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紙の本
貧しい女性を救った人がここにもいた
2004/01/19 19:26
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:未来自由 - この投稿者のレビュー一覧を見る
日本が中国侵略を強めた時代、北京随一のスラムで、貧しさゆえに娼婦となりかねない少女たちの自立を願って小さな女学校を創った日本人がいた。クリスチャンである清水安三と彼の志に共鳴した二人の女性、美穂、郁子である。
「すでに身を売る境遇に落ちてしまった娘たちのための<駆け込み寺>、それも必要でしょうけれど」「そうなる前の娘たちに、自活の技を教える施設を作りたい」
「手に技を持っていれば」「暮らしを助けることが出来、夜の街角に立ったり、遊郭で一夜に数人もの嫖客から慰み物にされるというような屈辱に陥らなくてすみます」
こうしてつくられた<女学校>の「第一の目的は、朝陽門外の街の少女たちを、貧苦の果ての売春から救わんとするところにあった」
この本に紹介されている実話には、この学校の果たした役割を知ることができる。涙腺が緩むのには困ったが…。
「キリスト者にして自由主義者、人間も国家も独立自尊・相互不侵のモラルからして日本のアジア侵略には批判的というようも反対」である清水安三は「日中戦争にも太平洋戦争にも協力・同調しなかった」
人間平等・民族対等・反戦平和の精神を培ったこの女学校の卒業生の将来は頼もしいものであった。
敗戦後、日本で創った学校の入学試験日、清水安三の言葉がまた素晴らしい。
「社会には、頭の鋭い人も中位の者も、極めてにぶい人々もいるのです。頭の鈍い者には、その代わり手先が器用であるとか心が美しいとか、何か特徴があるものです。学校というものは、それ自体が社会です。すでに社会である以上、いろいろな人々がいなければなりません」
この後、音楽の音調に例えた素晴らしい教育観が堂々と述べられる。すべての人の平等と人権を尊重し、その個性を生かそうとする教育観だ。
紹介したい話や述べたい意見はまだまだ尽きないが、清水安三の記念碑に彫られた四文字を紹介したい。
「学而事人」
<学問は、自分の利益を計るために為るのではなく、社会に役立てるために為るものである>
つたない文章のため、感動が伝わらないかもしれないが、ぜひ一度読んで欲しいと思う。
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