紙の本
三島由紀夫の死とともに脱稿
2001/03/02 14:40
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投稿者:7777777 - この投稿者のレビュー一覧を見る
妻をなくした本多繁邦は十六歳の少年安永透に出会う。そして、かれのこと養子にする。しかし、安永透は現実に失望し、自ら失明する。
本多繁邦は思う、安永透は本当に松枝清顕の生まれ変わりなのだろうか? 本多繁邦は真実を確かめるため出家した綾倉聡子に会いにゆく。しかし、綾倉聡子はこういう
「えろう、面白いお話やすけど、松枝さんという方は、存じませんな。その松枝さんのお相手のお方さんは、何やらお人違いでっしゃろ」
本多繁邦は思う、記憶もなければ何もないところへ、自分は来てしまってた…。
そして、三島由紀夫はこの作品を脱稿した後自らの命をたった。
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投稿者:LR45 - この投稿者のレビュー一覧を見る
三島由紀夫最後の作品。
三島由紀夫から本物の作家がいなくなったという話しをどこかで聞いたことがあるが、彼の死への動力というのはやはり天才性の一つの現れではないか。
死を覚悟して描いたであろうこの本はやはり一読に値する。
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豊饒の海四部作はこの作品で終わる。 物語といわれるのに相応しいお話。 最後まで読み終わると夢から覚めたような印象が残る。
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三島由紀夫の遺作となった豊穣の海(四)。長い長い物語は4人の生まれ変わりを通して紡がれます。そしてそれに関わる人々の物語も。最後は張り詰めていたものがふっと解き放たれるような・・・。奥深い物語です。
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『豊饒の海』4巻。
多少雑な感じもあり、三島っぽくない部分もあるけれど、勢いを感じる。
どうしても作品の背景が気になってしまう作品。
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今まで「豊饒の海」には物語が完結してないがために満点をつけなかったが、最終巻ともなれば満点にするしかない! 「暁の寺」で輪廻転生の謎は極致に来たが、この「天人五衰」にはすべてを覆す凄絶さがある。結末をどのように受け止めたら良いのかという複雑な思いで胸が動悸を打つ。また、この作品の原稿を書き上げた日に命を絶った三島の死に対する価値観が反映されているようにも読め、感慨深い…。
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神保町で、初版の単行本を見つけ、買いました。文庫本は仮名遣いが改められているので、オリジナルの単行本の方が味わい深いです。「天人五衰」は文字通り三島の「絶筆」です。。。
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昭和45年から46年にかけて『新潮』に連載。昭和46年刊。
昭和45年11月25日、豊饒の海第四部となる本作の最終稿を書き終えて後、直ちに三島は、自衛隊市谷駐屯地に赴く。すなわち本作は、三島の遺稿となった。
当初の予定を一年も繰り上げて書き上げた三島の、何かに追われるような焦りが端々に見受けられて読者は、ある種の戸惑いを禁じえない。それは、あまりにも強引で、過去の三作とは明らかに異なる手法である。最後の最後に本多が、60年前に出家した綾倉聡子に会いに行く。そして、この長い長い物語が幻であったかのような救いのないカタチで幕を閉じる。「ここにはなにもない。記憶もなければなにもない」と三島自らが記しているところにえもいわれぬ哀しみが残る。
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豊饒の海四部作読了。おもしろすぎました。最後あーなってしまうのは、やっぱ言ってはいけない領域に近づいたのかなーと勝手に妄想したりする。
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2011/10/03-12/3 壮大な小説
真相は闇の中
心々
スケールが大きい
知識も大きい
いろいろな意味でいろいろ学ばされる
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豊饒の海第4巻、完結編です。
天人五衰とは、天上界に住むという天人の長い寿命が尽きるときに表れる、五つの衰えの相のことです。
衰えの相が見えてきた76歳の本多は、今度の生まれ変わり「透」を養子にしました。
しかし透は20歳になっても死なず、贋物だったことが判明。
透の自殺未遂、そして自らの手術の前に、本多はついに聡子に会いに行きます。
最後の最後に聡子に会った本多に、聡子からは意外な言葉が・・・。
聡子が言った言葉、「それも心々(こころごころ)ですさかい」には、実に深い意味があります。
あまりの終わり方に、最初は戸惑いを、読後しばらくしてからは感動を覚えました。
深いです。実に深い作品です。
長編「豊饒の海」をとおして、作者は何を見たのでしょう。
三島由紀夫は「天人五衰」の完結後、市ヶ谷で自決を果たすことになりました。
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聡子に会うことで、本多も読者もひとつの帰結を手に入れられると期待したかも知れないがそうはいかなかった。もともと何もない場所。輪廻というのなら、またもとの点へと戻ったという感。
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本多が聡子に会う場面(ようは最後だが…)は秀逸。聡子の言葉一つ一つに戸惑いを覚えます。全四作を通し、結局は誰も報われていない、此れは三島自身を表しているのでは?
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「豊饒の海」ラストの一冊。本多は人生を通して、何がわかったのか。大きく変わったようでいて何も変わっていないような。最後に再び登場する聡子の衝撃的な言動によって、本多の見てきたもの、本多の人生そのものが闇のなかである。
衝撃のラスト。
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聡子はやっぱりしたたかだったのね、
と思う反面 ここまで読ませといてそれかよ!
という肩透かしをくらった感も少なからず・・・