紙の本
「進歩的」な女性って。
2004/10/16 02:33
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Helena - この投稿者のレビュー一覧を見る
斎藤美奈子、『モダンガール論』を読む。
なんか、突然、斎藤美奈子が読みたくなったのです。
あの文体、というか毒舌(^^;)が、時々無性に読みたくなるのです。
AERAのブックレビューの担当が終わってしまったので、本当に毎週さびしいのであります。
『モダンガール論』は、『文章読本さん江』くらい私は好きな斎藤本。
いろいろ好きな一節はあるのであすが、今回読んでいて、やっぱりこれかな、と思ったのは、172頁あたりですね。
羽仁もと子や市川房枝といった女性の権利を主張してきた戦前の「進歩的」な女性たちは、第二次世界大戦を、諸手をあげて賛成していたのであります。
現代の感覚でいうと、なんでそんなにリベラルな人たちが、戦争に賛成したんだろう? って思うじゃないですか。
でも、それじゃこの謎は解けないって斎藤は言うんですよ。
「彼女たちのような考え方こそ、当時は「革新的」だったのだ。
戦争は変化を求めていた人々の気持ちをパッと明るくした。保守的で頑迷な昔風の女性ではなく、前向きで活発な近代的なセンスをもった女性ほど、戦争にはハマりやすいのですよ、みなさん。」[172-173頁]
なるほど。
どうしてかなあと、同じ女性としては悲しい部分もあるのですが、ハイテンションになって、クールな吟味をしないまま、突入してしまうことってありますよね。
私の周りにも、そういう女性がたくさん(^^;)
更に。
戦争が終わると、また同じテンションで、戦後復興の意義を説くわけです。
斎藤は、こんな感じで書いてます。
「懲りてませんね。戦争中とまったく同じテンションで、こんどは復興の精神を説く変わり身の早さ。もっとも彼女の名誉のためにいっておけば、これは彼女(羽仁もと子)にかぎったことではなく、市川房江も、奥むめおも、平塚らいてうも、戦前の婦人運動の指導者たちは、特に過去を清算するわけでもなく、みんなこんな感じで戦後も婦人解放運動・平和運動のリーダーに復帰した。だからいったでしょ。「進歩的」な女の人は、いつも「新体制」の前で張りきっちゃうんだって。」[195頁]
(^_^;)
斎藤美奈子さん、あなたも女性でしょ、と思いつつ、あまりにもあたっているから、何も言えない……。
こういうふうに言ってくれちゃうから、斎藤美奈子は期待を裏切らないって思います。
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美奈子先生、一生着いていきます。評論を纏めた本なんて普段は読まないんだけど、この人の本はつい買いあさってしまうのだなあ。なぜか。
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結婚した友達と、結婚を予定している友達と、むかし大学時代の女性人権問題を語ったような勢いのある本。 歴史ってこわい。自分ではわかんないのにステレオタイプな行動している。
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日本の近代以降の働く女性を,「モダンガール」というキーワードで通史的に解説を試みたもの.同じ記述が繰り返されるのでちょっと単調ですが,文句なく面白いです.
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表紙に惹かれ、小説かと思って購入したらノンフィクション寄りの書籍でした。いわゆる近代の女性から現代の女性まで、彼女らに共通するものとか引き継がれたものとかを、歴史的に考察していく内容。結構綿密でマニアックなのに堅苦しくなく、読みやすくて良かった。真面目に女性学をやりたい人にどう読まれるかは疑問。
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斉藤美奈子さんの本おもしろい!(まだ2冊しか読んでないけど。)
論文というよりは、近代女性史ですね。
普通に歴史を勉強するだけではスポットの当たらない、一般女性を追っていく女性史の本です。
齋藤さんの語り口調がなかなか毒舌でおもしろくすんなり読めます。
近代フェミニズムの流れもわかりますよ。
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「女学校と女子大生」と比較すると筆致は軽いけど情報量もまとめ方もオリジナリティもあってかなりお買い得な本。考え方の新しさを競うという意味では紅一点論の方が刺激的。そちらも文庫になっているのであわせてどうぞ。
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良妻賢母を通してモダン・ガールを論じ、そこからポストモダン・ガールへと思考を繋げる画期的なフェミニズム論。
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歴史は常に繰り返される悲劇。女性観もまた同様であり、革新的な女性(モダンガール)というものは常に過去の亡霊である。
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なんだかすごく目から鱗だ。
いつもは技巧でいかされるんだけど、今回はストレートにくる。
やっぱ美奈子いいなーー。
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女性をテーマに論じる。
というのは相当難しいことだと思う。
「男はこうあるべきだ!!」と発表したって、
せいぜい数名の有名男性が軽く批判をする程度。
それほどまでに日本では男性に対するイメージや理想はゆるぎない。
しかし女性は違う。
女性というのはさまざまな利害とかかわりあっていて、いろいろな意見を持つ人が
いろいろなことを言う。
どれももっともらしくて、
どれも矛盾があって、
なんかしっくりこない。
それが女性を論じることの無意味さでもあるような気がする。
だから著者のように
資料をこれでもかと並べていくやりかたが
実は一番批判を受けずに済み、
かつ言いたいことを言えてしまうのだ。
賢いな。
もちろん
著者のスタンスに賛同できなければ
最後まで読む前に腹が立って本を壁に投げつける
ことになるかもしれない。
そういうことをわかって書いているので、
語り口は親しげでも決して隙を見せないのだ。
結局のところこの本を読んだからって、
今も昔もたいして変わっていないのだから
現代女性の助けになるわけではないけれど、
でもきっとふとしたときに昔のがんばる女たちを
思い出して、何か思うことがあるんだろう。
「知っている」ということが大事なのだ
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欲望史観で読み解く100年史、だそうで。
結局、女は社会や男にいいようにされてきたし、作られた価値観で右往左往してきたんだなと、思った。100年でやってることは、いつも同じようなことだしね。アグネス論争も、過去に似たようなことがあったっちゅうのには笑った。
こういうのを男性が進んで読むようになると、ちっとは社会は変わるような気がするんだがな。
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雑誌で紹介されていて読んだ。主に、明治時代からの結婚後の様々な女性のあり方(生き方、日々の様子)が紹介されている。昔の女性に比べて今の自分は幸せだわ〜。家族の協力・理解、家電(笑)に感謝感謝。
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授業でフェミニズムって言われてもまったくピンとこなかった学生時代に読んだ時、すごく印象に残った。これを読んだのを機に、自分も含めた女性が働くことと自己実現についてうっすら考察するようになったのだよ。答えはもちろん出てないけれど。
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明治・大正から現代にかけての社会情勢と女性の意識の変化が、当時の雑誌の記事からの引用などで知ることができてとても楽しい。