電子書籍
ぜひこの前中後編だけでも読んでほしい!
2017/12/15 13:24
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投稿者:BB - この投稿者のレビュー一覧を見る
「流血女神伝」本編の途中の巻ではありますが、この前中後編だけでも話は成立していますし、
これまでを知らなくても十分に楽しめるものとなっていますので、
面白いと聞いてはいるけれど、1巻から読むのがしんどい…という人には、ぜひこの前中後編だけでも読んでほしい!と強くおすすめしたいです!!
土着の宗教が根付くザカールの村の長老の息子として育てられた少女が、
外界からやってきた少年と共に村を出て、傭兵団に入り、過酷な運命と闘っていくお話です(だいぶん端折りました)。
作品自体は「このラノベがすごい」の栄えある第1回で4位に選ばれています。
ちなみに「流血女神伝」の主役はまったくの別人ですが、当初はこの「女神の花嫁」主役のラクリゼとW主役になる予定だったとか。
傑作と名高い「流血女神伝」のもう一人のヒロインの壮絶なる運命をぜひ見届けていただけると!
ホルセーゼの傭兵団の最期のシーンなどは、涙なしには読めません。
紙の本
意外な父の姿
2010/06/25 13:02
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:くまくま - この投稿者のレビュー一覧を見る
クナム(長老)の子は必ず男子であり、千人目のクナムは世界の王となるべく生まれてくるということがザカリア女神とザカールとの契約。それなのに、王の親となる998番目のクナムの子は、なぜか女子だった。
歴代のクナムと比較しても隔絶した力を幼少から示しながら、父であるクナムには認められず、女であることに苦悩するその子の名は、ラクリゼ。本編でカリエを助け導く傾城の美女の幼き日の姿だった。
同年代の男子など相手にならない実力を持つのに、女であるがゆえに父に認められないことに苛立ち、荒んでいくラクリゼは、ボロボロになってザカールの村にたどり着いた一人の少年を周りの偏見から守るように父に言いつけられる。それがラクリゼとサルベーンのはじめての出会いだった。
それから数年がたち、彼らに転機の時が訪れる。
娘の扱いに戸惑い悩むラクリゼの父に人間らしさを感じたのが意外だった。本編で描かれるクナムの姿とは余りにもかけ離れているように感じたので。
ザカール至上主義的な考え方を持っていたラクリゼが、外の世界に興味を持ち、波乱の人生に旅立つ過程が面白い。
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ザカールの長の子として生を受けたラクリゼ。彼女は父の期待にどうしても応えられない、女性として成長していく自身への葛藤を抱いていた。そんな彼女がある日出会った、サルベーンと言う少年。彼との出会いにより、ラクリゼの運命は大きく変わります。前編はラクリゼとサルベーンの少年時代を描いています。
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正統派ファンタジーでした。カリエほど(まだ)運命に持てあそばれてないラクリゼの生い立ち編。彼女の旅立ちの巻と考えれば、満足です。
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女神によってザカールの長老(クナム)の子どもは男と決められていた。しかし、九九九番目に生まれた子どもは女だった。
女ということを隠し男として育てられたラクリゼは、父親に認められようと必死だった。ある日、村に外からの者がやって来た。村には結界が張られ、それを通れるのは限られた者のみ。結界を通って来たのは、ザカール人の琥珀を持つ、ラクリゼと同じくらいの少年サルベーンだった。
外を知らないラクリゼと、外の世界から来たサルベーンの、出会いから旅立ちまでの話。
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まぁなんですか。
もちろんいろいろときめきました。男装に。ラクリゼの苦悩とかに沿わんといかんな、と思いつつ。
いや、だってレイザンがー。<なんだというのか
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<後編までのネタバレを含みます>
ひょっとするとシリーズ中では一番好きな作品かもしれない。初めは(一応物語の流れとして読んでおかないといけないタイトルに指定されてはいるものの)前作で脇役だったラクリゼとサルベーンの過去の話かー、個人的には早く次の『暗き神の鎖』に行きたいんだけどなぁ、と若干気乗りしないまま読み始めたのが嘘のように引き込まれてしまった。どうしてだろう、大勢の登場人物が入れ替わり立ち替わりピンチに遭って、悲しむ間もなく次の試練があって……という感じで、どうしてもせわしい印象の抜けなかった前の二作品と比べ、この『女神の花嫁』はラクリゼとサルベーンというたった二人の男女に焦点を当てているからだろうか。その分二人の半生をじっくりと3冊かけて描いているという余裕があって、読む側としてもキャラクターの中に入っていきやすかった。何より、相変わらずの須賀節(ようやく幸せになったと思ったらすぐに次の残酷な運命がやってくるという……)の中に、ようやくコバルトレーベルらしいロマンティックな少女小説の要素が見て取れた作品でもあったので、これを思春期に読むことができた少女たちは、おそらく今まで以上に夢中になって読み進めたのではないかと思う。もちろん、大抵の場合期待はこっぴどく裏切られて、結局はまたきりきりと胸を痛めることになってしまうのだけれど。
