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ダイブ 4 コンクリート・ドラゴン みんなのレビュー
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紙の本
思わず泣いてしまった。貪るように読んだという点では今年一番の作品かもしれない
2006/12/29 22:10
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:栗太郎 - この投稿者のレビュー一覧を見る
「DIVE!!」最終巻、ついにオリンピック代表権をかけた選考会、正真正銘のラストチャンスがやって来た。ダイヤモンドの瞳を持つ未知の大器(知季)、幻の天才ダイバーを祖父に持つ秘密兵器(飛沫)、元オリンピック代表の両親を持つサラブレットの大本命(要一)、彼らのうちオリンピック代表の座を掴むことが出来るのは誰なのか? それぞれの渾身のラストダイブは決まるのか?
たいていの場合、シリーズ物を読む時は1巻を読んだら次に最終巻を読んでしまい、それから2巻に戻って後は順を追っていく。特に購入するかどうか迷っている時に、そういう読み方をする。堪え性がないので結論を急ぐのと同時に、臆病だからだ。大好きで、ずっと追いかけたシリーズに、最後の最後で裏切られる苦い経験が重なると、程度の差こそあれ誰でも臆病になるだろう。だがそれは読み手の勝手な感情だ。真摯に反省したわけでもないが、今回「DIVE!!」を読むにあたり、絶対にラストシーンをカンニングしないと誓った。
これは想像以上に苦しかった。応援している選手は会心の演技が出来るのか? オリンピック代表の座は誰の手に? もしも残酷で救いがなく、空しさの広がる結末がそこにあったら? いっそ思い切ってばっと最後のページを読んでしまおうか。幾度も思いながらグッと踏みとどまった。この焦燥や不安、高揚した気分こそが、運命の試合に挑む少年たちと同じではないかと。
はやる気持ちを抑え、1ページずつ読み進んだ。そして、そうした読み方をして良かったと思う。
良きライバルで友人である三人の選手だが、選ばれるのはただ一人だ。ダイビングクラブの仲間が言うように、嬉しいのは一人分でも、悲しいのや、悔しいのは三人分という厳しさ。(クラブからは4名が出場しているので)
息づまる緊迫感の中で、著者はよく書ききったと思う。どの選択をしても不満を抱く読み手はいる。ならばいっそ、結果はご想像くださいと、ラストダイブを残す場面で物語を終わらせることだって出来たのだ。けれど、森絵都は三人がそれぞれの想いをこめて選んだ自由選択のラスト十本目を踏切りから入水まで描ききった。
書き手が、真剣に逃げずに力の限りを尽くして導き出した結論ならば、それは必ず読む者を納得させる。そのことを改めて感じた。最終章は選考会から一ヵ月後の彼らを描いているが、それぞれに明るく力強い未来を感じさせる。
今回は最終巻ということもあって、主人公はもちろんだが、彼らを取り巻く人々の感情が書き込まれていた。特に、要一の父親が印象深い。才能や順位に捕らわれず教え子たちに注がれる公平な視線と愛情、不器用だが確かにある息子への想い、最終巻になって良い味を出していた。ここまであれほど鮮やかだった天才コーチ夏陽子が霞んで見えるほど。
紙の本
長いようで、短い4年半だった。少年たちはその短い時間を駆け抜けた。空に舞い、水しぶきを上げ、反抗し、傷つき、そして目指す。向こうにあるのは栄光、夢
2003/10/05 10:17
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
4年半に亘ったシリーズ第4作、最終巻。スポーツをシンプルに描くと、こんなにも面白い小説になる。それを改めて証明してくれた本である。だいぶ前のことだけれど、生田直親という作家が、スキーに取り憑かれた男を描いた小説を何作も書いた。瘤をどう越え、如何にターンをして転倒せずにタイムを出すか、新雪の中をどう滑るかを熱く語っていた。高斎正は自動車レースを、スポーツの形で描いた。世界を舞台に、日本の各社トヨタ、ニッサン、ホンダ、マツダの車に乗り込んだ男たちが激戦を繰り広げる。カーブの手前でブレーキを踏み、じょじょにアクセルを踏み込んでいく様子や、コックピットでの必死のバックアップを熱く描いていた。
ダイブを読みながら、そういった小説を読んだ時の熱い思いがこみ上げてきた。久しぶりである、頁を開いた瞬間から目の周りが熱を持ち始め、涙の臨戦体制で読む本は。最初に書いておく、この本は面白い。
