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正直者は馬鹿を見る。優しいひとは騙される。でも思う。親切とは自己満足じゃないのか。優しさとは、こういうことじゃないか。物質的なものを失っても、心が満たされていれば幸福なんだ。
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19世紀後半、唯美主義、芸術至上主義を唱え、悲劇「サロメ」等で知られるオスカー・ワイルドの童話短編集。世界的にもよく知られているであろう表題作『幸福な王子』を始め、9編のワイルドの全ての童話が集められています。どの作品も、美しく、時にあわれに、ひたむきに描かれるのですが、常にどこかに救いがあり、それは彼の根ざしていたキリスト教と大きな関わりがあるようです。が、決して押しつけがましくなく、スマートなのが特徴。賛否両論の装飾された繊細な文体からは、美しい物を美しいと思う心を愛でた彼の人柄、思想が伺えます。叶わない恋でも、命を落とすことさえいとわない『ナイチンゲールと薔薇の花』はどんな恋愛小説より泣けます。『わがままな大男』では人のエゴイズムとそれと正反対に位置する優しさを。『漁師とその魂』からは愛することの尊さを繊細な文章で紡ぎ、『幸福な王子』慈しむという感情の根本を教えてくれます。どう受け止めるかは個人の自由ですが、私にはこれが心の支えでもあり、指南書でもあります。大人は大人なりに、子供は子供なりに読める珠玉の童話集ではないでしょうか。
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必ずしも、正直に、立派に、清廉に、潔白に、生きる人が報われるわけではない。人の辛酸を舐めて容易に生きてゆく人間もいる。
確かに不条理かもしれない。
それでも人間は自分なりの幸福を噛みしめることができる。
読後、卑しさも、美しさも含め、人間を大変愛しく感じるようになった。
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なかなか生まれてこなかった私のために、両親はいわゆる全集ものを揃えて待っていた。童謡のたくさん収録されたレコードのついたもの、美しい絵柄の絵本、もっと大人になってから読むべく、海外文学の全集。母が訪問販売ものに騙されやすいせいもあるのだろうが、とにかく我が家にはそういうものがいっぱいあった。小さな私は、その中から母に物語を読んでもらうのをとても楽しみにしていた。自分で字が読めるようになってからは、私が友達に読んであげた。
『幸福な王子』は、その頃に気に入っていた物語だ。他人のためにひとつひとつ、自らを失っていく王子、仲間から取り残されても王子とともに善行に尽くす燕。
哀しいという気持ちもわからぬ子供であったあの頃はもとより、今再び読んでみても私は電車の中だというのに涙ぐんでしまった。
先日友達が、電車で本を読みながら泣いている人を哂っていたが、私はそれを聞いてがっかりしてしまった。彼女は本を「読めない」人種で、それが悪いことだとは思わないのだが、その人種が「本を作る」仕事を希望しているというのが私には一番理解できない。
感動を次々と伝えることこそ、私が出版業界に求めていることだからである。ゼロからの発信は動機として私は不純であると思うのだ。(2002/03/23)
■過去の文章をさらうのは、心の休まる作業ではない。21歳のときの私は、なんて美しい未来に胸を躍らせていたのだろう。毎日毎日、夥しい本を読み、脳のなかに世界を躍らせていた。過去、現在、未来、無数のものがたりを再生させながら。もういちど『幸福な王子』を読んだなら、私の純粋な情熱は戻るだろうか?
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ワイルドって誰?という人は電子辞書の広辞苑でも使って調べて下さい。コミックショックでタイトルが気に入って買いました。本のタイトルにもなっている『幸福な王子』は有名かな。生きていた時には幸福しか目にしたことの無かった王子が死んで銅像になって世の中の不幸を初めて目にする。哀れに感じた王子は自分の目として使われているサファイアを雀に持っていかせるが…。って感じ。ラストに毎回一癖あって、ただの「めでたしめでたし」では終らせてくれないところが個人的にワイルドらしいと思ってます。
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『幸福な王子』『ナイチンゲールとばらの花』『わがままな大男』を電車の中で読んで泣きそうになりました。
愛情というものを改めて知った作品。
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『幸福な王子』ももちろん好きだけれども、『ナイチンゲールとばらの花』がお気に入り。
悲しくて虚しくて、どうしようもなくなる。恋は残酷。
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街の広場に建っている宝石やら金箔やらで輝いている王子が、
自分でみぐるみ剥いでくお話です。
ラストの描き方の美しさといったらありません。
そして悲しみは雪のように・・・ウォウウォウォウオ〜〜(浜省)
王子が男性でツバメもオスなのは、ワイルドの嗜好によるものと思われます
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甘くて惨めな童話たちでした。愛について語っているのに結末は残酷な話が多く、だけどそこにまた感動。特に「漁師とその魂」が素晴らしい!細部までもが美しい描写に悲劇のような結末。こんな展開かと驚かされます。
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ワイルドが子どものために書いたという表題作を始め、美しい童話ばかりをおさめた本。残酷ながらも心に残る童話は全て報われない自己犠牲の美を描いているような気がします。子どもから大人まで読める童話。
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授業中に泣いたのはこの作品が初めてです。原文でも訳でもダメなんです。子供の頃絵本で読んでるし、ストーリーを知っているのに絶対涙が出てしまうんです。「獄中記」や「ドリアン・グレイの肖像」を書いた作家と同一人物だとは信じられませんでした。子供達にいつまでも読み続けて欲しい作品です。
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学校で読み聞かせするために購入しました。小さいときに何度も読んだのですが、やはりこの年になってよんでも涙があふれてとまりませんでした。すばらしい1作です。
が・・・作者のオスカーワイルドは・・・
かなり変わったかたのようで。。。
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もう・・・コレは…なん十回読んでも、見ても、思い出すだけでも泣きます(笑)一番最初に母親に読み聞かせられて寝る前、布団の中で大号泣!!朝、物凄い目が腫れて、また泣いた!と言う…(汗)そう言うのって、忘れられないですよね?小学校の時の”かわいそうな ぞう”のように…(苦笑)ワイルドの童話…不思議ですね…。『ナイチンゲールとばらの花』も…。是非、子供さんに読み聞かせてあげてください!(あたしが言うな?汗)
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童話らしい表現が多彩。何かを連想させる、考えさせる話が多いです。子供向けではないのですが、大人になっても癒される文面。ただ、子どもの頃に読んだ話と、年をとってから読むこの幸福な王子は、年齢が違えば、話を見る視点も違って面白いかと思います。昔は可哀想だと思った燕や王子。大人になったときにはどう感じるか、その差が私は面白いと思いました。
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自分の身体をすっかり人にくれてやった王子の像のお話など、表題作以外にも何作か収録されているワイルド童話集。「もはや美しくないのだから、もはや役に立ちはしない」(p24)怖い言葉。