紙の本
平成版「理科系の作文技術」が刊行されるべき
2011/05/30 02:11
8人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:BCKT - この投稿者のレビュー一覧を見る
1 序章
2 準備作成(立案)
3 メモ術
4 文章の組み立て
5 パラグラフ
6 はっきり言い切る姿勢
7 事実と意見
8 わかりやすく簡潔な表現
9 執筆メモ
10 手紙・説明書・原著論文
11 学会講演の要領
きのしたこれおは1917年(東京都)生まれ。東大物理学科を卒業(41年,24歳)。「薄膜や固体表面に関する研究」に従事(wiki)。学習院大学学長(81-85年,64-68歳)を歴任して退職。同大名誉教授。
本書は名著だ。それは,私より読解力のある多くの人々が口を揃えてそう言うから。これに同意しない強い根拠を私が持ちあわせているわけでもない。例えば,「事実と意見の区別」(7)などは,当時雲霞のごとく叢生した馬鹿マルキスト大学経済学者たちが心得なければならかったことだ。ということは,本書は文系大学院生には影響力を行使し得なかったと言ってよい。また,本書は英語での学会発表の手順の一端を公開しているが,これは本書刊行後30年が閲しようとしていても,有効な試みだろう。しかし,本書について誰もが同じことを言うことは,表面的には付和雷同と選ぶところはない。独自性と特異性を持って独立していたいというもう一つの価値観と相反する傾向でもある。とすれば,本書の限界を語ることは,私以外の人が本書を読むうえで有効であろう。
その限界とは,時代的制約である。本書の初版は1981年。ということは,この時代は, 高度経済成長期が瓦解して低成長期を経て,二度の石油危機を経験した70年代を背景として,ぼちぼち大卒研究者層が出揃い始めたころだろう。当時の学界(学会)は巨大な研究会だったはずだ。それが,学会も参加者が増えて脱ムラ化=都市化し,論文公表も学会発表もその件数が増えていたのだろう。素人が増えれば,手法が混在する。その一本化には標準が必要だ。その標準として,本書は有用であったに違いない。時勢に適合したわけだ。あれから30年。理系における技術革新の激しさは,文系の比ではない。Macの爆発的浸透とWindows95の発売以降のこの15年で,個人的PC所有比率は激変した。インターネット環境も充実してきた。とすれば,当然,本書著者が勧めるやり方では間尺に合わない箇所が出てきているはずだ。現在,我々にはパワーポイントがある。誰かが本書の技術的側面における「バージョンアップ」を試みなければならないだろう。そろそろ誰かが本書をout-of-dateにする期は熟しているとみるべきだ。本書に次ぐ平成版「理科系の作文技術」が刊行されるべきだろう。
(1005字)
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たくさんの文献を使って,詳しく述べられている.有益な情報が多くて理系以外にも役立つ.ダッシュやセミコロンなどの使い方まで詳細に述べられていてとても興味深い.
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感情豊かな文章を書ける人にこそ、おすすめ。美しい語感やリズムに気をとられて身に付け忘れた、「文章の意図を正確に伝えるチカラ」を鍛えることができます。
(更新中)
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文書作成に対する基礎知識を学ぶ本。少々古い本ですが、現在でも十分通用する本です。
文系の人も読むべき内容です。
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「理科系の」となっているが、理科系じゃなくても読んでおいて損はないと思う。長文の作成の仕方、文章を書く上で注意すべき点など役に立つ点が多い。しかも安いし。
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学生時代お世話になりました。これからもときどきお世話になりそうです。報告書を書く際に初心に帰ることができます。
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学部3年の頃からの愛読書。レポートひとつ書くときでも、構成や文体をしっかり吟味していく習慣をつけようと思っています。
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理系は論文、仕様書、報告書と理系はドキュメントを書く機会が多い。逆にそれらドキュメントを読む機会も多い。
やっぱり本職はモノを作ることなので、ドキュメントに時間を取られないようにフォーマットやポリシーを持っておくことは非常に大事。文章の書き方的な本を一冊は読んでおくべきです。
OHPでのプレゼン資料の作り方など若干古くさい部分は残っているが、理系という観点から、どういうドキュメントにすべきか、読みやすい書き方のポリシーなどは納得させられる部分があり、勉強になった。
すぐに役立つ一品!
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理科系作文の参考書。まずは理系文書作成のアウトラインを知りたい初心者は、これを読むといいかも。この一冊に、レポートや手紙、プレゼンの技術など幅広く網羅されている。ただし、報告書や計画書など特定の文書を書くときには、ちょっと使いづらいのかもしれない。
このテの参考書では、もはや王道?
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日本の作文教育は情緒的な文を書くことに偏重していて、仕事で必要になる他人に考えを正確に伝えるための技術を教えていない。という筆者の主張には同感だ。
客観と主観を分ける、二つの意味に取られることのない(一義的な)文にするなど、日本人が学校で教えられない技術を補填してくれる一冊。
そういった意味ではこの本の対象者は理系に限られない。
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言わずと知れた木下是雄先生の名著。
本書とで出会ったのは大学時代である。購入を薦めてくれた研究室の先生には本気で感謝したい。
理科系の、と銘打ってはいるが、関係ない。理系にも文系にも、学生にも社会人にも、すべての方に推薦できる。作文なんて、などと表現方法の鍛錬を疎かにしていると、いつまで立っても認められる存在になれない。文章だけからでも人は評価しているものだ。
さて、本書の中で感銘を受けたのは、「事実と意見」の相違について、明確に述べられている点だ。おかげで自分の文章だけでなく、発する言葉までそれを意識して使い分けるようにしている。また、他人の文章を読む際も、それが事実なのか意見なのかを意識して見るようになった。おかげで、仮に相手が的外れな資料を出してきても、変な誤解を与えられないよう自己防衛が出来るようになった。意見と意見のぶつかり合いで不毛な戦いを失くし、冷静に対応できるようになれる。
他にも、誰に読まれる資料なのかを考える、あいまいな表現を使わない、などなど、役立つ内容が多い。うちの同僚にも本書を薦めているのだが、なぜかあまり読まれない。いい本なのに本当にもったいない。
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専門が違っても、論文を書くときに注意しなければならないことや気を配らなければならないことが分かる。
わかりやすく簡潔な表現をまとめた表や事実と意見を分けることなど、目から鱗であった。
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文章作成本の古典的?名著。
この本に関して、「理系に限らず文系でも有益」という書評をよく見かけるが、やっぱり理系専門だと思う。(7章「事実と意見」、8章「わかりやすく簡潔な文を書く」は除く)
文系で文章作成のハウツー本を読みたいなら、
本多勝一とかのほうが全然良い。
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ゼミの先生に進められて読んでみましたが、なるほど、読みやすい文章の書き方講座といったところでしょうか。文系には使わない部分もあるけど、ためになることも多くかかれています。仕事で文章を使う人にも是非。
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文章の書き方の勉強になります。筋が通った文というのは,こう書けばいいんだというのがよくわかります。
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