紙の本
新聞への注目点がひとつ増えます
2003/11/01 22:07
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:木の葉燃朗 - この投稿者のレビュー一覧を見る
新聞に掲載されている死亡記事の実例を挙げながら、色々と解説した本。この本を読んでから、それまであまり気を付けて読むことのなかった死亡記事に思わず目が行くようになった。
例えば、毎日多くの人が亡くなっている中で、どういう人が新聞に掲載されるのか。また人によって、社会面の下の方に死亡記事として掲載されたり、一般のニュースとして扱われたりといった違いがあるのはなぜか。更に、同じような知名度の人が同時期に亡くなった時、どんな取り上げ方をされたのか(有名な「パンダのランラン」と「三遊亭円生」が同日に亡くなった時の話もある)。このような話題を、主要な新聞を比較しながら紹介している。
珍しいテーマを取り上げていて、新鮮な面白さがあった。著者の文体は少し独特で、人によって好き嫌いがあるかもしれないが、個人的には興味深く読めた。
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[ 内容 ]
ここには人間のドラマがある。
眼光紙背に徹すれば、たった十数行の記事でも、その一語一語が奥深い―。
夏目漱石から司馬遼太郎まで、文学者の死はいかに報じられてきたか。
芸能人はなぜバカでかい記事になるのか。
経済人や野球選手の扱いは業績に比して小さい。
名前の右に傍線が引かれる由来は。
軟派の社会面は見出しで勝負。
…誰もが毎日目にしながら、実は知られていないその読み方。
[ 目次 ]
序章 草分け女性文化人三人の死
第1章 小さな小さな訃報に味がある
第2章 大別すれば関係者型と知名度型
第3章 文学者に見る百年の変遷
第4章 なぜ芸能人の扱いはバカでかくなるのか
第5章 元プロ野球選手は寂しい
第6章 伝説「泣くな別所」を検証する
第7章 見出しに編集記者の苦吟あり
第8章 ランランと三遊亭円生ではどっちが偉い!
第9章 智恵とアイディアで読ませる記事になる
終章 新聞社は「死亡記事部」を設置せよ
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[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
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新聞は大学の図書館でたまに眺めるくらいで、ほとんど読んでいない。テレヴィも見ないので、ニュースは主にパソコンから。でも、著名人の死を知るのは、ケータイのニュースが多い。今日(11月23日)はそのケータイに、日高敏隆が亡くなったと教えられた。ネット上の死亡記事を要約すると、日本の動物行動学の先駆で、ローレンツやドーキンスの著書の紹介、エッセイでも有名。研究業績としては、モンシロチョウのオスがメスの羽で反射される紫外線を頼りにメス近づいていくことの発見。で、大体どこでも同じ。京都新聞がいちばん詳しくて、他の業績に言及したり、「岩波書店に務め(勤め?)ながら研究し」とか書いてある。死亡記事が詳しくするには、当たり前だけど日頃からデータを集めて、備えておくんですね。たしかに、詳しいほうが記事も面白いけど、詳しく書くのは後日でもいいんじゃないかな。感想としては、こういう新聞のつくられ方みたいのを読むのも面白いけど、ひたすらいろんな人の死亡記事を読んでみたかった。あとはどうでもいいことなのだけど、ネット上で「自重」っていう言葉がよく「自粛」みたいな意味で使われているけど、これは(今のところ)正しくないのだと思っていたら、1941年の大阪毎日新聞でも使われていて(p.117)、そうでないことを知った。ネグるという言葉、恐らくneglectから来たのだろうけど、「2次以上の微小量をネグる」みたいに、理論屋の先生が良く使う。でも、この本の著者も使っている(p.118)ということは、意外と一般的な言葉なのか?
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筆者は経歴を見ると分かるように、野球に深い思い入れがあるようで、本文中においても野球選手の記事について多くのページを割いており、野球にあまり感心がない自分にとって読んでいていささか苦痛であった。
けれども、それは時間的な制約があるとはいえ、文化・社会に寄与した人に対してもう少し心を込めた記事を書いて欲しいという気持ちの強さでもあるため、納得のいく内容と読むことができた。