紙の本
60年の酒造技術者が“酒は純米,燗ならなお良し”,という主張を論理的に展開.
2005/01/23 22:32
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投稿者:格 - この投稿者のレビュー一覧を見る
酒造技術者として60年の経験のある著者が『酒は純米,燗ならなお良し……』という信念を語った書である.本書の中心は第1章と第3章である.
第1章は,“日本酒とは純米酒のことである”.アルコール添加が始められたのは昭和18年,米不足の時代にそれでも酒税を多く取るための手段だったのだ.その苦肉の策として始まったものが,戦後米が余る時代になっても,アルコールが安いものだからつづけられてきた,という.少量ならいい,という議論もあるが,10%ならよくて,11%なら悪いというのは,論理にならないのは確か.したがって,著者は,米と水だけで作るという明確なコンセプト,原典に立ち返れ,と主張する.
実際,味の面からみても,醪をしっかりと発酵させ,味を切りきることによって生み出される清らかさ,爽やかさ,米の旨味に由来する味のふくらみ,という日本酒が本来もっている良さが,アル添により,だいぶ損なわれてしまう,という.さらにアル添により酒が弱くなり,貯蔵して美味くなるという日本酒の本領も発揮されにくくなるとのこと.
また,アル添をした普通酒や本醸造酒の消費量は大変な勢いで減り続けているが,純米酒はそれほど変わらないか,わずかずつだが伸びているという.たしかにそのような感じもあるが,数字で示してほしかったと思う.ここまで明確にアル添は悪い,という主張は珍しいのだが,筋は通っている.私も飲むなら純米酒と決めているのだが,理論的にも裏付けられたと考えたい.
第3章は,“純米吟醸酒を燗にして飲む”.著者は成人してから,週2回の休肝日(この日はビールを飲むそうだ)を除いて,一日4合の酒を燗で飲み続けているそうだが,健康そのものという.健康法とすら言えるのかもしれない.アルコールは体温と同程度にならないと胃壁から吸収されないので,冷やで飲むとなかなか酔わない.あるところから一気に酔いが回りはじめ,結局酒量の限界を超えてしまう.逆に,燗酒は胃壁からの九州が速く,じわじわと心地よく酔っていくから,飲みすぎるほど生ない.飲んでいるうちに体がホカホカと温まり,仕事の疲れやストレスも解消されていく.さらに冷やでは酒の冷たさでしたが刺激され,感覚が鈍くなり,美味く感じられる料理が限られる.燗にすると口当たりが軟らかくなり,料理との相性も広がるから食事も進む,というような利点もあるらしい.
私の純米酒消費量がぐんと増えそうである.
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著者の趣味は読者と一致するか ?!
2011/11/26 19:03
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投稿者:Kana - この投稿者のレビュー一覧を見る
著者は現役時代から広島県工業試験所で日本酒にかかわってきた. 著者は日本酒は純米酒であるべきだとかんがえていて,この本ではそういう著者のかんがえが展開されている. しかし,世の中にはそれとはちがうかんがえがあること,そのなかには尊重するべきかんがえもあることもみとめている.
酒の趣味はひとによってちがう. だから,読者は著者のかんがえが自分にあっているのかどうかを,みきわめるべきだろう. すくなくとも私のかんがえとはあっている. 著者が評価している純米酒専門の福光屋の酒 (たとえば福正宗) はやすくてうまいとおもう. もちろん著者はもっと値のはる酒も評価しているが,やすくてうまいものに関して意見が合ったことはうれしい.
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入門者には少し難しい内容かなぁとも思うが、著者の酒つくりに対する厳しい姿勢そして愛情を感じることができる一冊です。
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上原浩,漫画「夏子の酒」に登場する「上田久先生」の実在モデルだ.酒造界の生き字引と呼ばれているだけあってうんちくと日本酒への愛情が随所に伝わってくる.米だけの日本酒以外は日本酒と呼んではいけないとの著者の発言はまったく同意する.日本の純米酒の比率は清酒全体の10%に過ぎない.日本酒に悪いイメージを持っている人であれば,それを払拭させてくれる一冊だ.
