紙の本
ザ・理系の方に
2016/02/13 08:29
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投稿者:タヌ様 - この投稿者のレビュー一覧を見る
久しぶりに自分の知識の無さを痛感する書物である。本書を理解するには生物学、化学、原子物理学にそこそこ、高校を超えたレベル位の前提知識がないと困難に直面するのではないか、と思う。ものすごいレベルの新書である。
テーマは面白いのでなんとなく読めるけど、どこまでわかっているかなんてのは全く自信が無い。自然はアンバランスな分子構造なんだろか、アンチ秩序みたいに。またキラリティなるまったく知らない対称性を判断する用語で分類している、単に対称性というより厳密なもの。きつい。
それにしてもこれが楽しめるレベルの方はすごいだろうな。
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キラルの重要性と、生命の起源の話が面白かった。
内容は奥深いが
全体的に記述が細かい(例えばDNAの主溝とかいらないのでは)。
専門書ならいいんですが、新書にしては難しいということで☆3つ。
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[ 内容 ]
地球上の動物は、外観上、おおむね左右のバランスがとれているが、それをアミノ酸や核酸といった分子のレヴェルで見ると、そのバランスは完全に崩れているのである。
このアンバランスは、身近なこととしては薬の効果や食物の味・香りの違いなどに現われ、一方、生命の起源や宇宙の非対称といった、より根元的な問題を解く鍵をも握っている。
本書は、生命体だけが持つ、この非対称性が何に由来しているかを探る壮大な試みである。
[ 目次 ]
第1章 右の世界、左の世界
第2章 対称とは、非対称とは―靴と靴下の原理
第3章 対称な生物界―マクロの世界
第4章 分子の世界
第5章 非対称な生物界―ミクロの世界
第6章 キラルな医薬品の開発
第7章 生物界はどのようにして完全に左右非対称になったのか―素粒子の世界、宇宙の非対称、そして生命の起源
[ POP ]
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☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
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[ 参考となる書評 ]
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分子は化学式で表される。化学式は物質の元素組成を表す分子式と分子構造を表示する構造式(例の亀の甲)があるが、実際の分子は立体的な構造をもつ。
そこで、同じ分子式、構造式で表される分子であっても実際の立体構造で示すと違う構造になる分子がありえる。
そして化学式が同じ分子でも構造が違うと性質も異なる。本書最初の例としてスペアミントの香りと魚の臭みを抜く香草ディルの香りが同じ分子構造をもつが香りは事なるという話しが出てくる。二つの香草の香り分子は鏡像関係にあるという。片方の分子を鏡に映したかたちであるという。私たちの右手と左手は鏡像関係にある。鏡像関係にあると同じものと思ってしまうが、右手と左手は重ね合わせることができない。手のひらから見て右手の親指は右にあるが、左手の親指は左に着いているので有る。
それだけで分子の性質は変わってしまうらしい。
こういった関係が成立するものをキラルと呼ぶのだそうだ。
で、副題にある自然界はなぜアンバランスが好きかである。分子を科学的に合成するとキラルの関係にあるものが半分ずつ生成されるのだが、自然界ではどちらか片方だけになるというのである。それがなぜかと言うことをミクロの世界の話で解き明かそうと言うのが本書である。もちろん明確な正解が書かれている訳ではない。
そんな内容なので新書形式の一般書としては内容はハードである。
しかしながら生物を分子レベルで眺めるのもまた面白いのである。
サリドマイドが鎮痛剤として販売されたものが奇形児を産みだしたというのも同じ成分がキラルの関係にある片方が薬効があり片方が崔奇姓をもつという事らしい。
難しいといって避けていられない分野であるらしい。
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鏡映やら回映やら、何とかクリアしたら、次は光学活性。勘弁して(涙)キラリティ自体は「掌」を例にしているお陰で直感的に理解しやすい概念なのに、その周辺がねえ…。まあ、曖昧模糊な理解なりに楽しめる箇所も沢山あった。
作りは同じなのに「向き」が違うモノ=キラリティの話。実験室で作るとどっち向きのもできるのに、自然界にはどっちかしかないそう。この性質は医薬品に厄介だそうで、半分は効かないどころか(サリドマイドみたいに)催奇性があったりするそう。
でも、同じ「Chirality」なのに、なんで物理だとカイラルで、化学だとキラルなの?こういうの止めて欲しい〜。
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マーティンガードナーと比べると、垢抜けない真面目で退屈で堅いおばはん感をそこかしこで感じたけど、ところどころ、インスピレーションに満ちた言葉があって、それは翻訳ものにはない良さすな
つきつめたところ、地球に生物は一種類しかいない、みたいなのは、素晴らしい