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紙の本
戦い成長する人間の愛憎ドラマを食事も取らずに全16巻一気読みの贅沢な時間、、、目眩く展開に興奮!
2006/01/10 19:20
11人中、11人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ひまわりまるこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
以前3巻までしか読めなかったこのスペクタクル作品をお正月休みに完食! これは大人買いして自分の手元に置いておくべきか、、。 ジャンヌ・ダルク的少女の恋と冒険、それに伴う心の変化と成長を、戦いの連続でありながら全編に流れる圧倒的な美しさで描いている。 血の海の戦闘シーン、晒し首に磔、拷問にレイプとハードで容赦なし、残酷残虐だらけの戦国物語に目を背けることなく最後まで読ませるのだからスゴイ。 しかも、魅力的なキャラのオンパレードの中、一つ一つの人と生をタペストリーに織り込んでゆく作者の手腕には脱帽。 また、それら個性派揃いのキャラの掛け合わせ、鯨やイルカや象等の動物の登場にも無駄がなく、遥か未来に日本の歴史文化を上手く混合する抜群の構成。 BASARA、更紗、タタラ、、、ア音三連続の美しい日本語を巧みに入れつつ、古きと新しきとを共存させる和のセンスも良し。
勧善懲悪の時代ではないとはいえ、ミクロ的にもマクロ的にも被害者と加害者に分けて考えがちな世の中でバランス感覚を保つのは時によって難しい。 作者は常に勇気と誇りを力強い筆で描き、受け入れる為の葛藤や許しの祈りを伏線として入れることで被害者であり加害者である人のサガを浮き彫りにする。 虐げられた庶民を大衆としてはただ従うだけの生としても、それが個となると、梟の子・新橋に至るまで前向きで諦めない生として描かれる。 だから多分、どのキャラも熱烈なファンがいるのだろうな。 私は普通っぽくて一生懸命な菊音ちゃんとか、どこか外れてそうな多聞が好み。
敵同士恋に落ちる更紗(タタラ)と朱里(赤の王)は怒涛の運命に翻弄されながら、それぞれ二つの名前の間で苦悩する。 更紗として生きたい気持ちを抑え、「運命の子タタラ」を名乗り生きることを誓う更紗だが、情が厚く涙もろい少女の影を消せないが為に白虎に変身する時は意識なき物となる。 その呪縛を解くことになる母、その息子を殺し母を匿うカザン将軍の葛藤、逆らえぬ運命に生きる白の王・銀子と刺客の柊、廉子と長老の息子の悲恋等、もうそれだけで物語と成り得るエピソードが満載の中、更紗と朱里の恋物語は幼い頃から始まり、その成長ぶりが濃いものだから、やはり一等目立つ。 ただ、もしタタラが最終的に更紗であることを選んだのは女として生きることを選んだことだと勘違いするヤカラがいたら、それは作者が言いたかったことじゃないと思うよ。 四道の忘れ形見を守る為に強くなる千手姫とは違い、一緒に戦うことで一つになれることを望む、やはり更紗は最後まで人生の戦士であって、その為に朱里を求めてやまなかったと解釈するのが正解ではないのか? その意味において、千手姫の強さも更紗の強さも肯定する現代であれという作者の願いがあったのではないかと思う。
この物語には愛する女を守ることにかけては理想の男が多い。 茶々を側近として守り抜く座木も、更紗を追う朱里も命がけ。 だが、何と言ってもすごいのが揚羽で、更紗を自虐的献身的に守り抜く牢獄の場面や落城の最期は圧巻。 こんな人いるのかなんて考えちゃいけない。 ここはお話にどっぷり漬かって、その愛を感じて下さい。 平和な御時世に現実的じゃないという男性がいたら、まず揚羽ファン女性の研究でもするべきでしょう。
陰で活動する揚羽とジャーナリストの太郎の友情、太郎の壮絶な死にも凄みあり。 太郎の晒し首と向かい合う揚羽のシーンなんて、次の瞬間「サロメ」になっちゃいそうだもの。 氷に閉じ込められた父、幼児の操る大人、、古い映画や手塚治作品を思い出すが、違和感なく読めるのは、その組み入れ方が巧みなせいだろうな。
お婆ちゃんになっても目をショボショボさせながら本を読み、ドキドキワクワクして、ため息をつけなければ私なんて終わり。 でも、こういう作品があれば大丈夫かもと思います。
紙の本
エッセイ 光原百合さん
2021/07/10 11:52
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:nico - この投稿者のレビュー一覧を見る
外伝
3.NAKAMA・黄の話ー蜜柑ー
4.DAKARA・蒼の話ー桃ー
5.KATANA・虹の話ー銀杏ー
6.KANATA・赤の話ー木天蓼ー
7.SARABA・星の話ー新橋ー
8.TAKARA・黒の話ー桜桃ー
9.HAKAMA・紫の話ー梨ー
10.PAJAMA・花の話ーそれぞれの愛しき日々ー
11.SARADA・夜の話ー蕃茄ー
12.WAKABA・緑の話ー胡桃ー
13.SARASA・砂の話ーそしてはじまりの日ー
以上が収録されています。コミックス版だと26~27巻です。