紙の本
総合病院は、人の悲しさや、喜びがいちばんあつまる場所。
2003/09/03 08:53
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:山本 新衛 - この投稿者のレビュー一覧を見る
横山秀夫さんの活躍で、わたしたちは、警察内部でさまざまな職務にたずさわる人々に出会うことができた。あたりまえだけれど、刑事ばかりが警察官ではなかったのだ。さらに、それぞれの警察官が、わたしたちと変わらぬ感情を持った組織の人であるということがよく分ったのである。そしてここに、新たな職務にたずさわる警察官を書いた作品が登場した。▼ネゴシエーター。旅客機や大型バス、公共施設、銀行などに、人質を取りながら犯人が立てこもった場合、登場するのがこのネゴシエーター、交渉人である。緊張した現場で、犯人とのやり取りの一切を引き受け、犯人が何を求めているのかを正しく分析し、人質の安全を優先しながら事件を早期解決に導く。現場の最高責任者である。かれらは、特別な機関で、心理学などの特殊な教育をうけた専門職だという。現実にもありうる話である。▼事件は、コンビニに三人の強盗が入ることから始まる。強盗たちは、逃走過程で偶然をよそおって病院に押し入り、患者や医者、看護婦を人質に立てこもる。▼総合病院。人の悲しさや、喜びがいちばんあつまる場所。犯人にとって、立てこもる場所は、そうした日常的な施設でなければならなかった。加えて、強盗は三人組でなければならなかった。この段階から、周到に用意された作者の罠にみごとにはまっていく。ただし、その理由は終局を迎えるまで分からない。▼総員を挙げて病院を包囲する警察当局。このとき、犯人グループとの交渉に呼ばれるのが、ネゴシエーター・石田修平である。かれは、アメリカFBI仕込みで、警視庁きっての交渉人だ。病院脇の図書館に本部を置き、犯人グループとの交渉を開始する。犯人の一言一言、行動のひとつひとつによって状況がめまぐるしく変わる。対応に追われる警察側。このかけひきそのものに、この作品の醍醐味がある。耳慣れない職務を説明する必要からか、やや説教くさい一面もあるが、展開がスピーディであきさせない。そして、終局には、あっと驚くどんでん返しが待っている。▼ただし、スーパーマンはあくまで、あこがれの存在のままで終わって欲しかったと思う。スーパーマンにとって、個人的な恨み辛みなど必要ないからだ。▼かつての石田の教え子・麻衣子、所轄の老警部・安藤、病院の跡取り息子で誤診を繰り返す医者の小出陽一郎など。石田と事件を取り巻くまわりの人物、物語で重要なカギを握人間の書き込みかたがもうひとつ足りないため、ワクワクするスーパーマンの活躍がしぼんでしまったように思う。残念でならない。▼犯罪が高度に複雑化した現在、交渉人制度の必要性を正面から問うた秀逸な娯楽作品である。
投稿元:
レビューを見る
せっかく「交渉人」というタイトルなんだから、もっと真っ直ぐにネゴシエーション中心にした話にすれば良かったと思いましたね。
投稿元:
レビューを見る
途中まで読んで、あ、前に読んだ・・と思いだした私。情けない。。結構ぐいぐい読ませるのだけど、最後の「大どんでん返し」がデキすぎて、逆に食傷気味。他作品も読んでみるか。もう一回チャンスを与えることにする(ナニサマな私)
投稿元:
レビューを見る
いや、これは思いっきりウラかかれたよ。
最近読んだ「ピエロ」、「バチスタ」、「犯人に」はけっこう前半で展開や犯人の予想がついちゃったんだけど、これは全然読めなかった。笑
とは言え、だまされたかと思ったら最後はちゃんとタイトルどおりの締めになってて結構感動。
(2007/11/21)
投稿元:
レビューを見る
2008/02/09
偶然にも今、米倉涼子主演で「交渉人」ってドラマやっているけれどそれとは関係ない。
卓越した交渉力をもって病院の立てこもり犯と退治する交渉人飯田。しかし、結果は人質3名の死亡…途中までは息詰まる展開、だったけど。なんかこのままでは終わらないんだろうなぁ思ったらドンデン返し。そのものはあっという感じだったし面白かったけど。やっぱりこの人はキャラの描き込みがちょっと足りない気がする。
投稿元:
レビューを見る
深夜のコンビニに3人組の強盗が押し入り、
十万円ほどの現金を奪って逃走した。
犯人が拳銃を所持していたことから、
すぐさま非常線が張られた。
やがて、巡回中の巡査により、
彼らが逃走に使った車両が
病院近くのコインパーキングで発見される。