ひたむきで愚直な酒造りをしている酒造会社とその思いが伝わってくる.この本とあわせておすすめなのが,「世界一旨い日本酒 熟成と燗で飲る本物の酒(著者:古川修)」だ.これらを読めば,純米酒を熱燗でいっぱいやりたくなること間違いない.ちなみに,私はぬる燗が大好きだ.
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酒造技術指導家と言うだけあって辛口のトークには説得力と酒へのやさしさが込められている、ますます日本酒が好きになってきます。
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著者は素人向けに分かりやすく書いたって言ってるけど、
それでもかなり専門的な感じもする本でした。
主張がくどいまでに繰り返されてるし、
読みやすいとはとても思わんかったな。
まぁ日本酒を詳しく知りたい人は一読の価値アリと思うけど。
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日本酒概論の部分と、それを踏まえた上でうまい酒とは何か、という部分を教えてくれる。また、日本酒好きの人からは非難の的になりやすい「アルコール添加」についても歴史的背景からその役割について触れている。読んで呑み、お気に入りの一杯を見つけてほしい。
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酒造技術指導第一人者の著者が、
酒造りの過程、オススメの飲み方、
今の日本酒業界について書いており、
日本酒のことを知る入り口としてはすごく良い本だと思う。
純米酒の熱燗が飲みたくなります。
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純米酒の人気が高まっている。良いのは醸造用アルコールが混ざっていないので翌日に残らない。また米と麹と水のコラボでさまざまな逸品が出来上がる。本書は銘柄的には少し旧いところはあるが、読んでて思わず酒屋に寄ってしまいたくなるのである。
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[ 内容 ]
酒は純米、燗ならなお良し―。
本来、米と水だけでつくる日本酒は、これ以上ないほど安全で健康的な食品である。
しかし戦中戦後の緊急避難策として始まったアルコール添加が定着し、経済効率のみが優先されてきた結果、「日本酒は悪酔いする、飲むと頭痛がする」といった誤解を生じさせ、今日の危機を迎えた。
我が国固有の文化である日本酒はどうあるべきか。
六〇年近く、第一線の酒造技術者として酒一筋に生きてきた「酒造界の生き字引」が本当の日本酒の姿と味わい方を伝える。
[ 目次 ]
第1章 日本酒とは純米酒のことである
第2章 純米酒に対する誤解
第3章 純米吟醸酒を燗にして飲む
第4章 米とつくりの重要性
第5章 酵母の命が酒の強さを生む
第6章 誰が日本酒をダメにするのか
第7章 良い酒販店、飲食店の見分け方
第8章 上原流「〓(き)き酒」指南
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[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
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日本酒とはもともと純米酒であり、適度に熟成されたものに燗をつけて飲むべきだ、という極めて明瞭な主張の本。見方を変えれば、酒造りの世界でもアル添・三倍増醸といった戦時体制の呪縛が解けていないということか。諸君、飲むなら美味い本物の酒を飲もう。
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そのとおり、と思うか、そうでもない、と思うかは人それぞれだが、日本酒を楽しむときのベースとして、読んでおきたい一冊。
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酒造業界における生き字引による純米酒の勧め。本醸造が必ずしも悪いわけではないけど玉石混合なので、日本酒は純米酒にすべき、アル添するなら日本酒ではなく清酒を名乗れと、なるほど。
熱燗の勧めや、加水での調整など、日本酒の飲み方ガイドも目からうろこでした。
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お酒が飲みたくなる。。。埼玉の神亀は近所に売ってるのでたまに飲む。割り水して良い具合に飲むというのも良い。
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真摯で一家言ある人柄がにじみ出ている。理想論を振りかざさず、現状を前提に如何に変革していくか、他にも通じるものがある。