紙の本
小さな物語の、びっくり箱のような未来。40編。
2011/02/22 19:03
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:toku - この投稿者のレビュー一覧を見る
人々は、そこに輝かしい将来があると信じるからこそ、未来に思いを馳せる。
しかし星新一の描く未来に読者が期待するのは、何が待っているか知れない、びっくり箱のような未来だろう。
本書には、ひとにぎりほどの小さな物語を待ち受ける、驚くべき意外な未来が描かれている。
そんな未来が待つ物語をいくつかピックアップ。
【かくれ家】
強盗をしたあげく、追っ手への恐れから精神的に追いつめられたエヌ氏は、神経科の医者を訪れた。
自首を勧める医者。刑務所に入りたくないと哀願するエヌ氏。やり取りの末、その医者はあるかくれ家を紹介した。
数年後、彼が大手を振って世間を歩けるようになった、その隠れ家の秘密に仰天。
真実を知ったエヌ氏の、複雑な心境が手に取るように感じられる。
【進歩】
ロボットが出社し、主人の代わりに業務をこなす未来。人は働かなくてもいい時代となった。
しかし出世するには、より会社に貢献できるようロボットの性能を向上させる、主人の能力が必要なのだ。
仕事をロボットに任せて楽になったものの、どこか歯車のズレた未来を描く。
システムエンジニアの能力いかんによって、システムの出来が左右される現代も似たようなものか。
【番号をどうぞ】
コンピューター・サービスが普及し、快適となった時代。休暇で訪れた先の湖に落ちたエヌ氏は、財布やカードも湖へ落としてしまった。
洋服店に入り、全身ずぶ濡れで状況を説明し、新しい洋服を求めるエヌ氏。店員は言った。「カードの番号をどうぞ」
コンピューターの管理によって快適となった反面、すべてを番号で管理される社会の不便を描く。
国民総背番号制が検討されている現在、こういった不便の起こりうることを知っておいてもらいたいものだ。
【破滅の時】
円盤状の物体は地球着陸前に爆発した。その寸前に宇宙人は脱出。しかしある言葉を残して死んだ。「このままでは地球が破滅する」
地球は一丸となって、戦争、公害、病気など、あらゆる問題に取り組んだ。その結果、この平和に満ちた発展を獲得したのだ。
未来への不安を一掃し、輝かしい未来の待つ地球に突きつける、意外な未来に驚愕。
日常にも、知らない方が良かったという未来もあるはずだ。
【世界の終幕】
人類問題研究所が多くの家庭に配った、各国の核兵器を同時爆発させるというボタン。全員が平和を心がけていれば、核爆弾は爆発しないのだ。
しかし自暴自棄となった人間は……。
ボタンの意外な真意に驚きつつ、なるほどと納得。
手元にある作動させてはならない物への好奇心は、人間の心理を的確に突いている。
【その他収録作品】
コビト、古びた旅館で、怪盗X、塔、にこやかな男、お待ち下さい、拳銃の感触、異変、愛の作用、成熟、はじまり、遠距離通勤時代、爆発、うちの子に限って、極秘の室、第一部第一課長、代償、新しい装置、感謝の日々、妙な幽霊、流行の病気、依頼王、気の毒な症状、ある建物、犯罪の舞台、幸運の副産物、なわばり、くさび、お祈り、帰郷の手続き、はい、自信にみちた生活、平和の神、涙の雨、フィナーレ。
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天才・星新一の短編集。全40編。SFはあまり読まないけど、星新一は別。さすが、ウルトラマンの基となった「Woo」の製作に関わってただけのことはある。一番面白かったのは「涙の雨」。日本がこんな国になったら面白いかも。(なにせ私は酷く涙腺が弱いからだ。)
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脳波を調べ、食べたい料理を作る自動調理機、眠っている間に会社に着く人間用コンテナなど、未来社会をのぞくショートショート集。
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未来の話は面白い。
「異変」「塔」「遠距離通勤時代」「爆発」「かくれ家」「感謝の日々」「流行の病気」「番号をどうぞ」「ある建物」「はい」「自信にみちた生活」が好き。
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現代、なんかなぁー、て思いながら分類。
よみやすいで、意外性があって、ウィットとエスプリに富んだ話ばっか。
一時期読み漁りよった星さんのショートショート集のうちの一冊。
