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紙の本
この現実をわれわれは知らないで良いのか?
2005/03/30 09:24
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ドン・キホーテ - この投稿者のレビュー一覧を見る
昨年中国で行われたサッカー試合。大いに話題になったが、まずいことに政治がスポーツにかかわってきた。中国の反日闘争がサッカー試合で図らずも顔をのぞかせたのである。サッカーと政治の係わり合いは、何も今に始まったことではないなどと言うことなかれ。これはれっきとした政府と中国共産党の徹底した反日教育の所産なのであるから。
90年代になってから、すなわち江沢民が総書記に就任して以来、反日教育、反日運動が中国共産党の対日戦略の一つだったことが明瞭になってきた。それが日本で話題になることはなかった。マスコミの責任は大きいし、教科書問題で内政干渉を許してきた政府の対応はさらに弱腰であったことも、今になってはっきりしてきた。日本国内で中国に加担する根強い勢力があることも一因である。その路線は総書記が胡錦濤になっても踏襲されている。
古森義久氏は毎日新聞のワシントン駐在記者で名を馳せたが、産経新聞に移ってからは初代の北京総局長を務めて日本人の知らない中国の実相を本書によって明らかにした。反日運動を市民レベルで展開している中国政府、中国共産党の実情がそこで生活した者の実感として描かれている。
古森氏の報道には今後の指針などは書かれていない。経済という餌に喰らい付き、中国への投資を続ける財界が、政治の脚を引っ張っている現状を見ると、経済を放棄して政治のプライドを守ることの方が長期的な戦略としては有り得るのではないかと思われてくる。
古森氏は中国へODAも問題にしている。このODAは主として中国の道路、鉄道などのインフラ整備に使われているそうであるが、軍事への転用は容易である。これが何のためらいもなく続けられていたことが不思議でならない。政治(外交)がまったく機能していなかったと言うべきであろう。ODAはわれわれの血税である、援助をしている国に対してその国への反対運動が政府レベルで展開されているのはまったくもって理不尽である。
本書は中国に翻弄されている日本外交のあるべき姿のヒントになる報告であるし、日本人が未来を志向するにあたって、知っておくべき基本的な現実を知らせてくれる。21世紀の東アジアの前提を教示する書であった。
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