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「カッコいい」感覚を求めて読書旅!の第二弾、<ヒップ⇒クール>編として読むことにしました。
本書は、二人のイギリス人ジャーナリストたちが書いた本で、著者たち曰く「過去五〇年間の大衆文化の変遷を、<クール>という概念を用いてどこまで説明できるか試してみようというひとつの実験であり、今後の研究のためにいくつかの方向を示そうという企てである。」とのことです。
2000年に出版された本なので、1950年頃からの<クール>概念の変遷をたどっています。
クールとは?クールな場とは?クールな人々とは?といった時代によって変わっていった<クール>現象やメンツを紹介することで浮き上がってくる<クール>の輪郭を知ることができるのは基本として、
さらに<クール>の来し方であるアフリカから、<クール>をヨーロッパに広めたアメリカ兵たちの話や、イギリスのクール化とミュージック、ムーブメントの作り方まで、そして、広告産業とクールの結託、クールと女性性の分析、クールを呑み込んだ資本主義社会、といった最近の現象まで一気に駆け抜けていきます。
全九章を読み終えた後に載っている<チャートで見るクールの変遷>を眺めると話のハイライトが思い出されてきて、クール文化の全体像がつかめる仕組みになっています。
ふと思ったのですが、学習する態度はクールではないかもしれないですね。
けど、知的活動はクールに必須だと思いますし、それがないとただのワイルドだけになっちゃいそうな気もしていますが。
それはともかく、00年代以降のクール感覚の捉えにくさ(特に日本の)は、やっぱりかなり複雑だと思います。音楽ジャンルだと取ってみても、ロック、パンク、ヒップホップ、ハウス、テクノ、トランス、ボカロなどそれぞれがまた細分化していて相互に要素が複雑に絡み合っていて…。
まあ、紐解くことは野暮なんでしょうね。それぞれ感性の鋭い個人が「ホンモノ」を求めて創作している、ということなのでしょう。
そんな風な読後感でした!