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ショートショート40篇
コビト 古びた旅館で 怪盗X 塔 にこやかな男
お待ち下さい 拳銃の感触 異変 愛の作用 成熟
はじまり 遠距離通勤時代 爆発 うちの子に限って 極秘の室
第一部第一課長 代償 新しい装置 かくれ家 感謝の日々
妙な幽霊 流行の病気 進歩 依頼主 番号をどうぞ
気の毒な症状 ある建物 犯罪の舞台 破滅の時 幸運の副産物
なわばり くさび お祈り 世界の終幕 帰郷の手続き
はい 自信にみちた生活 平和の神 涙の雨 フィナーレ
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短編小説を集めたものなので気軽に読み始められる。
内容は短いながらもユーモアやウィットに富んでいて、時に考えさせられる内容もある。
発行日を見ると約30年前なのだが、そんな古さを全く感じさせない。
一話が短く読みやすいので、何かの待ち時間などに簡単に読める本である。
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NHKで放送された星新一のショートショートでとても印象深かった「はじまり」が収録されていたので読んでみた。
原作も素晴らしい。表現が的を射ている。
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【あらすじ】
脳波を調べ、食べたい料理を作る自動調理機、眠っている間に会社に着く人間用コンテナなど、未来社会をのぞくショートショート集。
【感想】
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コンテナごと通勤する「遠距離通勤時代」、ほんとうにできてほしい夢です。
延々と続くありがたい申請手続「第一部第一課長」、ありそう!
この本が刊行されたのは、昭和44年、この当時からこれだけの事を考えていたって本当にすごい!
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久々に読んだショートショート。読みやすくてよい。
おもしろかった作品
・強盗aとcが、各々盗んだお金の山分け分を増やすため「ひとり消してしまおう」とbに話を持ちかけるが…「成熟」
・墜落したUFOから出てきた宇宙人。今際の際「地球はこのままだと破滅する」と言い残す。それを聞いた地球人が破滅を回避するため奔走するが…「破滅の時」
・不仲だった夫婦。ある日、妊娠したと妻が夫に告げるが、医者に診てもらうとそれは想像妊娠だった。夫は気付くまで黙っていたが、妻は別の医者に診てもらい出産の準備を始める。どちらが本当なのか夫は混乱してゆき、ついに出産の日を迎える…「くさび」
・優柔不断な男。それが、何でも答えを出してくれる「身上相談機」を手に入れてから、自信に溢れる人間になっていく。機械は決して開けてはいけないと言われているが、次第にこの機械がどんな仕組みなのか気になり出す…「自信に満ちた生活」
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手軽にサクッと読めるのがショートショートのいいところ。ただ、星新一は妙に保守的なところがあってげんなりさせられることがある。高度に文明化された未来社会という設定なのに「男が外で働き、女が家を守る」という性別役割分担がなぜかそのままだったり…それは違うだろ!と突っ込みたくなる。
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今の時代で問題になっている事柄を違った視点で(地球の外から地球を俯瞰している感じで)書いていてとても面白かった!
それにショートショートでいろんな話があって飽きずに楽しめたと思う♪
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わりとブラックな話満載の典型的なショートショート。"技術の進歩が身を滅ぼす"といった、星新一の真骨頂テーマが多く、だいたい先が読める。しかしながら、そこからもうひと展開有るんだよね。ミニブログでの短文コネタに実に参考になる。
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久々に読んだ星さん。
中学の頃にはまったけれど、怖い話もあったりして、しばらく離れてました。
ショートショート面白いです。展開が読めそうで読めない。
大人になって読むと眠れないくらいの怖さはなくて、よかったです。