紙の本
薄く深い一冊
2004/08/07 18:49
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投稿者:亜李子 - この投稿者のレビュー一覧を見る
日本人として生まれ育ったことで、全く海外の文化に関しての理解がない故に、有名な洋書を読んでも訳が解らぬ部分が出てくることがある。例えば、かのシェイクスピアの『ハムレット』では、仇としてのクローディアスを今なら殺せる、というときに、何故かハムレットは逡巡しその場をやり過ごす。何故そこでクローディアスをさっさと殺さないのかと小さな島の読者は思うかも知れぬが、それにはやはり我々には一筋縄では解らぬ理由があるのだ。そのように説明されねば解らぬ作品というのは(偏見であるが)参考書片手に解く数学の問題と同様につまらぬものである。だから邦訳というフィルターを通して読むのだが、柴田元幸氏は唯邦訳するのみではなく、ちゃんとしたフィルターの役割を果たしてゴーリー作品を語学に疎い我々に渡してくれている。
元々、邦訳というものは非常に簡単なものだと考えていた節がある。原書の語を辞書で引き、対応する邦訳を文法通りに並べていけば出来るものではないか、と浅はかな考えかたをしていたのである。然し、実際にそんなことをしたら如何に素晴らしい物語であろうとも、無味乾燥の最悪の物語にしてしまう。逆に云えば…まあ、それはそうと、柴田氏はそこに差異を生まずに、ゴーリーをそのまま日本語化している。云わずもがなそれは唯邦訳するという意味ではなくして、彼方の文化を此方の文化に変換した上で訳しているのである。例えば「U」の項目などがそれであろう。これは是非ご自分で調べて頂きたい。柴田氏の名訳であると、わたしは推したい。
ゴーリー独特の、この一見可愛らしくそれでいてどこか不穏な印象を抱かせるイラストは勿論、その文章もそしてその訳も全てが調和した世界がここにある。原書でゴーリーに触れたいと思うのも勿論解るが、柴田氏を通してゴーリーを感じるのもまた一興である。訳者あとがきにも柴田氏のセンスが感じられる。
日本人として原書のセンスをそのまま受け取ることが出来ないと嘆くよりも、邦訳された作品を読み、その訳文や訳文と比較した原文を楽しめることを喜ぶべきであろう。
紙の本
アルファベット
2019/06/21 14:40
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投稿者:Otto - この投稿者のレビュー一覧を見る
アルファベット順に興味深い分がならぶ。絵が小さいことにも意味があるのだろうか。もう少し大きな絵でみたかったと思う。
紙の本
一見地味だがじっくり眺めているとおもしろくなってくる。
2016/01/18 14:55
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投稿者:紗螺 - この投稿者のレビュー一覧を見る
教訓をパロディにしたゴーリーならではのアルファベット本、とあるが、なるほどそのひねりようや変わった言葉の選びようがおもしろい。昆布や澱粉糊などはどういったセンスで選ばれたものなのだろう…。それぞれに付されている文章がまたユニーク。
絵はごく小さいが、味のある雰囲気。
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Request a Pill When you are ill
病んだら早急 薬を請求
姉からの贈り物。しかし、自分も既に持っていたので2冊持っていることになる。
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繊細で皮肉。粋で可愛い。豆本作りたくなります。「おとうさんスイッチ」@『ピタゴラスイッチ』や「100のお題」が好きな人はハマるかもしれません。あと五味太郎本。
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大好きです。Aから順に死んでいく子どもは、最後の方はよく思いつくなーっと感動してしまいました。翻訳者さんもすごい。
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マッチ箱より小さな絵、たった一行の文。
それだけでもゴーリーの魅力が溢れています。
思わずうまい!と言ってしまうような文も多々。
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ヴィクトリア朝の教訓めいた児童書のパロディのように見えるアルファベットブック
教訓っぽいものから意味が分からないものまで色々載っている
元が小さな本なので挿絵はマッチ箱より小さいものです
お気に入りのページ:『昆布選るなら、寄り合って』
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嫌いじゃないけど、評価できない。
好きでもないけど、なぜか気になる。
残酷だけどそう感じさせない。
きれいごととかなくて、ただひたすら純粋で。
きれいな本ではあるが、感動とかはない。
好きな人にとってははまる作品では
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『ギャシュリークラムのちびっ子たち』と同じくアルファベットブックというものらしい。ヴィクトリア朝時代に流行したものだとか。
作者のゴーリーさんはれっきとしたアメリカ人だけど、絵の雰囲気といい、文体といい、長くイギリス人作家だと思われていたそう。同じアメリカ人の読者にもそう思われていたとか。
個人的にイギリス好き(なのかはわかりませんがきっと好きなんだと思います)な方は私も大好きだ。むはむは。というかイギリスむはむは。
訳者である柴田さんの意向により左ページに原文、右ページに訳文がのっている。英語の韻って綺麗だと思う。大好き。原文が載っていると、訳者さんってすげーってなる。原文で韻を踏んでいるところは日本語でも韻を踏むようにしてあるのだが、日本語と英語ってやっぱり全然違うんだなぁと実感した。なんだか1粒で2度おいしい感じ。
また読み返したい絵本。するめみたいな。
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ゴーリーならではといわれる、アルファベットブック。
本も小さいけど、中の画も小さい。
マッチ箱(イマドキあるのか?)サイズ。
今回、ブラックな感じはなく、教訓調だったり、感慨ものだったり、はてな?ものだったり。意味も分からないのに、なんだかくすっとしてしまったり。Don't try to cram The dog with Jam. Jam(ジャム)無闇にくわすな 犬にジャム。
Don't leave the shore Without an Oar. Oar(櫂)櫂を持たずに 岸去るな。
The letter XWas made to vex. X (X)Xの字は 苛つく字。
と、まぁ、なんだかおもしろいのだ。
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小さな小さな絵本の中に小さな文字と小さな絵。
余白のセンスが良い。
英単語の知識が私にあればこの巧みさをもっと楽しめるんだろうな。
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韻を踏んでいるのはなんとなくわかった。
これ、英語がわかればもっと面白いんだろうなあ。
訳者の方も言っていたけれど、韻を踏みつつ適切な訳をつけるのは大変な苦労があると思う。その分、綺麗に韻を踏んだ訳を見たときはこちらのテンションが上がりました。
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ゴーリー展にて購入。A〜Zまでの単語で韻を踏む二行詩と、マッチ箱サイズの可愛らしいイラストの収められた、何とも不思議な魅力を持ったアルファベット・ブック。翻訳は柴田元幸さんということもあって、所々で日本語なりの言葉遊びが顔を出しているのも楽しめる。「Request a Pill, When you are ill」→「病んだら早急 薬を請求」、「Don't overturn, The garden Urn」→「触らぬ甕(かめ)に 祟りなし」辺りはかなり好き。もしくは自分なりの翻訳を考えてみるのもまた一興。
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CUTEな1冊に大満足。Glass(硝子),Jam(ジャム),Oar(櫂),Sun(陽),Toad(蝦蟇),Yawn(欠伸)の項が好き。特にY「With every Yawn, A moment's gone」は自戒の言葉として掲げたいほど。◆マッチ箱半分ほどの線画は老眼気味の目にキツかったけれど、虫眼鏡で視るソレはいっそ趣よく楽しめました。解説によると、最初は豆本として刊行され、ゴーリー自身が彩色した豪華版も存在するとのこと。うーん、いつか見てみたい。◆気の利いた「点取り占い」みたいだね、とはパパの談。