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夜更けのエントロピー みんなのレビュー

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みんなのレビュー16件

みんなの評価4.3

評価内訳

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紙の本

さすが『ハイペリオン』の作者、シモンズ。この重さは生半可じゃありません、そう、読み終わってからカバーを見ると少女の目が怖くなったりして

2004/04/04 17:29

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

ミステリ、SF、ファンタジー、ホラー、現代文学のジャンルを越えて、「すこし不思議な物語」の名作を作家別に編集したという、奇想コレクションの一冊。さいきん、よくみかける装画は松尾たいこ、装丁は阿部聡(コズフィッシュ)。著者は、あの『ハイペリオン』4部作の、ダン・シモンズ。

当時、八歳だった家に母が帰ってきた。病院から帰ってきたようなものだと父は言うけれど、日ごと顔色が悪くなって「黄泉の川が逆流する」(1982)。28機のヒューイ武装ヘリに乗ってきたのは、笑顔溢れる家族連れ。彼らが大枚叩いて得ようとするのは「ベトナムランド優待券」(1987)。

ブカレストに向かったわれわれを迎えたのは、ドラキュラが彷徨う闇ではなくて、チャウシェスク政権がもたらした暗黒だった「ドラキュラの子供たち」(1991)。自動車の暴走事故はこわい。しかし、低速でいても事故はやってくる。アルペン・スライドで遊ぶキャロラインと私に「夜更けのエントロピー」(1990)。

私を狩るのは、17歳の少女。彼女が11歳の時の教師が突然、もと生徒と殺人ゲームをする羽目に「ケリー・ダールを探して」(1998)。彼女が担任するクラスの生徒たちは、ゾンビ。なんとか彼らから人間としての反応を得ようと腐心する教師だが「最後のクラス写真」(1992)。主人公がバンコクに舞い戻ったのは、以前自分が出会ったマーラを忘れられないから。映像化不可能な「バンコクに死す」(1993)。

どの作品も、予想以上に複雑な構造と重い内容で(死が常に中心にある)、しかもエンタテイメントというよりは現代小説の趣がつよく、まさに叢書の趣旨に沿う作品群だと思うけれど、中でも堪らなく好きだったのが「ケリー・ダールを探して」。殺人ゲームを焦点にして、大人と少女の想いが意外な展開をして、その官能的な描写も、その時空的な広がりと青春の煌き見たいなものがいい。

それは私だけの思いかと思っていたら、訳者の嶋田洋一もあとがきで同様のことを書いていた。どれも、恐ろしいくらい完成度が高いなあと思っていたら、「黄泉」は、コンテストの第一席、「ドラキュラ」は、ローカス賞、「夜明け」もローカス賞、「最後」は世界幻想文学大賞、ブラム・ストーカー賞、星雲賞、「バンコク」も、ブラム・ストーカー賞と世評の高いものばかりである。

いやあ、それにしても死者が重要な意味を持っていて、それはホラーにとっては常道ではあるけれど、垣間見える深淵の底の見えなさの度合いが違うのである。まさに『ハイペリオン』4部作のシモンズ、面目躍如といったところだろう。

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みんなエントロピーのせいね(としてみる)

2004/01/24 11:58

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:SlowBird - この投稿者のレビュー一覧を見る

 エントロピーが今ももりもり増大しつづけて宇宙がまっしぐらに熱死に向かっている中、生命というのはそれに抵抗して秩序を維持し続けようとしている存在なんだそうだね。
 じゃあ死者はどうなのか。土に埋められて分解されていく死体は、新たな生命の活動に役立ってるのかもしれないけど、その輪廻はマクロには忌むべき道なのだろうか。あるいは、動き続ける死体とか、人の血を吸って微かな新陳代謝を維持しているアレとか、生きながらに死んでいる者とか。
 アル中になったり、ベトナムの戦場にまた帰って行こうとしている人達は、きっと自分の中のエントロピーを抑えきれなくなってしまったんだよ。
 90年代に「ハイペリオン」で日本でも熱狂的評価を獲得した作者の初期短編集。「殺戮のチェスゲーム」他たくさんの長編も人気を得ているが、この同時期にそっと出ていた短編集「愛死」はあまり知られていない。が! 「愛死」所収2作を含むこの短編集も、シモンズの陰鬱な面が凝縮されていて、実はもっとも「らしさ」が味わえるのではないだろうか。グローバリズムの進行する世界の中で、親子、夫婦、教師と生徒、様々な人間関係が少しずつ生まれ、そして壊れていく、いや逆だ、まず壊れ、それから命を得る、その非可逆的過程を描くところが真骨頂。泣けるって、ほんと。
 ま、エントロピーと言えばトマス・ピンチョンなのだが(乱暴)、ピンチョンがあらゆる日々に泡のように吹き出してくるのを描くとすれば、シモンズではハイウェイで、ベトナムで、HIV検査などの場で極大に姿を現す。そして人間と吸血鬼という二項対立も、それ以上に乾燥した者や崩れさる肉体が入り交じる混沌と化す。
 「最後のクラス写真」、名作「バンコクに死す」(ぐぎゃー)の2作のブラム・ストーカー賞受賞作を擁する本書、最強。

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2004/11/28 12:10

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2007/05/06 05:35

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2007/05/22 09:32

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2010/04/15 22:17

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