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紙の本

アンビバレントな作家の肖像

2004/02/05 23:03

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:脇博道 - この投稿者のレビュー一覧を見る

とはいえ、アンビバレントなる曖昧なことばで、本書の主人公である
ジョルジュ・ペロスなる作家のスタンスを表現してよいのか否か読了
した現在においても思考は宙吊りのままではあるのだが、まずは、こ
の複雑な精神性を有する作家のクロニクルを見事に描き切った堀江氏
に最大の賛辞を送りたいと思う。文学及び文学的論考において数々の
傑作をものしている氏も、この作家の存在を知ったのは、そう昔の事
ではないと冒頭に書いておられるのであるから、小生ごときが本書を
ひもとくまでは勿論知らなかったのは自明であるにしても、氏のクー
ルでありながら、ペロスへの限りないオマージュに満ちた文章を読ん
でいくうちに、どんどんとその独自の世界に引き込まれていった次第
である。

ジョルジュ・ペロス。なんという不思議なかたちで文学に殉じた作家
なのであろう。中身のない虚名性を疎んじ、文学そのものに精進した
職人肌の精神性を持った希有の作家、といってしまえばそれまででは
あるが、ことはそう単純ではない。堀江氏は、紆余曲折の激しいこの
作家の生の軌跡を精緻に追うことで、その全体像に肉迫しようと欲し
それは、氏の文学的指向性と重なりつつ、ペロスの精神の奥底に潜む
なにものかを、言語というツールによって浮かびあがらせようと試み
る。ペロスのジャン・グルニエという大作家への突然の接近、本書の
前半部におけるクライマックスといってもいいエピソードであり、こ
のあたりから、氏の筆致も加速されていくように感じられる訳である
し、無名の作家志望の青年が、大作家に書いた書簡一通で邂逅を果た
すということ自体未曾有の出来事といっていいと感じられたのではあ
るが、その後のペロス自身の潔癖を希求する姿勢が、グルニエとの厚
い交遊関係をも、なしくずしにしていく記述は、堀江氏が、冷静な記
述(無意味なドラマ性を徹底的に排除する氏の記述姿勢は素晴しいの
ひとことに尽きる)を行なえば行なうほど、スリリングなペロスの精
神の葛藤が、行間ににじみでてきて秀逸であるし、それは、「NRF」
の編集長であるジャン・ポーランとペロスの関係とパラレルに進行し
ていくので、より複雑な人間関係を読み解いていく作業となっていく。
そしてグルニエとの決別。なにがそうさせたのか、単純な感情論では
測れない奥深さが存在する。ペロスは、ミシェル・ビュトールとも知
己を得る。そしてクロソウスキーとも。ここで急いで付記しておかね
ばならないのは、このような人々との出会いは、決してペロスの方か
ら積極的に働きかけたことではなく、いわば運命的な出会いとでもい
えるのであるし、上記のグルニエとの出会いに関しても、ペロス側か
ら書簡を送ったにしても、やはり偶然が大きく作用した事であった。

本書のなかほどに、ペロスのポートレイトが掲載されている。若き頃
劇団で知合い、親友でもあった名優ジェラール・フィリップにどこと
なく似通った風貌である。大胆でありながら繊細で、クールでありな
がらあつい心を持ったひとりの男の、ダンディズムが感じられる美し
い写真である。ありきたりの人生、成功とか失敗とか2元性では決し
て語ることの出来ない文学のなにものかをつかもうとした人生。では
報われなかったかといえば、巨匠たちには多大の賛辞を書かせること
の出来た作品を書いた人生。まさしくペロスの代表作「パピエ・コレ」
そう人生というそのときどきの断片そのものを真摯に生き抜いた作家。
であるがゆえに、小生は、感動と共に、美しい本書を読了した現在に
おいてもジョルジュ・ペロスという作家の生きざまの魔法にかかった
かのごとくその全体像は未だ掴めないでいる。これから読む方々には
ぜひその答えを見い出して頂きたいと切に願う次第である。

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2009/10/13 19:08

投稿元:ブクログ

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