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あまり面白くないと聞いてたのと、大きい賞とった作品に裏切られた経験が多いので期待してなかった。やっぱり本は読む前に期待してないのがよい。複雑な忍者の心理描写は全然一般人にもあてはめられるし、忍者の薀蓄ありーの、やや幻想チックなとこもありーので、飽きずに楽しめた。最期の司馬流新解釈の意外な結末もナイス。
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昭和34年(1959年)下半期直木賞受賞作。
安土桃山時代に宿命と戦った忍者達。
伊賀の葛篭重蔵と風間五平、甲賀の小萩
秀吉の暗殺計画は?
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【 戦国末期の忍者を活写した、直木賞受賞作 】
エンターテイメント豊かな歴史小説。
直木賞受賞作であり、その素晴らしさは折り紙つき。
一族の怨念と忍者としての生きがいをかけて
秀吉暗殺を狙う伊賀者・葛籠重蔵と、
忍者の道を捨てた相弟子の風間五平という、
対照的な2人の忍者の生き様を
活写する忍者ものです。
キャラが一面的でない色々な顔を見せるという
リアリティの高さも素晴らしい作品です。
読了日:2005.11.06
分 類:長編歴史小説
ページ:518P
値 段:705円
発行日:1959年9月講談社、1965年3月発行
出版社:新潮文庫
評 定:★★★★★
●菜の花の独断と偏見による評定●
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文 章 :★★★
描 写 :★★★★+
展 開 :★★★★+
独自性 :★★★★★
読後感 :★★★★
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---【100字紹介】------------------
一族の怨念と忍者としての生きがいをかけて、
秀吉暗殺を狙う伊賀者・葛籠重蔵と、
忍者の道を捨てた相弟子の風間五平。
戦国末期の権力争いを背景に、
二人の伊賀者の対照的な生き様を通し、
陽炎の如き忍者の実像を活写
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久々に素晴らしく高評価してみました。
いや、傑作です。面白い。
司馬遼太郎の歴史ものとしては、時代考証の説明的文章が少ない作品です。エンターテイメント性の高さと、アクションの多さも例がない感じ。(それは単に、菜の花の勉強不足かもしれませんが…。)一瞬、完全オリジナルか?とも思いましたが、最後の最後で実はこんな史実があってね、というお話が登場。
巧い…巧すぎます。そうくるのか、と。この辺りは、最初から通読して余韻に浸るときに登場しないとインパクトが弱まってしまうでしょうから、内容には触れません。是非、ご自分でお確かめ下さい、ということにしておきましょう。
とはいえ、実際には「この人物がこういう性格で、こういうことをなしました」というような懇切丁寧な伝承があるわけではありません、勿論。登場人物たちに思想を与え、動きを与え、彩鮮やかに描き出したのは司馬遼太郎なのです。
本作は元々、中外日報という仏教系新聞で連載されており、その後に1冊として出版されています。同年の直木賞を受賞し、文庫になったのは6年後。その12年後に改版しています。ちなみに菜の花が手にとったこの文庫は1999年に刷られたもので、(司馬遼太郎の死後に発行されているのですね)八十三刷になります。すごいですね。まず最初の発行年1959年と言えば、菜の花の親御さんでさえまだ小学生だったかと思われます。その娘がまた子どもを持っていてもおかしくないくらいの年齢になって、まだ最近発行されたばかりの同じ作品を読む…、それだけで、どれほど本作が愛され、大切にされてきたかが分かります。
本作刊行当時は経済高度成長政策が打ち出された消費ブームであり、週刊誌の発刊も相次いだ時代小説の大変流行ったとか。そしてその風潮のせいか、ドライで���ピーディ、そして艶事の場面の多い作風が本作でも見られます。
エンターテイメント性の豊かさ=軽さにつながらないところが時代なのか、作風なのか…。きっとこれこそが司馬遼太郎の知的さなのだろうと思います。
内容としては暗く、重い感じすらするのですが、読み進むことに何の抵抗も感じません。読みやすさはテンポの良さの賜物であって、決して軽さではないのだと実感しました。
この作品の凄さの一端はやはり、キャラの造形かな、と思います。エンターテイメント系小説でありがちな、やたらに万能で、どこか人間離れした人格の持ち主、というのは殆どいらっしゃらない。いや、誰もがある意味、人間離れしているのですが、なんと言うか、一面的でない。色々な顔を持っているし、それぞれの思惑も、説明しきれない欲もある。それこそが妙に、人間らしい。1人1人が深いのです。
利己的で、プライドが高い。
そんなキャラたちを一歩退いた冷めた目で描き続ける著者。この「一歩退いた」こそが、司馬遼太郎の筆の特徴ですよね。勿論、主人公になりきって、主人公と共に冒険する小説もあります。けれど一歩退いたからこそ、見えるものがある。そして、退いたからと言って、主人公たちの緊張感を読者が共有できなくなる道理は決してないのだ、ということも本作を読めば分かります。
司馬遼太郎の文は、何が特に優れているというわけでもないのに、それが書き連ねられ、物語になると突然、素晴らしく輝きだすのです。不思議。
これはお勧めの1冊。語り継がれた傑作をどうぞ、という感じ。でも世界文学全集に立ち向かうみたいに、肩肘張って読まなくても大丈夫。娯楽のための、名作です。
●作品データ●
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主人公 :葛籠 重蔵
語り口 :3人称
ジャンル:歴史小説
対 象 :一般向け
雰囲気 :エンターテイメント性豊か
解 説 :村松 剛
受 賞 :昭和34年下半期 直木賞
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「伊賀には、人外の化生(けしょう)が棲むのか」(織田 信長)
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信長に家族・一族を惨殺された復讐と忍者として美しく生きたい願望を持つ伊賀忍者、葛籠(つづら)重蔵。その相弟子の風間五平は、忍者と伊賀を捨て仕官の道に走る。敵味方に分かれた二人。秀吉暗殺を狙う重蔵とその重蔵を捕まえて立身出世を狙う五平。師の娘木さると甲賀忍者の小萩が物語に華を添える。最後は「そうくるかー」と思った。ちょっと現実離れの感もあるが、物語に入り込むとかなり楽しめる。歴史小説というよりは時代小説ですね。
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「梟の城」は歴史の影に生きた二人の忍者の生涯を綴った作品。秀吉の暗殺に全てをかける葛篭重蔵のストイックな生き様がカッコイイ!
