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みんなのレビュー47件

みんなの評価3.5

評価内訳

44 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本

嗜虐と被虐の美学

2005/10/10 08:57

5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:yu-I - この投稿者のレビュー一覧を見る

まず、ギニョルの造形が秀逸だ。このキャラクターを生み出した時点で、本作品の成功はある程度決まっていたと言って良いと思う。
SM小説家を生業としながらも現実ではごく平凡な中年の男が、偶然人形—ギニョルと呼ばれる男娼の存在を知ったところから物語ははじまる。その後実際に男はギニョルに出会うこととなるのだが、
彼は全身をむごたらしい傷におおわれた、凄惨な身体をしていた。何も語らないギニョルに男はなぜか嗜虐の欲をかき立てられ、そのまま彼を監禁することに…。
男娼を監禁するというエロティックな設定でありながら、官能的なシーンはほとんど存在しない。そのかわり暴力や虐待がえんえんと続く。しかし彼らがSMに興じているのかと言えば、そうとも言い切れない。その点が、ギニョルというキャラクターと密接に関係しているのだ。
ギニョルは人形だ。身に振りかかる暴力を拒もうともしなければ、悦ぶわけでもない。ただ本当に人形のように、痛めつけられるがままになっているのだ。
このキャラクターに加えて、痛めつける側である男の一人称小説のため痛みの描写がないこと、行為もただ行為としてのみ淡々と描かれていることなどにより、内容の残虐さのわりにはさらりと読める。
ただしラストのあの、鋏を用いたあのシーンに至っては、さすがにちょっと目をそむけたくなってしまったが。
長編だが、監禁という設定上動きの少ない作品だ。場所がめまぐるしく移り変わるわけでもなければ、登場人物もごく少ない。全編が嗜虐と被虐の美学で貫かれており、一つの色で統一されている感が
ある。それでも刺激的すぎるほど刺激的なシーンの連続のため、ページをめくる手はとまらない。
くわえてこれもギニョルというキャラクターの魅力なのだが、黙りこむかと思えば饒舌、生意気な口を叩いたかと思えば無邪気だったりと目が離せないところがある。
また全体的にはすこぶる残虐な小説であるのだが、随所に救いは残されている。以下の台詞がその“救い”の部分を象徴していると思われるので引用する。
「ああ。終わると何だか後悔するんだけどね。ひどいことしちゃったなあ。起きたら優しく撫でてやって、甘いものでも喰わせてやって、なんか喜ぶようなこと、してやらなきゃなあって思うんだけどね……」
主人公はギニョルを常に可哀想だと思っているのだ。
それでも虐待を加えてしまう、加えさせてしまうのがギニョルという存在なのだが…。
このような人間的な優しさの部分に救われながらであるからこそ、読みすすめることができるのだと思う。
しかし最後に辿りつくところは?ギニョルの正体は?彼の望むものは?
怖るべき驚愕の事実、それは、その目で確かめてみてください。

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紙の本

このね、カバーの人形が怖いんだよ。今なら、北の丸にある近美の工芸館で、同じ作家の作品を見ることができる。そのときは、この本を片手にね、怖いよ

2003/05/11 18:45

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

この本については、もう少し先になって触れるつもりだった。その予定を変えさせたのが北の丸にある国立近代美術館の工芸館で開かれている「今日の人形芸術 想念の造形」展。今月の18日(2003/5/18)までだから、興味のある人は行ってほしいけれど、その最後の部屋に四谷シモンの「機械仕掛けの少女2」やイジー・バレシュ「カテジーナ」とともに、この本のカバーを飾る吉田良の人形が四体ほど展示されている。この最後のコーナー自身、かなり異様な雰囲気だけれど、やはり群を抜くのが吉田の作品。私が恐れる人形、それはシモンの性的なものでも、バレシュの民族色豊かな、それでいてグロテスクに近いものでもなく、吉田の人形なのだ。かれの作品が横たわるカバーが恐怖を煽る本、それがこれ。 

猪俣泰造は変態小説作家として生計を立てているけれど、数年前までは普通の会社員。ごく当たり前の結婚生活を送っていた。5歳になる息子もいたけれど、彼の唯一の楽しみは、家族に内緒で借りたアジトで淫らな小説を書くこと。それが妻にばれて離婚、彼は作家として生きていくことに。そんな泰造が通うのは、美しい少年たちが集まる店。そこで少年たちから嫌われている男が、雨で客の少ない店に入ってきた泰造に声をかけてきた。「ギニョルと呼ばれる少年を知らないか、知らなければ会わせてやる」。案内された神社のような場所、賽銭箱のそばに蹲るのは痛めつけられ、傷ついた少年だった。彼がギニョルだ、言って男は去っていく。

ホームレスで、誰とでも無料で付き合うという、どこかヨーロッパ人の血が入ったような少年の傷だらけの体を安宿で見た泰三は、彼のことを忘れられず、少年を探し求め、痛めつけられた彼を自分のアトリエに匿うことに。そこから、猪俣の仕事仲間の坂内克彦という若手のカメラマンが絡んできて、話は日本から世界へと広がりを見せていく。ネットビジネス、被虐、監禁といった現代ならではの事象を取り込みながら、話は夢のある展開をして、一体、いつホラーに変身を遂げるのだろうと、読者を惹き込んでいく。

ホラー小説だと思って読むと、あれって思うかもしれない。人間心理の奥底にあるものこそが恐怖さ、と知ったかぶりをすることは出来るけれど、例えば舞城王太郎『九十九十九』や田口ランディ『モザイク』を読んだ読者にとっては、異常心理というほど強烈な印象を与えない。これならば桐野夏生が描く女探偵ミロの心の闇の方が、もっと深いのではないか、などといらぬことまで考えてしまう。

むしろ、S&M心理をあっさり書く本、としたほうがよっぽど分かりやすくて、ではそれが何故ホラーかというと、正直私には分からない。ただし、面白くない本かと言えば、決してそんなことはない。もしこれに江戸川乱歩のようなねとっと絡みつくような文体があったら、もっともっと印象深い本になったのだろうなあ、とは思う。

作者は1968年生、マレーシア在住。カバーに関する注について一言。装画 吉田良と書いてあるが、これは無いだろう。装画と、はっきり書いてあるのに、出版社を疑うようで申し訳ないが、どうみても人形の写真。これだけの細密描写が出来るとしたら、吉田こそホラーの主人公だろう。オブジェの製作者、あるいは写真撮影者の間違えではないのだろうか。クレストブックで、例えばオブジェを使った時は、必ず彫刻、とかスカルプチャと明記している出版社なのだ。もし人形の写真ならば、今後はそう明記して欲しい。

で、私の感想。やっぱり、一番怖いのはカバーの吉田良の人形。嘘だと思ったら、竹橋の近代工芸館に足を運ぶことを勧める。カバーの作品そのものではないけれど、吉田の仕事がよくわかる。平日に行って、ちょっと休憩コーナーで、この本を読んだら、もしかすると人生変わるかもしれない。コワイヨ、こわいよ、怖いよ。

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2004/10/05 11:34

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2004/10/24 22:46

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2005/05/05 04:14

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2006/01/31 22:10

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2007/05/19 22:56

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2006/12/26 21:48

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2007/04/09 22:12

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