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紙の本
理想のミステリ書評集〜20年モノの迫力〜
2002/09/25 01:20
2人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:3307 - この投稿者のレビュー一覧を見る
本についての話を摂取する喜び
興味を持って本を探す楽しみ
求めていた本を手にした安らぎ
ゆっくりと本を味わう愉悦
「出会えた」本について語る幸福
私にとっての、本との暮らしの循環です。買うだけでは積読本ですし、読むだけでは拍手が足りません。だから、「語る」のですが、その方法として書評を選びました。徐々に書評を意識するようになり、人様の鋭い書評を読ませていただくうちに、見えてきたことがあります。それは、私の書評にはまだまだ無駄が多く、より深く・より分かり易く書いてこそ書評なのだと。「理想の書評」への道は遠く険しいものです。
さて、「理想の書評」ですが、実はここに実例が存在します。本書『迷宮逍遙』です。この書籍は、1982年から2002年にかけて、有栖川氏が手がけた書評の集積です。
力のある作家が、ミステリへの全ての愛を傾注し、20年がかりで綴った文章です。読み応えがあります。36本の解説が集まることで、自然と有栖川氏のミステリ観が浮かび上がります。
『有栖の乱読』でも感じたことですが、有栖川氏がミステリを語る姿は実に美しいのです。
人生をかけて愛し求める対象と、それを掴み語るに足るだけのミステリへの深い造詣に加え、現在の到達点から眺める風景を分かり易く伝える言葉を、有栖川氏が兼ね備えているからです。ミステリを好きになりたければ、有栖川氏のエッセイを読むのが最適でしょう。氏は間違いなく、ミステリ界の最良の評者の一人です。
〜本書の解説から〜
『覆面作家の夢の家(角川文庫)』
△この書評を実際に文庫の巻末で読んで、
北村さんをもっと好きになりました。
『名探偵の世紀 エラリー・クイーン、そしてライヴァルたち』
上記収録の「〈神〉に挑む妖刀」
△有栖川氏がエラリー・クイーンと出会った日が描かれます。
※上記より引用※
「この世に生まれた日のことは記憶にないけれど、
〈私〉が〈このような私〉になった日のことが
記憶にあるというのは、なんて愉快なことだろう。」
『シャーロック・ホームズのクロニクル(創元推理文庫)』
△上質のパスティーシュの香りが伝わります。
『時の森殺人事件(ハルキ文庫)』
△著者の吉村達也氏との交友関係が見えてほほえましい。
『カナリヤは眠れない(詳伝社文庫)』
△後輩をそっと後押しする、よき先輩の横顔が伺えます。
『青の殺人』
△「まがいもの」とされ、評価されてこなかった、
もう一つの「エラリー・クイーン」の作品へ、光を当てます。
フレデリック・ダネイとエドワード・D・ホックの
師弟コンビの手による、最初で最後の作品という、
特殊な成立背景を知れば、どうしても読みたくなる一冊。
本書には、様々な有栖川氏が登場します。
良きミステリ読者であり、友人であり、後輩であり、先輩であり、かつ選考委員であり、そして弟子である氏。本書の巻頭と巻末は、鮎川哲也氏の作品解説が収録されています。私は、この解説がとても好きなのですが、それは弟子としての有栖川さんの表情が、よく出ているからです。フレデリック・ダネイとエドワード・D・ホックの師弟ではありませんが、鮎川哲也氏と有栖川有栖氏の出会いも、歴史に楔を打ち込む重大な出会いなのではないでしょうか。
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