紙の本
次々と悪い方向へ
2024/01/07 17:45
1人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Koukun - この投稿者のレビュー一覧を見る
登場人物三人における、物事が次々と悪い方向へ向かってゆくという 読みようによっては大変に怖い状況を描きだしている。誰でもちょっとしたことをきっかけにしてこのような状況に陥ってしまうことがある、我が身に照らし合わせてみてゾットした。
紙の本
これでもか
2021/09/12 09:35
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:吉村ファン - この投稿者のレビュー一覧を見る
これでもかこれでもかと最悪なことが続く
物語。
最初は個々のエピソードながら、それぞれがつなぎあってくる。
大団円な結末になるのでしょうか?
紙の本
転がりはじめたものを途中で止めるのは難しいこと?
2005/02/03 18:24
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:うさしー - この投稿者のレビュー一覧を見る
不況に喘ぎながら細々と工場を営む工場主は騒音を巡り近隣と揉めていた。
家庭の事情を抱える銀行員はセクハラに悩んでいた。
その日暮らしを送る青年はヤクザに追われる破目に陥っていた。
これだけでも十分状況は悪いのに、どんどん事態は悪化していく。
物語は600ページを超える長編である。
そのうち2/3以上をかけて三者三様、ドロ沼化の過程が描かれる。
「どうしてそうしちゃうのよ〜」
「もう止めた方がいいって!」
「うわ〜、それは…」等々、読み手の心の中の叫びに反して三人は突き進み、もうどうにもならない状態になってしまう。
三人分の最悪の状況が描かれているのだが、個人的には工場主の家族や近隣との関係をもっと深く語って欲しかった。
おそらく妻は同情やあきらめといった気持ちを抱いていただろうし、子供にいたっては、必死に働く父の姿を冷ややかに見ていたかもしれない。また、不気味な雰囲気を漂わす近隣の住人にしても何か問題を抱える人だったのかもしれない。
想像は尽きないが、ここまで入れると話が長すぎてしまうので、やっぱりこの部分は読んだ人それぞれが勝手に推測すれば良いのだろう。
そして残り1/3は交わりそうで交わらない三人の物語が、一つに重なる。
ここからが面白い。
状況的にも精神的にも追い詰められたとき、人は思いもしない言動をとる。
ハッピーエンドとは言いがたいが、それぞれに救いのある最後だったのではないだろうか。
紙の本
最悪ってなんだろう。
2003/07/15 23:16
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:PNU - この投稿者のレビュー一覧を見る
近所からの騒音の苦情に悩む町工場の主人、銀行の体質に息苦しさを覚える女子行員、パチンコとカツアゲで日々を過ごす青年。そんな彼らが、誰もの身に起こりうる日常の嫌なことどもを体験しつつ、いつしか犯罪によって日常から転げ落ちて行く「最悪」物語。
外に出れば、誰か他人と接すれば嫌なことってどうしてもあるよね。一人でいるのは寂しいし、他人とはぶつかるし、人間って難儀な生き物。普段私もちょっと嫌なことがあると「最悪…」なんてため息をついてしまうんだけど、本当に最悪な時にはそんな台詞を吐く余裕もないのじゃないだろうか。よって、この小説も理想につながっていたはずの日常、からの離脱を意味してはいるが、真に最悪な状況ではないのである。
途中までエンエンと閉塞的な環境における苦痛や愚行が綴られ、あまりのストレスに読むのを止めたくもなったが、ためにためられた感情は、ちゃんと解き放たれるのだ。ああ良かった。犯罪という一時の熱狂、「祭」を体験した後の人々のやるせなさまで描かれている。
私が興味深く思ったのは、登場人物の一人がよく使う「不幸のおすそわけ」という概念だ。個を育て伸ばすことを知らず、ぬきんでた才能を妬み、みんなで一斉に前習えみんなが持つものがいいもの欲しいもの、という平均バンザイ日本の陰性な体質というものがよく出た考え方なのだろう。世の中、もうちょっと優しく思いやりを持てば「最悪」なんて言わなくてもすむのにね…。
投稿元:
レビューを見る
:一見無関係に思える三人が"最悪"に向かって転げ落ちていくさまがなぜか面白く、結びついたあとはジェットコースターのような展開でスピード感がある。
投稿元:
レビューを見る
最悪」な状況に陥った主人公3人の誰にも共感できないのに、最後までドキドキしながら読んだ。同じ世代の「みどり」の気持ちなんて、わたしは全く理解できない。そんな風だから自分から「最悪」に状況を呼び寄せてしまうんだよッ!と思うんだけど、それを言ったらこの話はすすまないので。映画とかにしたらどうでしょう?面白くなりそう。
