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講道落成式での、秀坊ん、孝二の演説シーンが圧巻。
研鑽は最大の攻撃力となり、最大の防御力にもなる。
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浦野所有。
いよいよ物語が動き始めた、という感じですね。差別とはなにか、自問したり、仲間や親戚と話合ってきた孝二が、ついに人前で大演説。その内容は、第一部以来の一つの集大成ともいうべきものでしょう。
また作中にはこれまで同様、人々の悲しみを伝える名文もありました。中でももっとも悲しかったのが、無理心中で果てた妹に向かって述べた、なつの言葉です。
「せやから、わて今夜はとっくり言うたります。“しげみ、こんど生れてくる時は、よう気イつけや。こんな小森みたいなとこには、もう二度と生れてくるもんやあれへぬで。” て。せやけど、小母はん、こんなン、人情に外れてますわなア。ほんまなら、“また此処に生れてきてや。わてら、待ってるで。” こない言うたるのが人情やのに、それが言われぬなんて、こんなむごいことがありまっかいな。」
泣けます。
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子は母と祖母と亡父を敬い、親たちは子を愛し、互いに会話は欠かさず、家族みんなが貧しいなか自然の恵みに感謝しながら精いっぱい生きていく姿はとても美しい。我々が忘れてしまった良きたたずまいがそこにはある。
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2011/05/09:借り本。
2011/06/20:読んでいる途中で『日本の1/2革命』を先に読んでしまったり。
そのせいか水平社の設立が革命の準備段階に見えてしかたありませんでした(汗)
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表紙裏
シベリア出兵に加わって生死が気遣われる誠太郎。大阪で働く清一と難波の遊郭に身売りしたしげみの上におこった思いがけぬ事件――。さまざまな悲しみ、喜びの日の過ぎてゆくなかで、秀昭、和一を先頭に孝二、貞夫らの青年達が心を一つに新しい歩みを開始する。“全国水平社結成”それは、屈辱にまみれた生活の底から人間の真の自由と平等を求める部落解放運動のさきがけであった。
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呆気なく戦死するもの、ひょんなことから病死してしまうもの、それでも良い人生だったと思われるもの、兵役でシベリアに行きながら生き延びて帰るものなど、過度な誇張も悲劇的な表現もなく、ドキュメンタリーを淡々と見せられているかのような描写が続く。一方で大正の時期の部落解放運動が本格化する流れ。この流れに巻き込まれながらも、人間の本質を追求しようとする若者ら。
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高齢の岩造は、エッタに生まれたのはわが身の不運、持って生まれた恥、本人の責任と。若い貞夫は、エタは世の中の責任で、自分たちは被害者だと。エタ論議は松川高等小学校の同窓会でも展開。佐山貞一に対する村上秀昭の演説、大垣久雄に対する畑中孝二の演説。平民の中に秀昭や孝二の話に心を動かされる者たちが少しずつ・・・。畑中誠太郎は大正10年11月20日、満期除隊。年内に結納、婚礼、安井誠太郎に。住井すゑ「橋のない川」、昭39.4刊行。杉本まちえと孝二の間に進展はあるのか?! 水平社創立大会も間近に。
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大金持ちが金を手放して貧に寄り添い、共に働くば貧を理解せ得るだろうか。
否、貧乏とは物の不足のみではなく「欠乏の恐怖と憂懼」も含まれる。差別も加えたのがこの部落。
逃げ続けることで追いかけてくるエタ。生まれで決まらぬと受け入れることで、エタは追うのをやめる。逃げきれられるものではないのだ。
「僕は結局のところ、恋愛とはその人にいのちの尊さをさとらせて、生きぬく力をつかませるものだと思うんです。」