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こんな陳腐な表現でもの凄く申し訳ないですが、神 小 説 降 臨、と心底叫びたくなるぐらい面白い小説に出会ってしまった。もう、この小説の素晴らしさとか、私の少ない知識では語りきれません。まず、登場人物が賛否両論あれど、もの凄く魅力的で、何よりもそれぞれの思考が深いのなんの。また作者の登場人物に対する深い考察により実現出来た心理戦。そして、時代小説ならでわの戦闘シーンは中々の迫力。そしてなんとも負けたーと思ったのが、独自の解釈による落ちの落とし方。上手い。上手すぎます!結構厚みがあったけど、展開に苦しみながらも割と早いペースで読了。それにしても、恋に翻弄される女の子はいつの時代も報われない。うう、木さる!
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もう好き過ぎてしょうがない。
五平の顛末が凄く怖かったなぁ……映画だと上川隆也さんの顔が凄かった。
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たいへん昔の作品である。昭和33〜34年の作品で、第42回の直木賞を受賞している。
新潮文庫版で読んだ。文庫版の発行は昭和40年。しかし、昭和52年に改版されている。何故こんなことを書くのかというと、本の末尾に「文字づかいについて」の注意書きがあるからである。この表記があるということは、発表当時と文字づかいが異なっていることを意味する。
だから読みやすいのか?
それは判らない。しかし、後世にはこの文章で伝えられていくわけだから、この形で評価したいと思う。
もう一度書く。たいへん読みやすい。
忍者が主人公の物語である。戦闘シーンの描写は簡潔で、かつ躍動感があり、実におもしろい。余談になるが、戦いで手首や腕を切り落とすやり方は、池波正太郎の「剣客商売」にも頻繁に出てくる。当時としては、命はとらずに戦闘能力だけをそぎ取る、「情け」のある戦い方のようである。
全体的な調子としては、どちらかというと、淡々と話が進む。抑えたトーンである。
主人公の生き様もまた、ある意味、淡々としており、武士道以上の「忍者道」のようなものを感じさせる。
小説として、王道といってよい文体で、内容の「おもしろさ」から言っても、時代小説の入門としてはおすすめの一編である。
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司馬遼太郎の出世作であり代表作。以前映画でみたことがあったので、ストーリーはよく知っていたが、どういうわけか、個人的に司馬遼太郎の本は読みづらかったのでさけていた。たまたま、和田竜の忍びの城を読んで、伊賀忍者にすごく興味をもったので、読んでみた。
あまりにも有名な小説なので、内容にはふれないが、司馬遼太郎の繊細な表現が、すごく風景にでてくるので、あたまで描きながらよめた。司馬遼太郎を避けてきたのは、司馬ワールドに入りこめるのに時間がかかることがわかった。次回読む場合は、この部分をちょっと我慢して読もう。
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司馬先生ってやっぱ面白いなーと再認識した本。
実は前にも読もうと思って挑戦したことあったんですけど、そのときは挫折。
で、忍者もの読みたいなーと思って再挑戦したら結構読めてしまった。最後のオチが個人的にはすごかった・・・
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【所持有無】×
【読了日】090110
【キーワード】司馬遼太郎 伊賀忍者 秀吉暗殺
【所感】部署の人から借りる。おお、司馬遼太郎って、すごいんだ…!文章が抜群に上手なのね。人物の内面の描写(心の動き)。ものすご過ぎるアクションシーンが無いのも良い。最後、「おなごのまこと」が特段活きなかったかな。
【備考】
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最初は、暗くて読みにくいなぁと思っていたのですが、それでもちょこちょこ読んでいくと続きが気になって仕方なくなりました。
終わり方がすごく好き。
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仇としていた信長が亡くなり、生きる希望を失っていた伊賀忍者・葛籠重蔵。
そんな折かつての師匠・下柘植次郎左衛門から、
太閤秀吉の暗殺依頼を受ける。
忍者としての生涯を華々しく終えることを考えていた重蔵は
依頼を引き受け、秀吉暗殺に乗り出す。
忍者のお話しを読んだのは初めてでした。
結構忍者世界も奥が深くて、
いろいろ確執があったりもするんですね。
くの一なんかも出てきて
読み応えは抜群でした。
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司馬遼太郎は歴史上の実在の人物を主人公にして多くの小説を書いていますが、梟の城はほぼ架空の人物たちを中心として書かれた小説です。フィクションだと思い読んでいても、本当に当時こういう乱波がいたのかな、とか、むしろいてほしい、とか思ってしまいます。
乱波の精神状態を現代日本で持つことはできるのかな?
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忍者というものがどういうものか理解してきた途中から続きが気になって仕方がなかった。
ラストに衝撃の事実があってやはり作家さんとは想像力の造りが凡人の私とは違うなと感じた一作でした。