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グロテスク みんなのレビュー

第31回泉鏡花文学賞 受賞作品

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みんなのレビュー238件

みんなの評価3.8

評価内訳

232 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本

壊れていく

2023/11/16 09:40

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:えんぴつ - この投稿者のレビュー一覧を見る

「グロテスク』は息苦しくなる作品だった。

東電社員殺人事件をベースに書かれているが、あの事件そのものを書いているわけではない。

主たる登場人物は4人・・・皆、壊れていく。でも、この4人は決して特別な4人ではない、と思う。

紙一重のところで壊れていくことがあるのだと思う。

あの事件をベースに長編に膨らませた桐野夏生の力作だと思う。桐野夏生は、作品を構築する上で何を思いながらその作業を進めていったのだろう。

かわいそうな4人・・・でも、もしかしたら誰でもこうなりうるかもしれない。人はグロテスクだ。人の暗部、見えない闇・・・。

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紙の本

評価の基準

2005/11/01 12:54

7人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:つな - この投稿者のレビュー一覧を見る

高校の同級生だった「わたし」と和恵。「わたし」の妹で、怪物的な美貌をもつユリコ。高校時代、「エリート達」に認められようと必死だった和恵。ユリコはその美貌だけをもって、「エリート」に認定される。時が過ぎ、和恵は一流企業に勤務しながらも、女としての評価を得るために、夜毎街に立ち春を鬻ぐ。同じく街娼となったユリコ。和恵とユリコは娼婦として殺害される。なぜ二人は娼婦となり、殺害されたのか。「わたし」が語っていく。
人間の嫌な部分が沢山描かれる怖い本。従順、協調性、優しさ等が、他者から見た際に重視される女性の世界。さらに容姿や学歴など、シビアでいながら、明文化されていない基準は沢山ある。小中学生であっても、区別の基準は数多あって、女の子のグループは形成されていく。
唯一自己から離れた冷徹な目を持った、ユリコは醜くなり殺されてしまう。
この本を怖いと感じた理由の一つは、落ちていく和恵の気持ちに分かる部分があったから。評価から逃れ、足ることを知るのは、大変に難しいことだけれど、結局、人の決めた相対的な土俵の上で戦っている限り、人は幸せにはなれない。

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紙の本

この疲労感っていったい…

2004/02/19 00:16

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ひさ - この投稿者のレビュー一覧を見る

 読んだ後の疲労感は相当のもの。作者の描く世界に翻弄された気分。「グロテスク」の世界の中で、現代社会の人の心の闇の構図を垣間見たような感じ。

 人は他者と同質でありたいと願う。それゆえの思慕と憎悪。しかしまた人は他者と異質でありたいと願う。それゆえの尊敬と軽蔑、憧れと嫉妬。相反する願いと感情は人を混乱させ悩ませる。そこで人は確固としたものをもとめるのではないか。それが自分というものの存在価値。

 登場人物の「わたし」「ユリコ」「ミツル」「和恵」がそれぞれの手段で自分の存在価値を見いだそうとする。その時の感情や行為があまりにもグロテスク。そしておそらく4人の抱く感情を誰しもが持ったことがあるはずだ。しかしこの感情は人には知られたくない、いや自分自身も意識したくないはずだ。これが人の心の闇の構図…それを作者に鋭く暴かれたような気分になってしまう。

 自分の存在とは何か、答えはあるのだろうか。登場する4人の女性の中でその答えを見つけたのは「ユリコ」だけではないだろうか。
 
 「ユリコ」は幼い頃からあまりの美しさに他者の好奇の目にさらされてきた。それゆえ早くに自分と対峙せざるをえなかったのではないか。そこででた答え。「自由は自分の心の中だけ」…「ユリコ」のつぶやきである。欲望のままに生き、死んでいったような女性が、実は確固とした自分を見つけていたのではないかと感じずにいられなかった。

