紙の本
柔らかな刑事ミステリ
2004/02/03 13:49
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投稿者:紫月 - この投稿者のレビュー一覧を見る
メフィスト賞受賞作品です。
メフィスト受賞作にはとても個性的な作品が多いのですけど、本書はいわゆる刑事もの。剛柔二人の刑事の活躍を描くミステリです。お決まりといえばそうなのですけど、重い内容を柔らかな情愛のようなもので包む作風は、やはり異色でしょうか。
『キチク』とあだ名される武本は強面、無骨で古風な面をもちながらも、純情な一面が好感を抱かせる人物です。
一方、爽やかな風貌にマニアックな推理小説の知識をもつ潮崎は、実家が茶道家元というお坊ちゃま。実家の権力を傘に着るどころか実家の影響力に悩むナイーブな青年です。
この二人の主人公が追っているのが、ある銃です。
小型で性能は良く、背後に大掛かりな組織の存在をうかがわせるものの、まるで手がかりのない銃。
この銃を軸に、事件は展開していきます。
二人とは別に、銃の流れを追う麻薬取締官の宮田。
三人三様に組織の縦社会に抗いながら、なんとか己の意思を貫こうとします。
そうして追い詰めた一人の男。
結末は三人にとってはけして納得の行くものではなかったのですが、それでも、己の行く道を信じて行動した三人の生き様は清々しく、重くやるせない事件を背景に、爽やかささえ感じさせます。
後悔するのなら、やらなかったことではなくやったことに対して後悔しろ
武本が父親から受けた訓戒です。
けれど、実際に様々なしがらみの中で、後悔のないように行動を起こすことはとても難しい。しかしこの教えを実践するべく、武本はあがくのです。
登場人物の大半が個性的かつ魅力的。潮崎のミステリをはじめとする膨大な知識も楽しめます。
紙の本
拳銃をめぐる事件
2019/05/06 20:47
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投稿者:咲耶子 - この投稿者のレビュー一覧を見る
暴力団も関係なさそう、個人で作るにしては件数が多い、製造元がわからない拳銃の事件を追う話です。
寡黙な刑事と天真爛漫なお坊ちゃま刑事のコンビ、頼りがいのある課長などカッコイイ刑事が出てきます。
もちろん、もっと上役と本庁の刑事たちは嫌なやつばかりというお約束。
紙の本
そして私も微笑う
2002/06/24 16:01
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投稿者:ち−さん - この投稿者のレビュー一覧を見る
本作がデビュー作となる作者だが、過去のメフィスト賞受賞者の中でも新人臭さがなく、まとめられた内容になっている。既存の警察小説とは少し異質を感じるかもしれない。警察官として両極を行く武本と潮崎だが、相容れなさそうな二人がお互いを認め事件解決に協力していく姿に、「躍る大捜査線」を思い浮かべる人も多いだろうが、話の流れにスピード感があり若い世代にも本の読みやすさを教えてくれる。今後どう続くのか期待させられる一冊。シリーズ化を切望する。
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よく踊る大走査線を比較に出されるけど、もうちょっと堅いかな。一刑事が主人公。これはとても読み応えがあった。
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警察小説です。この作家のデビュー作だそうだけど、これは秀作ですね。
先に読んだ第三の時効も警察小説だけど登場人物は、全く違ったキャラで、それが第三の時効も魅力的だったけど、こちらの武本&潮崎も魅力的です。しかも、脇役も人物がよく描けているので面白いのです。
この潮崎風の刑事も過去にいないわけでないのだけど、それがお笑いにならず、むしろ清清しい青春小説のような雰囲気を醸し出しているのは、この作家の特徴かも。
続編も出ているようで、このコンビの活躍も期待したいものだけど、もっと広がりを持って、潮崎や武本や麻薬取締官などが脇役で出てくるのも楽しいかもしれない。いずれ、この続編も読んでみたいものです。2004.5.10
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一度目は手にとって2ページ目で挫折。
二度目でようやく読めました。
おもしろいよ、おもしろいけどね、作者の腐女子っぷりがなんとも…何度か斜めになったり、薄目になったりしました。でも次のも読んじゃうよ…作者の手のひらで踊らされてます
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この本は第25回メフィスト賞受賞作ですね。佐藤さんの「フリッカー式」の同人ネタが解る僕は嫌でしたが、この本に所々出てくる警察小説のネタが解る僕は好きですよ。
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警察を舞台にしたお話。わりと軽めの雰囲気なんだけど、わりと重めのストーリーである。武骨な登場人物達のまっすぐな生き方と、信頼関係を築いていく様子が魅力的に描かれている。ちなみに、著者の名前は「たちもりめぐみ」と読みます。これがデビュー作です。今後に期待大の女性作家です。武骨な生き様に憧れる人にオススメ。
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最初は悪役警察の話かと思いました。(何故)
読むのに時間がかかったけれども、読み出したら最後まで行かずには居られない、そんな感じです。
潮崎は、かなり良いキャラだと思ってます。
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面白かった!
最初は思わず「え・・・?」とか思ってましたけど、読むうちにどんどん引き込まれて一気に読み終えました。
確かに色々詰め込みすぎ?な感はありますが武本の真っ直ぐさと意外においしいキャラだった潮崎、その他宮田さんとかキャラがよくって凄い楽しかったです♪
確かにこれは踊る大捜査線が好きな人にはいいかも(笑)
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泣こうが喚こうが、死にでもしないかぎり、何をどうしたって明日は来る。ああすればよかった、こうすればよかったなんて後悔を積み重ねて生きていくなんて、つまらない。明日を待つんじゃない、自分から迎えろ
(P.152)
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日明恩のデビュー作ですね。読みやすいです。
メフィスト賞受賞ですが、ミステリー色は強くないと思います。警察小説ですからね。
面白いですし、サクサク読めます。
良い小説でした。
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潮崎の素直キャラは好感触にも程がある。
それも素直且つ馬鹿ではなく感情の起伏もあるけれど、それを隠せるきちんとした大人であるところがいいと思います。
軟弱だけど。
武本とのオーソドックスな凸凹コンビは出来上がったストーリーに良く合います。
良い人物が沢山出るお話です。
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○2008/03/19
図らずもまた警察小説が。ZEROよりは難しくもなかったし、潮崎のような和み系(?)もいて雰囲気はゆるーい感じでけっこう楽しく読めた。
内容的にはそうでもないけど。でも説明的というか硬めの文章が気になる。合わない文?
あと、終わり方というかラスト近くになってきてつい頭をひねった。これでいいのか…?各人物の設定が濃い目の割には、深入りが少ないなぁ、と。
だけどとにかく武本のお父さんがかっこいい。
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理解のある上司、刑事課の寡黙に正義を貫こうとする刑事、家に力のあるおぼっちゃまキャリア、過去の事件に囚われる麻薬捜査官と其々の対照がこの小説に深みを出しているのだろう。重く硬くなりがちな文体ながら、おぼっちゃまキャリアのキャラ立ちが、以外と全体のバランスを整えていたように思う。締めが「前進」であったことがよかった。