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マークスの山 上 みんなのレビュー

文庫 109(1993上半期)直木賞 受賞作品 第12回日本冒険小説協会大賞 受賞作品

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みんなのレビュー156件

みんなの評価3.9

評価内訳

150 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本

答えは見つかりましたか?

2003/04/24 11:33

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投稿者:purple28 - この投稿者のレビュー一覧を見る

「山とは何だろう…」
 作中、合田が何度か思うこと。
 山とは、そこにあるから登るものだったり、生命を感じる場所であったり、遠くから眺めるものであったり…。
 「マークスの山」には、山に関わるすべての人の分だけ“山”がある。“マークス”それぞれの山。佐野の山。岩田の山。合田の山。加納の山。そして、マークスの山。けれど、どの山についても明確な答えは出ていない。ただそこには、山に導かれた悲劇のみが存在した。

 ミステリーか、ハードボイルドか、警察ものか、いろいろ物議を醸し出したそうだが、ジャンル分けする必要が果たして本当にあるのかどうか。「高村薫」という一つのジャンルがあってもいいのではないか。
 丁寧に書かれた描写に無駄なものはなく、事件を追うごとに変化する感情が直接皮膚に伝わる感じを味わった。「どこだ」「誰だ」「何だ」「何が起こったのだ」。知りたい知りたい知りたい知りたい…。真相は何か、を。
 合田をはじめ七係の刑事たちは、確実に真相に迫っていく。しかし、そこには思いもよらない落とし穴が、深くて暗い口を開いて待っていた。
 事件が解決したかどうか、読者は分からない。あの後、事件がどういう結末を迎えたのか知る由もない。が、想像は難くない。

 ただ一つ気になることがある。
「山とは何か」、その答えは見つかりましたか? 合田さん。
 いや、きっと見つからないのだ。だから、彼は登るのだ、元義兄と。

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紙の本

『マークスの山』の高村薫をいま穿つ

2003/02/23 02:25

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:よっちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

このほど改訂版が発刊された。帯には「警察小説の金字塔」とある。まさに文字通りの傑作である。マークスと名乗る二重人格の青年の狂気と仲間の秘密を共有しあった政・財・官・法曹界のエリートたちの狂気、二つの狂気が交錯する暗闘に警察組織が翻弄される。ほとんど手がかりがないまま進行する連続殺人事件の真相を追う合田刑事たちの地道な捜査活動、そこで繰り返される試行錯誤、警察という厳しく管理された組織とそこで生きる男たちの苦闘ぶりだけでなく、それぞれの個性、喜怒哀楽を活写する。
実は1993年に初稿版を読んだときには直木賞受賞とはいえ、退屈だった記憶を除いて印象が薄い作品であった。日本上層部の腐敗構造を斬るのであれば松本清張流のメスのふるい方をこの大型新人に期待するところがあった。にもかかわらず、事件の切り込み方に満たされないものを感じたからであった。しかし、改訂版を改めて読んで全く異なる印象を持った。
とくに日本の権力構造をとらえる高村薫の視点に関することである。
初稿を読んでもう10年近くもたつのかとこの間の時の経過、その凝縮された濃度を実感する。バブルという魔物に日本の全体構造は窒息状態に追いやられた。その魔物の周囲で数多い不正義があった。私の友人・知人の幾人かはその責めを問われ被告席に立たされた。経済的制裁、社会的制裁をうけた友人・知人の数は知れない。しかしこれらの告発は司法制度というごく狭い視野で、局部の積み重ねとして行われたものであり、あるいはヒステリー症状のマスコミの無節操がなしたものであり、魔物の核心を斬るものでは決してなかった。この魔物には鮮明な核というものはない獏としたなにものかであって、むしろ核を構成した要素が分裂して、日本の全体構造のいたるところに拡散してしまった状況なのではないか。
では小説家であればペンによって今、この核心を暴き、斬ることができるのか。否であろう。松本清張は「戦後」という日本の構造に潜む「黒い霧」「深層海流」の核心を小説作法で摘出しこれを告発し多くの階層から共感をえた小説家であった。清張がこれをなしえたのは彼の天才もあろうが、それだけではない。戦後あるいは昭和という時代には社会事象を白か黒かに区別する「原理」が明らかに存在していた。それを的確に機能させたことによる。その「原理」は徐々に形骸化し、1980年代終わりには消滅した。そして高村の透徹した現状認識は小説としてもその「原理」がすでに通用しないことに気づいていたのだ。
「年月を経た今、合田(刑事)は、権力のありのままの現状から目をそらすことによって得るものは何もないという考え方に変わってきていた。ここまで来るのは長い道のりだった」と初稿本で高村はみずからを語るのである。改訂版では「原理」からさらに遠ざかり、合田が未解決の部分へさらに捜査の矛先を向けようとする意欲の表現にあたるラストシーンを削り取っている。これが現実なのだ。
そして、高村ミステリー最後の最高傑作、犯罪兼企業小説『レディ・ジョーカー』において、事件に巻き込まれた大企業の経営者たちの真剣な対応姿勢が実にリアルな筆致で描かれていることに驚かされた。
次の作品、非ミステリー大作『晴子情歌』では「原理」に懐旧の情を持つ女性主人公が昭和の姿を見つめている。
失われた10年で失ったものは資産価値だけではない。日本再生のためにも新たな原理が必要なのだが………。そしてまもなく『晴子情歌』の続編『新リア王』の連載が始まる。ここでは政治と宗教を描くらしい。求道者高村はあらゆる面で混迷をつづける現在の日本に光明をもたらす新しい「原理」を仏教にもとめるのであろうか。

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2004/10/04 14:22

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2004/10/05 10:49

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