 人は他者との関わりがあるからこそ生きていけるけれども、真実はきっと誰にもわからない…誰の心にも闇が存在するのだ。

 忘れたくても忘れられないような読後の疲労感だった。

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紙の本

女性ゆえの悲しさかもしれない…。

2003/12/25 15:36

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:あや - この投稿者のレビュー一覧を見る

 「10年前のお姉ちゃんがいた世界だよ」。先に読んだ妹は何度もこう言っていた。この本のモデルは「東電OL殺人事件」だと言われているが、そうだったら−私は確かにいた。Q高校に。
 物語は、語り部として「わたし」、「ユリコ」、「張」、「和恵」が登場する。それぞれ日記だったり陳述書だったりし、同じ話が繰り返されることが多い。全体として、陰の部分が多く、何度も本を閉じては溜息をつく、その繰り返しだった。書評を書くのだって、何度も書いては消し、書いては消しの繰り返しだった。
 神様がなかなか与えてくれない「美貌」、「頭脳」、「家柄」、それゆえに持っている者に対して向けられる羨望の眼差しと嫉妬。この本はこれでもかというほどに、目を背けたくなるほどに、鋭く訴えてくる。
 中学時代努力をし続け、やっと入った高校ではただの人だった和恵。その中でも頑張ろう、頑張ろうとするが、それが空回りして、逆に変わった人として目立ってしまった和恵。段々変化していく和恵に哀れさを覚えてしまった。
 そして、思った。「気持ちは分かる」と。多分、人ってこうやって生きている。雑誌に「女性受けしている」と紹介されていた。私の推測だが、この本の登場人物の姿に、自分の姿を見る人が多いのではないだろうか。
 ところで、この本はQ学園(あるいはそのモデル)の日常生活がとてもよく書かれていた。著者の徹底した取材ぶりに本当に驚かされた。入学式から現われる階級差、部活動のこと、リズミック(リトミックと呼んでいた)、そして果ては卒業リングまで、私自身が「あった、あった」と思い出すほどで、本当に懐かしかった。
 描写がややオーバー気味のきらいはあるが、それは小説、やむを得ないだろう。
 誰しもが心の中にもっている羨望、嫉妬。この難しくてやっかいな感情に、これからどうやって付き合っていくか、考えていこうと思った。

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紙の本

女はこんなふうに傷つき、刷り込まれている。

2003/11/27 01:31

3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:RIKA - この投稿者のレビュー一覧を見る

絶世の美女、ユリコは娼婦になり娼婦として死んでいった。なぜ彼女は「マダム」や「女優」を選ばずに(それを選べるだけの素材ではあったはず)娼婦だったのか。私はそこに、ユリコの賢さと自由さ、それからこの本の核心を見た。

しかし、大半の女はユリコにはなれない。舞台となった名門Q学園を卒業した主人公、優等生からキャリアウーマンになった和恵のように、家族の期待や自意識や優越感と背中合わせの劣等感にがんじがらめになって、誰かをねたみ、誰かと比べ、あるいは、ひりひりした孤独を抱えながら、生きていく。社会の階層の中での女、男から否応なく値段をつけられる女として、そして、人間として、どうにかして社会とつながっていなければならないからだ。

この本の何がグロテスクかといえば、娼婦となって一生を終えるユリコが、次々と知らない男と体を重ねることではもちろんなく、真夜中の円山町で起きることでもない。そうではない、ユリコになれない女の苦悩が巻きおこす苛立ちの渦である。和恵の高校時代のエピソードや会社での奇怪な言動…そういう描写が恐ろしい。

殺された和恵が欲しかったものは何か。それを、娼婦にもならない、殺されもしない私や、他の女は手に入れているのだろうか。覗き込めば、自分の中にもグロテスクが横たわっているような気がした。

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紙の本

怒濤の迫力で綴られた、幸せになれぬ女達の物語。

2003/08/02 11:24

4人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:PNU - この投稿者のレビュー一覧を見る

 「わたし」の妹、ユリコは怪物。その美貌は、母にも姉のわたしにも、そしてスイス人の父にすら似ていない。そんな美しすぎるユリコは、娼婦となって客の男に殺された。彼女に何があったのか。
 前半の姉と妹に的をしぼった息苦しい関係はたいへんに好み。家族の誰にも愛されず、誰も愛さない「わたし」の孤独がしみる。いつも「ユリコの姉」としか見られないことへの憎悪や焦燥が我がことのように感じられ、スリリングであった。
 後半は和恵が光る。真面目なだけでは報われぬ、この世は不公平。彼女のとった復讐の手段は、愚かしくも悲しい。ミツルのその後や、かつてハンサムだった男、ユリコの息子などは私には余計に感じられた。「わたし・ユリコ・和恵」の三人に絞って書かれていたらもっと楽しめたろう。賢くあろうとした「わたし」が選んだ結末は嫌いだ。こういう展開は好きじゃない。だが、それでも目を離せない異様な迫力があって、ラストまで一気に読んでしまった。
 惜しむらくは、和恵は『天人唐草』、ユリコは『星の素白き花束の…』、ユリコの姉は『奈落−タルタロス−』と設定に山岸凉子の諸作という先例があることだろうか。ミツルはR.H.医師がモデルですね。事件自体は現実の東電OL殺人事件が元ネタと言われているが、私はこの事件をよく知らないので言うべき言葉を持たない。モデルがあったとしても、本書の価値がゆらぐわけではない。作中世界の粘度とすさまじさ、良き自分であろうとするゆえの不幸が読む者をゆさぶる。
 作中で殺人が二件起こるが、この事件自体の描写は少ない。被害者の手記という形式なために殺人場面は無く、被告の判決の描写すら無い。でも、この物語はそれでいいのだ。姉妹、家族をこえて「女」を描く大作である。

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2004/10/13 15:36

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2004/10/22 23:02

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2004/10/23 07:58

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2004/11/15 06:38

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2004/12/20 16:16

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2004/11/27 20:03

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2004/12/01 16:22

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2004/12/04 16:52

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2004/12/05 10:09

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