1999年12月18日、阪神淡路大震災から5年、神戸六甲山の展望レストランに三人の少年が、楽しげに語らっている。皆、MDCというクラブに所属する飛込みの選手であり、シドニーオリンピックの代表選考を競う仲間である。
坂井知季は、14歳、動体視力という武器をもって4回半宙返りで勝負に挑む。沖津飛沫は、17歳、天才ダイバー沖津白波を祖父にもつ大器だが、腰を痛めているため難度の高い技を見せることは出来ない。富士谷要一も、17歳、オリンピック飛び込み元代表の両親を持ち、一度は代表に推薦されるが、選考の不透明さに我慢が出来ず辞退し、皆と競うことで再び代表の座を狙う。
既に、安定力、実力で寺本健一郎は代表は確定、シドニー行きを争う12名が神戸の〈なみはやドーム〉で技を競うことになった。祖父の作ったクラブMDCの存続を賭けてアメリカから戻ったコーチの麻木夏陽子の最後の挑戦が始まった。しかし、競技前夜、謎のアメリカ人と密会していた事実は、少年達の心に動揺を引き起こす。
章ごとに視点が変化し、今まで登場した主要人物たちが心の中を見せながら話が展開する。三人には適わないと思いながら努力を積み重ねてきた丸山レイジ。いつもピンクの水着で登場しピンキーといわれた山田は、トレードマークの水着を捨てて、精神の弱さを克服、キャメル山田となって三人を追撃する。
過度の練習で発熱し、不調の要一と父敬介との対立、もとは友季の恋人でありながら弟の弘也のもとに奔った未羽、飛沫の恋人で心に秘密を抱える恭子と大阪見物を兼ねての応援に駆けつけた祖母の文、高所恐怖症を克服する為と母から飛び込みの世界に投げ込まれたサポーターのサッチン。謎のアメリカ人など、オールスターキャストである。
まさに誰が勝ってもおかしくない話の展開で、章の終わり毎に順位と得点を掲載し臨場感を高めていく辺りは、まさにスポーツ新聞のノリである。4年半に亘ってだれもが抱える夢と弱さを、「前宙返り3回半抱え型」「スワンダイブ」「SSスペシャル‘99そして今回の「コンクリート・ドラゴン」の形で楽しませてくれた痛快シリーズもこれで終わり。
私は、この小説はスポーツ新聞に連載されたものだとばかり思っていた。たしか、シリーズ第一巻にそんな記述があった記憶がある。しかし、最後の巻であるこの本のあとがきには、そのようなことは少しも書かれていない。私が勝手に、スポ根小説という言葉を、新聞連載と勘違いしてしまったのかもしれない。しかし、いかにもそれらしいスリルに満ちたシリーズである。
「地を離れ、宙を求めて、水へ還る。」という言葉がカバー折り返しに載っている。なにかアポロ宇宙船開発のドラマを思わせる言葉である。ちなみに副題のコンクリート・ドラゴンは、主要人物の一人知季が名付けた飛び込み台の別称だそうである。上手いものだ。最後にもう一度書く、この本は面白い。保証付である。読まない人は、損をする。
紙の本
集大成
2021/03/14 12:58
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:FUMI - この投稿者のレビュー一覧を見る
4巻は、各章で主人公が異なる流れ。
今まで主人公になって居ない人物からの目線からも書かれているのも面白い。
色んな目線になるとガチャガチャになりそうになるのか?とおもいきや、キチンと1冊に纏まっているから凄い。
紙の本
跳べ!
2004/07/22 15:53
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投稿者:オクヤマメグミ - この投稿者のレビュー一覧を見る
一気に駆け抜けた「DIVE!!」最終巻。
やっと読み終わった。
まるで実在するかのような少年達…DIVEを愛し熱中する姿や、恵まれた能力の陰で思い悩んだりする内側の深い部分まで書き込まれていて、どんどん彼らに夢中になっていった。
自分も彼らと一緒に夢を追いかけている気分になったものだ。
次期オリンピック代表権をかけた選考会がついに始まった。
ページをめくるごとに順位が発表され、変わって行く。試合会場にいるかのように胸を躍らせた。
こんな風に、本書は見る側のワクワク感から、跳ぶ側のプラットフォームを飛び立つ瞬間まで、隅々まで描き切っている。
言葉はおかしいかもしれないけど「読む実写」。
これがピッタリだと思った。
紙の本
今日読み終わりました!!
2003/10/22 22:05
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投稿者:とべこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
今日読み終わりました!! 昨日から読み始めたんですけど。1日で読まなかったことにとても後悔してます。今まで読んだ森さんの本の中で1番好きです!
