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ビッビ・ボッケンのふしぎ図書館 みんなのレビュー
- ヨースタイン・ゴルデル (著), クラウス・ハーゲルップ (著), 猪苗代 英徳 (訳)
- 税込価格:1,760円(16pt)
- 出版社:日本放送出版協会
- 発行年月:2002.11
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紙の本
オーロラの空から本が降る
2003/01/15 22:44
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:栗山光司 - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書はノルウェーで1993年を図書年として、全国の6年生に無料配布された記念本である。著者のヨースタイン・ゴルデルは日本でも評判だった『ソフィーの世界』で馴染の人で友人のユーモア作家と共同執筆で政府の図書年実行委員会の委託を受けて出版された「本についての本」である。内容は推理と冒険とファンタジー仕立になっており、オジサンにとっても、面白さをしゃべりたくて堪らないが、口に蓋をします。不思議図書館の鍵だけ渡します。魔女かそれとも、優しいお姉様か? 書誌学者ビッビ・ボッケンがニルス&ベーリットに様々な謎を仕掛ける。その謎に導かれて、ふたりの少年少女は、この国家プロジェクトと同時進行的に「可能性の部屋」の未来の本に接続し、自分たちの本を誕生さす。
そして、追記でニルスとベーリットが、ぼくたちの本が日本で出版される報を聞き、=きょうの午前中に、出版社の人から電話があったの。かなり意気込んでいたわ。信じられないことだけど、わたしたちが12,3歳のころに書いた本が、ひとり立ちして、知らないあいだに外の大きな世界を動きまわっていたみたいなの。(中略)その本が、こんど日本でも出版されることになったのよ、ニルス! 日本語には「漢字」っていう表意文字と「ひらがな」っていう表音文字があるってこと、知ってた? 日本人は何千何万という漢字を識別しながら本を読んでいるのよ。日本のような「超」がつくハイテク国家でも、いまだにたくさんの本が読まれているみたいね。=ベーリットは溜息つく。「ああ、『ビッビ・ボッケンのふしぎ図書館』を日本語で読めたらなあ。さぞかし刺激的な経験になると思うんだけど!」
彼女に代ってぼくたち(大人のオヤジも含めて)はオーロラの空から飛んできた、このふしぎ本を日本語で読む事が出来る。そして、氷河の地中深くにつくられた不思議図書館の秘密を夢をまざまざと思い描くことが出来る。
雨つぶが/軒下にぶらさがって/……いない (ヤン=エーリック・ヴォルグ)
かような本が6年生全員に無料配布されるお金の使い方は日本では真似が出来ないのか。アメリカの様に世界を支配する軍事大国であっても、4500万人の人々が健康保険を持たない貧しいインフラ体制を模範とすれば、そんな発想は出てこないだろう。
こどもたちに「生き延びることができるものは、生き延びよ」というメッセージを告げる内田樹の『「おじさん」的思考』(晶文社)の「こどもから大人になるには」倫理が不在でも、不在のモラルに掛け金を置いて見る佇まいからしか、名人のラーメンの味の秘密を受け継ぐことは出来ない。と、哲学者であり武道家でもある彼の「説教」を聞く事が出来るが、この本はそんな子供達に21世紀を生き抜いて欲しいという想いに満ちた愛情溢れる本である。「わたしたちは、どこから来て、どこへ行くのか」と誰でも突き当たる世界の対する問いを『ソフィーの世界』では冒険とファンタジーの物語として、日本語でも読む事が出来たわけだが、今度は「印行本」や「デューイの十進分類法」など、「本についての本」の勉強が楽しみながら出来る。
ゴルデルさんはエンターティメントの芸を持った「哲学おじさん」なのだ。何故か、「日本の哲学おじさんの本(内田樹)」と合わせ技で読んだので、脱線気味の一文になりました。この本の古書店主マリオ・ブレサーニは柔道の使い手でもあるのだが、哲学おじさんたちは東西を問わず古武道が好きらしい。「お先にどうぞ」が日本の武道の真骨頂である。待つこと、使うためでなく、使わないために武がある。そうそう、ビッビ・ボッケンは実在の元アメリカ副大統領ウォルター・モンデール氏と古い知り合いらしい。
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