投稿元:
レビューを見る
いや〜はや〜なにからなにまで最悪である。人生は何をきっかけに転げ落ちるかわかりませんねえ。慎重すぎる生き方も面白くないが、後で笑えなくなるような冒険もしたくないのう。
投稿元:
レビューを見る
おおまかなあらすじは知っていたので、登場人物達がいつ一点に集まるかを期待しながら読んでいた。思っていたよりずっと後半になってからで、その点が意外だったけど、タメにタメたという感じでより爆発度が強くなっている。(2001.9.15)
投稿元:
レビューを見る
久しぶりに本を読み終えました。
この本もボリュームがあったと言うのもありますが、実際は、まったく読まない期間がなく、読み始めたら早く読み終えました。それくらい次が読みたくなる作品です。
不景気でも地道に町の鉄工所を経営している川谷。
定職につかずパチンコとカツ上げで日銭を稼いでいた野村。
都銀の窓口業務につきながら年頃の娘らしい楽しみも無く、腹違いの妹の素行に悩まされている藤崎。
この3人のストーリーがばらばらに進行していきます。そして、3人とも自分ほどつまらない人生を送っている人間はいないだろうと思っています。
ばらばらの3人が出会うときに「無縁だった3人の人生が交差した時、運命は加速度をつけて転がり始める」ってことなんですが、実際は3人が出会うのはかなり後半。出会い方もほぼ分かったストーリーですが、実は3人とも「運命が転がり始めた」のは、出会う前で、むしろ出会ってからは「最悪」とは思うものの主人公たちの気持ちの中の捨て身の感情が見えてしまって「最悪」に思えないのです。
とっても面白い作品ですが、主人公たちを見ていると、「どうしてそんなことするの」「なんで決めちゃわないの」って外野から声をかけたくなりそうなほど歯がゆい行動があります。そのために「最悪」になるのでしょうけど、その分、感情移入はなくって、まるで第三者的な興味本位の目で見ている感じ。それこそ、自分にとって「最悪」なのに(^^;
2004.9.5
投稿元:
レビューを見る
日本からの帰りの飛行機で。奥田のどの本が直木賞受賞になったのか、帯ではよくわからなかった。現代日本の遣る瀬無い世相を映しこみすぎ。趣味ではない。
投稿元:
レビューを見る
≪秀逸な群像劇にして、胸に迫る感動。
作家性を如何なく発揮した傑作
第13回直木賞受賞!!!(文庫帯より)≫
『最悪』以外にタイトルのつけようがない、というのがまず第一の感想である。
小さな町工場の社長・銀行員の女性・パチンコ屋に入り浸り日銭を稼ぐ若者、同じ町で生きているこの三人の逃げ出したいこともあるがささやかな喜びもある生活が並行して描かれていき、あるところで突然とんでもない接点を持つのである。
それぞれの人物の思考と行動が、抗いようもなく裏へ裏へと迷いこんでいく過程は、読んでいても息苦しくなる。
ほんの少しだけゆっくり考える時間があれば、≪悪≫にはなっても≪最悪≫にまでは至らないのかもしれない。
投稿元:
レビューを見る
何の接点もない工場の社長とチンピラ、銀行員OLがだんだん関わり合いになってくる様は圧巻。気持ちを大いに揺さぶられました。怒りや悲哀などをリアルに感じました。展開の巧みさとリアルさに引き込まれていきました。
投稿元:
レビューを見る
文庫本としては痛い876円なり。分厚い。いかし小説を読むにつけ、当初の痛みは吹き飛んでしまった。まるで縁もゆかりもない男ふたり、女ひとりの三人がそれぞれの生活を営むうち、あることに吸い寄せられるようにして共通の事件に巻き込まれることになる。・・・。 こういうのを『群像劇』というのだそうだ。 たぶんこれまでに読んだことのない手法のように思える。 ずっとひとりひとりのシーンが別個に描かれるのだが、それが知らず知らずにかみあうようになる展開は、栞を挟み、閉じようとする機会を逃ししてしまう。 おかげで何度も時間を過ごしてしまった。タイトルの『最悪』は読んでいても さもあろう と思わせるものだ。
投稿元:
レビューを見る
不況にあえぐ鉄工所社長、セクハラに悩む女子銀行員、ヤクザに弱みを握られたチンピラがそれぞれに、ここまでもか?!というくらいに人生を追い詰められていきます。
とくに、鉄工所社長は年代的にも性格的にも自分によく似た境遇だったためか、身につまされるようなリアル感があって、読んでいながら、いい加減勘弁してくれよなぁ。。。と思わず呟きたくなってしまうほどに、せつない気持ちにさせてくれました。
ただ、3つの人生がようやく交錯したクライマックスの犯罪劇が、ドタバタ喜劇のようになってしまったのはちょっと残念。
2004/4/4
投稿元:
レビューを見る
登場人物の町工場のおっちゃんがあまりにも可哀想で、余程心の余裕がない限り、読んでるこっちまで辛くなってしまいます。それでも面白い上質なエンタテイメント。