漲っていて、一気にラストまで読めた。久々に「本を読んだ!」という気分にさせてもらった。

確かに、テーマは「階級」なのだろう。
しかし、僕はこの小説を「自由」をめぐる問題をテーマにしていると読んだ。
正確に言うと、ドロップ・アウトしてしまった状況で「自由が希求」される意味と何かということ、そして「希求される自由」とは一体なんなのかということである。具体的に言うなら、あたえられた条件の中で「どう生きるか」といった実存的なことを主題にしていると読めた。

クライマックスで雅子と佐竹のまったく正反対の「生」(=生き方)が現実的・肉体的に交叉する。
佐竹は、ある女をレイプしながら惨殺したという過去に自分の生の根拠を見出している。佐竹は、女を殺したという過去を隠蔽し囚われ続けて、そこに閉じ籠もったままだ。佐竹は「女と自分を過去に封じ込めて、そこに魂の自由を夢見る男」なのである。
一方の雅子は、子供は家庭の中で口をきかず、夫は自分の中に閉じこもり、自分は夜勤のパートというハードな底辺の作業をしながら、絶望のなかで生きている。
佐竹は、雅子のなかに昔の女の影を見て、かつての行動を反復しようと欲望する。そして、実際に佐竹が雅子を暴力的に陵辱するとき、二つの「生」が交叉する。つまり、過去に自由夢見る男と絶望の中に生きる女が「交わる」。
そしてこの「交わり」は、雅子の「生への欲動」を「産む」。

「佐竹は虚ろな夢に生き、雅子は現実を隅から隅まで舐めて生きる。雅子は、自分の欲しなかった自由は、佐竹の希求していたそれとは少し違って伊いることに気付いた。雅子はエレベーターのボタンを、力を籠めて押した。これから航空券を買うつもりだった。佐竹とも、ヨシエや弥生とも違う、自分だけの自由がどこかに絶対あるはずだった。背中でドアが閉まったのなら、新しいドアを見つけて開けるしかない。」

結局、佐竹は雅子のメスによって致命傷を負い、毀れたものどうしという連帯感に包まれ雅子に看取られながら死ぬ。
筆者がこの作品で最終的に描きたかったのは、過去から現在を志向するトラウマ的な佐竹の生き方と、未来へ自分を投企し続ける反トラウマ的な雅子の生き方である。そして両者を併置しながら、後者の生き方の可能性を指し示しているのである。

桐野が描いたフィクションは、階級分化していく日本でこれからだんだんとそのリアルさを増してくるはずである。「負け組み」という「OUT」な絶望的状況のなかでの「自由」とは? そのような問題を先んじて取り上げた作品なのだと思う。


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紙の本

“抑えられぬ悲しみが出口を求めて咆哮する”

2004/06/27 17:43

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:hisao - この投稿者のレビュー一覧を見る

98’日本推理作家協会賞受賞、日本初MWA(アメリカ探偵作家クラブ)賞受賞作品。遅まきながら読みました。
久方ぶりに心底 恐怖に震えました。
深夜の弁当工場で働く4人のパート仲間。夜の肉体労働に従事する主婦達はそれぞれ普通に貧しく底知れなく孤独です。
美人で世間知らずな(それだけに無責任な)若い主婦が身勝手な夫を突発的に殺害します。
物欲に肉体まで肥大させた単細胞のヤング妻、義母と思うに任せぬ娘の面倒を見る実直小心な寡婦、そしてお局とまで言われ嫌がらせを受けて信金の職を捨てた主人公・雅子の3人がその死体を解体し捨てる仕事を請け負います。
不安と焦燥の中で見果てぬ出口を求めて彷徨う主婦達の犯す残酷極まる犯罪。
私としては初めて読む女性を主人公とするピカレスク(悪漢)小説でした。
まるで魚をさばくように死体を解体する描写に恐怖を感ずるよりも、作者の筆力によって深く主人公に感情移入させられてしまいました。
いつの間にか、主人公・雅子と一緒になって孤独の中でうめき、追いつめられ、猶かつ戦いに駆り立てられる焦りの中で恐れおののく自分を体験しました。
“1年ぶりに聞いた息子の言葉が刑事への告げ口、仕事も家庭も一生懸命にやって来た積もりだったが息子に許されないのだとしたら自分の何が悪かったのだろう”“抑えられぬ悲しみが出口を求めて咆哮する。”
絶望の中で境界を越えて得ようとした物は何だったのか? なにも変わらず孤独と絶望はより増幅されて持続する。
ブラジル2世工員カズオとのつかの間の懐かしく優しい抱擁に救われたかに見えたが、雅子は彼との絆も破り捨て、宿命の糸に結ばれた佐竹との最後の戦いに まるで悪魔に身を捧げる如く立ち向かう。
性の倒錯者でもない私にはラストは少々解りかねる所でしたが、如何ほどに憎み抜き、いたぶり殺し合えば2人の孤独な肉体と精神が同化できるのか? 2人の壮絶な戦いと交合の中で物語は終局を迎えます。
“佐竹はうつろな夢に生き、雅子は現実を隅から隅まで舐めて生きる。雅子は自分の欲しかった自由は佐竹の希求していたそれとは違っている事に気がついた”
雅子は佐竹とも弥生とも違う自分だけの自由を求めて再びなお立ち上がる。ラストのラストは、恐怖の中に置いてきぼりを食った気の弱い私にはいささか驚き睥睨する女性の強さであり ちょっと違和感がありました。

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2004/09/22 10:11

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2004/10/02 21:15

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2004/11/11 20:56

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2004/11/19 17:58

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2004/11/27 13:49

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2004/11/30 15:44

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2004/12/11 10:28

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2005/09/28 07:27

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2005/05/01 07:19

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