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紙の本
暴力という接着剤でくっついた男女の話
2006/11/11 07:44
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:くにたち蟄居日記 - この投稿者のレビュー一覧を見る
会社の同僚に進められて白石一文を読んでいる。
本書の主人公はイケメンでエリートで腕っ節が強い。恋人は凄い美人の才媛である。しかも 香折という女の子を含めた複雑な三角関係にある。ということで いささか漫画じみた設定だ。「軽い話」に流れてもおかしくない。しかし 語られる話は むしろ異様な展開を辿る。
主人公は美人才媛とは濃厚な肉体関係にある一方 結局選ぶ香折とは最後までプラトニックである。但し この話で語られる主人公と香折の関係はプラトニックには程遠い。
一言で言うと「暴力」の話だ。主人公の会社での派閥争いも暴力的だし 香折も凄まじい「家庭内暴力」の真っ只中にある。また主人公からして イケメンエリートの割りには 暴力を振るう場面も出てくる。会社の同僚を海外に飛ばす等も 形を変えた暴力だ。
そんな暴力的な二人がたどり着いた地点は 静寂に満ちている。香折は自ら望んだ様に暴力を受けて 意識不明でベットに横たわっている。主人公は社内暴力に屈して退職し 香折のベットの傍らで静謐な介護生活を始めたところで終わっている。それまでの話が疾走してきただけに 非常に印象的なendingにはなっている。
考えてみると「暴力」は人間の歴史そのものであったとも言える。僕らも 日頃なんとなく平和な生活をしている気がしているが 外の世界では今なお暴力が渦巻いているのはちょっと新聞を読めば分かることだ。そんないささか平和ボケした僕らに対して 外部ではなく「内部にある暴力」を指摘するのが本書かもしれない。もっと言うと 僕らも自分が気がつかないだけで 実は十分「暴力的」なのかもしれない。
そんな風に思った。
紙の本
一瞬の出会いから……
2006/09/25 01:14
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:由季 - この投稿者のレビュー一覧を見る
「私という運命について」一冊で、白石一文文学に惚れ、さっそく二冊目を読んでみました。
やはり感じたのは、白石一文は描写がすごく丁寧だということ。
描かれる人物も風景も余すとこなく書きつくし、いつしかその人物に情が移り、その風景を懐かしく思う。
この作品は、ある会社に勤める主人公が、自分の会社の入社試験を受けにきたある女子短大生に、後日、客と店員としてバーで再会するところから始まります。
主人公は冷静なんだけど、常に”うまくいきすぎている”感が作品全体に漂い、いつかなにか起きるんじゃないかと思って目が離せません。
この二人の関係、会社のしがらみ。全てが急速に変化していく様は必見です。
紙の本
これで白石作品のファンのなりました!
2016/01/18 21:24
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投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
この作品は筆者のデビュー作です。何の不自由もないエリートサラリーマンの主人公が、ある日偶然に出会った心に深い傷をもった短大生に次第に惹かれていきます。主人公は、社会的な身分も、容姿も、性格も申し分ないと思える恋人がいるにも関わらず、この気持ちをどうしようもできません。そして、最後には主人子は大きな決断をします。私個人的には、こんなことって現実にあるんだろうか、と思ってしいました
が、いろいろな人間があれば、こういうことも珍しくないかもしれませんね。
紙の本
不思議な人間関係
2015/11/05 12:05
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投稿者:akiko - この投稿者のレビュー一覧を見る
なんともいえない不思議で複雑な人間関係が描かれている。登場人物に共感することはできなかったが、「生きていくこと」について考えさせられた。
紙の本
ここに、白石一文あり
2015/08/29 19:25
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:てつ - この投稿者のレビュー一覧を見る
一般には理解しがたい「愛」の話し。でも、男には理解できる人も多いと思う。逆に言えば、女性には意外に思われる内容かも。
文量が気にならないストーリー展開になってます。
紙の本
待望の文庫版!
2003/09/18 15:24
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ちびねこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
これがデビュー作とは信じられないくらいの秀作です。白石一文氏の初文庫。
人を愛すること。会社組織というなかでの苦悩。これらが緻密に描かれていて、ググッと胸に響いてきます。サラリーマン社会を経験している作者だからこそ、ここまで細やかにリアリティーあふれる表現ができるのではないでしょうか。
悲しさのなかにも温かみのある、とても素敵な作品です。