少女小説らしい要素が含まれていると言いながら、それでも核となるラクリゼとサルベーンを巡る関係性はひどく複雑で、あれほど愛し合っていたはずの二人が結局は憎み合う(と言っても、ラクリゼから一方的にという感じではある)ことになるという結末は、一筋縄ではいかない愛の難しさを読者に教えるものとなったことだろう。孤独の中に生まれ、それでもようやく魂の伴侶を見つけ、授かった子どもを失うという不幸に見舞われても共に生きていこうと誓い合った二人が、終いには互いへの愛に縛られるがあまり病み疲れるまでに疲弊しきっていく様は本当に悲惨としか言いようがない。お互いを愛しているからこそ離れなければならない、それこそ「愛」という輝かしいイメージがまるで呪詛のように二人を追い詰めて行く描写は見事だ。そこで別れいく明と暗も。前者に属するラクリゼは、「女神の花嫁」としてカリエを守る人生を選び、後者を選んだサルベーンは、愛しい人の憎悪を引き受けてまで流血女神の意思を全うする運命を取った。女神の祝福を受けられたものと、受けられなかった者、女と男、憐れみと嫉妬のあらゆる分岐点が二人の愛を完膚なきまでに叩きのめしてしまったことが悲しい。どちらが悪いとも言えない。どちらがうまくやったとも言えない。相手をも自分をも許すことができないために消えないしこりを抱えたまま、けれども女神の見る未来のために永遠に平行線をたどらざるを得なくなってしまった二人のことを思うと、作者はどこまでキャラクターを苛めれば気が済むのか、と気の毒に思ってしまうと同時に、これだけ複雑な絆のあり方を描き切った作者の技量に感服してしまった。もしラクリゼとサルベーンの背後にこれだけの感情のうねりがあることを、それこそ『帝国の娘』を書く前からはっきりと意図してシリーズを進めていたのだとしたら本当にすごい。これまではルトヴィア帝国を中心に、東のエティカヤ、北のユリ=スカナと平面上にすそ野を広げていった流血女神の世界が、今回初めて過去にさかのぼって「時間」という垂直の軸を得たことで、一気にその立体性を増した厚みのあるものになったと思う。結末は悲劇的だけれど、これがあると思えばまた以前の2作品が違った角度から見える。『帝国の娘』と『砂の覇王』を読み終わった時点で理解できたと思っていた物語空間に、実は読者もまだ知らなかったより深い領域があることの発見、また作品を読むことを通じてどんどんその奥に引きずり込まれて行くような感覚は快感だ。私が思っていた以上に流血女神伝の世界が奥深いことを思い知って、長丁場に疲れ始めていた心が一気に次タイトルへと向いた。なお早く次を読みたいと焦る気持ちから、私は『女神の花嫁 前・中・後』→『暗き神の鎖 前・中・後』と読み進めなければいけないところを、『女神の花嫁 前編』を読んだ後には『暗き神の鎖 前編』という風にそれぞれ交代交代に読み進めていったので、残すところはあと『暗き神の鎖 後編』の1冊のみなのだけれど、個人的にこれからこの2タイトルを読まれるという方には同じ読み方を強くお勧めしたい。二つの作品を横断する秘密や謎が、それぞれ1冊ずつ読み進めていくことでまるで追いかけっこするようにゆっくりと姿を現していく様子がリアルに体感できるからだ。
正直なことを言ってしまえば、まだ「女神の花嫁」というキーワードの真意を理解できていないような気もするけれど、でも前作ではサポーターとして終始脇に引き下がっていたラクリゼやサルベーンが、どのような決意や苦悩を抱えて行動しているかということが分かるだけでも、一読の価値がある3冊だと思う。なんとなく苦手だなぁと感じていたサルベーンも、これを読んで好きになるという人はあまりいないだろうが(笑)ラクリゼに対する信仰と挫折を思いやるにつけても、彼の数奇な人生を理解しようという心は生まれるかもしれない。そうして、忘れちゃならないキーパーソン、アデルカは本当に良い奴だ。良い奴すぎて、何の報いも得られないまま孤独な死を迎えてしまったけれど、彼の犠牲が後の女神の復活を巡る凄惨な運命に一筋の光明を灯したのだと思えば、人が生きること・死ぬことの意味とは一体どのようにして決まるのだろうと感慨深い気持ちにさせられる。それでも、彼が満足を得て死ねたことだけが救いだった。それが正しいかそうでないかは別にしても、自分の人生を丸ごと誰かのために捧げた人間の死に様というのは、それだけで神々しい何かを感じさせるものだ。
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ラクリゼを主役とした流血女神伝シリーズ外伝。
ザカールの長老の子は代々男児が生まれるはずであるが、999番目のラクリゼは女児であった。
呪われた子として父から疎まれて、男児として育てられたラクリゼ。
そんななか、12歳のとき村の結界の外よりやってきた少年サルベーンとの出会いが彼女の運命を変える…
私としては早く本編のカリエ(+エド)の話が読みたいところだったのですが、読み始めたら面白い。
本編のラクリゼとサルベーンからは想像できないなぁ…
まだ子供の二人がこれからどんな青年期を迎えるのか楽しみ。
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表紙がある
表紙の力を感じますね
こういう時代があったからこそ
本編の時間に流れていくまで
まだすぐには行かないあたり
こんなことがあって
生まれた場所から出て行ったんだね
あの強さに
どうやって繋がっていくのか
少しずつでは効かない強さ