彼らは医師や看護師、患者を人質に病院に立てこもったのだった。
そこで交渉に当たることになったのが、警視庁特殊捜査班の石田。
彼は交渉人としてはプロ中のプロだった。
そして、行き掛かり上呼び出されたのが、彼のかつての部下・遠野麻衣子。
まさに交渉シーンは手に汗握る、という感じ。
会話劇としても十分おもしろい。
そして、結末は…
この人の作品、はじめて読んだのだが、最後の1章は
ぐいぐい引き込まれてノンストップで読了。
動機がとってつけたようだとか、そんな意見もありましょうが、
素直におもしろかった。
ネットなどで調べてみると、評価が辛さに驚いた。
ミステリー、サスペンスに皆、ずいぶん目が肥えてしまっているのだろうな、昨今。
投稿元:
レビューを見る
犯人とか予想つくけど、でも読んでて楽しくて一気読み☆
この作家さん好きかも。
2008.9.24
投稿元:
レビューを見る
FBI仕込みのネゴーシエーターと立てこもり犯のやりとりが、やたらスムーズに展開する。なんだか緊張感なく興ざめしていたら…それも仕掛けの一つだった。やりとりの予定調和と対照的に逃亡犯は消えてしまう。ちょっと種明かしの説明が長過ぎる感はあるが…。
> 救急病院の患者を人質に立てこもる三人
> 組。対する警視庁は500人体制で周囲
> を固めた。そして犯人グループとの駆け
> 引きは特殊捜査班のエース、アメリカF
> BI仕込みの凄腕交渉人!思い通りに犯
> 人を誘導し、懐柔してゆく手腕が冴え渡
> る。解決間近と思われた事件だが、現金
> 受け渡しの時から何かが狂う。どこで間
> 違ったのか。彼らは何者なのか…。
投稿元:
レビューを見る
救急病院の患者を人質に立てこもる三人組。対する警視庁は500人体制で周囲を固めた。そして犯人グループとの駆け引きは特殊捜査班のエース、アメリカFBI仕込みの凄腕交渉人!思い通りに犯人を誘導し、懐柔してゆく手腕が冴え渡る。解決間近と思われた事件だが、現金受け渡しの時から何かが狂う。どこで間違ったのか。彼らは何者なのか...。
投稿元:
レビューを見る
内容(「BOOK」データベースより)
救急病院の患者を人質に立てこもる三人組。対する警視庁は500人体制で周囲を固めた。そして犯人グループとの駆け引きは特殊捜査班のエース、アメリカFBI仕込みの凄腕交渉人!思い通りに犯人を誘導し、懐柔してゆく手腕が冴え渡る。解決間近と思われた事件だが、現金受け渡しの時から何かが狂う。どこで間違ったのか。彼らは何者なのか…。
投稿元:
レビューを見る
上手く映像化したら、これってすごく面白そう! 「ハリウッド映画調」とどこかで評されていたのを見たけれど、たしかにそんな感じ。とにかくスリリングで目の離せない展開。で、そのリズムに乗せられたままさくさく読むと、途中でひっくり返される。いやほんと、読み始めたときにはこんな話だなんて、想像もつかなかった~。私の観察眼が甘いだけ? そんなことないよね。
投稿元:
レビューを見る
病院に3人のコンビニ強盗が立てこもった。以前、ネゴシエーターの研修を受けたことがある遠野麻衣子も現場に呼び出される。石田警視正が指揮を執り、人質の解放を求めて犯人との交渉が始まるが・・・。
投稿元:
レビューを見る
3人組のコンビニ強盗が逃げる途中で深夜の病院に立てこもる。
捜査の責任者として,実績のある「交渉人」特殊捜査班の石田修平が登場し,
事件は一直線に解決するかと思いきや…。
石田にかつて交渉の研修を受け,石田を慕う遠野麻衣子という警察官が
一応主人公だが,大半は石田を中心として話が進む。
後半の展開は,読者の予想を超える点でプラスなのだが,
同時に前半の石田の優秀ぶりが色あせてしまうマイナスの効果があり,
どうしようもないとはいえ,ちょっともったいない気がする。
投稿元:
レビューを見る
最近、やけに「交渉人」って聞くけど、ドラマなり本なり題材にし易いのかな。 ドキドキハラハラ出来ます。読みやすいのであっという間に読める。
投稿元:
レビューを見る
これ、一回読んだかも、ネゴシエイターとか交渉人真下正義とかが流行った時かな。忘れてた。
---ネタバレ、、、
まるでシナリオに書いたようなスムーズさで進む交渉は、本当にシナリオがあった。この犯罪の背景を描く場面にいったところから、交渉の面白さとかそういうものがなくなり、少し違和感あり。確かに交渉中の矛盾を付く謎解きのリリックなのだが、、ん、、まるで別の本を読み出したような感じで、、いまいち。