夏休みに後輩に薦められてDIVE!!の1〜3まで読んで、すごくハマって4が早く学校に入らないかすごく楽しみにしてて、入ったらすぐに借りました。
私はみんなシドニーに行けないんじゃないかと思ってました。でも要一が600点以上を出した時から感動で鳥肌がたちました! 飛沫のスワンダイブは実際に見てみたいと思いました。満点が本当に出るなんて…って感じでした。知季の4回半の事も書いて欲しかったのでちょっと残念でした。でもすごい4回半だったと思います。シドニーでどんな活躍をしたか知りたいので、また続きを書いてほしいです。寺本のことももっと知りたいです。終わっちゃったんですけど、まだまだ続きを書いてほしいです! 期待してます。
紙の本
さわやかすぎるよぉ。
2003/01/28 02:36
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投稿者:みっつ - この投稿者のレビュー一覧を見る
bk1の書評をみて、この本に心惹かれ読み始めた。スポーツ大好きな私としては読むべくして読んだといった感じ。
その内容は飛び込みに青春、人生、生活をかける少年、その周りの人のさわやかなお話。1巻から4巻までの4冊で完結する。4冊読み終わって「読んでよかった!」という感想をもった。
「1巻」は主人公は中2は知季。サッカーや野球のようにみんなにちやほやされるようなスポーツではない飛び込みに熱を入れ、友人、恋人、学校に犠牲を払いながらもわが道をつきすすんでいこうとする姿を描いたもの。1巻からすでにこの物語にどっぷりひきこまれてしまった。読んでる私もなにかひとつ頑張ってみよう!って気分にさせてもらった。
「2巻」の主人公は飛沫。体は大きいが気は優しい。そんな奴だ。祖父の過去と自分の体にもった爆弾とにさいなまされながら最後にはこの道で頑張っていこうと決意する。そんな飛沫の決断とやさしさによって、読んだあとのすがすがしさはわすれなれい。
「3巻」の主人公は飛び込みエリートの要一。大人のコントロールする世界に翻弄される少年。それを自分の力で打開していくたくましさ。飛び込みというスポーツを通して書かれているのでやっぱりさわやかだ。SSスペシャル’99でオリンピックに行って欲しい!と思うが、知季にも飛沫にも行って欲しい。複雑な気分になった。完全にこの物語にはまっている証拠だと思う。
そしてこの「4巻」。最後の主人公は誰なんだろうと思い手にした。すると以外にも今回は1人に絞らず、知季であり、飛沫であり、要一であり、サッチンであり…。それも出来すぎと思われるほどのさわやかな結末だった。読み終わったら「はぁーよかったぁー」と思わず笑顔になった。最後には、誰も彼もみんないい人で終わる。さすがスポーツ児童小説といったところか。最後の最後も、さわやかすぎるほどさわやかで、ほっとした。
もうひとつ。最後の4巻目に出てくる、文さんというおばあさんが私は大好きだ。こんなに素敵なおばあさんがいてくれたらいいのにと思う。孫の相談に答えるところが一番好き。本編の内容以外にもこういった楽しみ方もあると思うので注意して読んでみるといいと思う。
やっぱりスポーツはいい。一生懸命になれるものが目の前にあって、そしてそれによって、友情や尊敬や愛情がさりげなく生まれる。そしてこの「ダイブ」にはそれらが凝縮して詰まっていたように思う。
紙の本
飛込み競技にかける青春。お待ちかねのダイブの最終巻が出ました!
2002/10/08 16:03
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投稿者:エーミール - この投稿者のレビュー一覧を見る
知季、飛沫、要一というダイバーを中心に、ミズキダイビングクラブとそのコーチそして家族・恋人などをも巻きこんでの、飛込み競技にかける青春を描いている。
「スポ根ものを書こう」と思って書き始めたと「あとがき」にはあるけれど、ただのスポ根ものではなくそれぞれの生き方を考えさせるし、オリンピックなどの大きな競技会をめざすスポーツ選手の大変さにも思わず想いをはせてしまうものになっている。体や技術だけでなく、競技に挑んで行く精神面での強さも鍛えていこうとする姿は、スポーツものによくあるものでありながらやはり頼もしく、応援したくなってくる。
個性的な登場人物を設定してあるせいか、重苦しくなく展開が早く、それでいて殺風景でなく面白かった。ただ、ずっと早く出ないかなと出版を待っていた者の身になると、もう少しもたせてほしかった。えっ!もう終わりなのと悲しい。
4冊出揃ったところで通して読むのもいい。飛込み競技の面白さをこの本から感じ取った人も多いのではないだろうか。
『ダイブ 1 前宙返り3回半抱え型』
『ダイブ 2 スワンダイブ』
『ダイブ 3 SSスペシャル’99』
★★★★