紙の本
人間のすばらしさと醜さ
2005/06/18 08:28
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投稿者:kurapika - この投稿者のレビュー一覧を見る
自分の命があと4日間しかないと分かった時、何を考えどのように行動するのか・・私には皆目検討がつかない。ましてや自分の肉体を離れ、心だけが他人の肉体に宿る不可解な出来事。とまどいながら4日間のうちに自分を見つめ新しい自分を発見する。命の大切さ、人間関係の大切さを皆さんに感じてほしい。ぜひ読んでください。
紙の本
生きる者が逝く者から得るもの
2004/07/14 18:04
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投稿者:T40 - この投稿者のレビュー一覧を見る
ピアニストと少女との出会いからして奇蹟だと思うけど、
そのピアニストが指を失う事件に遭遇するのも奇蹟だ。
本書にはいたる所で奇蹟が起こる。
少女は、逝く両親から奇蹟の能力を残される。(決して事件が能力の引き金では無いけれど)
また、看護士からも眠っていた能力を残される。
ピアニストは、その看護士から生きる勇気と目的を残される。
それぞれが、生きる者へ何かを残すことで、その人生を終えていくのである。それが人生かもしれないし、生きてきた証なのかもしれない。
生きることと死ぬことの意味を考えさせられました。
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奇蹟は彼女の内側に
2004/07/02 19:24
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投稿者:祐樹一依 - この投稿者のレビュー一覧を見る
「このミステリーがすごい!」第1回の大賞受賞作。挫折した音楽家の青年と、脳に障害を持ったピアニストの少女。彼らが訪れた山奥の診療所で遭遇する奇蹟とは…。
半分ほど読み進めて、既存の小説において、本柵とほぼ同じアイデアが用いられているものがあることに気付きました。そして僕の場合、その「既存の作品」を実際に読んでいなかったので、実質ニュートラルな視点で読んだのだけれど、本作に関して言えば、厳密にとは言わずとも、「本格ミステリ」つまり「推理小説」を期待して何かとんでもない仕掛けがあるんじゃないかと思って読むのは止めるべきです。
けれども「終焉と再生」を描いた本作は、紛うことなくファンタジーの比重が大きい要素を(ネタバレになるので言えませんが)、舞台背景と重ね合わせて巧く料理していると言えそうです。脳に障害を持つということは、「心」に障害を持つことなのだろうか、とつい考えてしまいました。生と死の境界線は、心が生を実感しているか否か、という考え方も出来そうだけれど、それは身体を「生かされて」いる状態にでも言えることなのかどうか。これこそ、「物語」を読むべき物語だろう、というのは、恐らく多くの人が抱く感想の一つでしょう。
己を究極的に俯瞰することへの喜びと悲しみとを同時に感じることなど、多分に通常人が感じ得るものではなく、それゆえに本作は「現実味」という冷めた視線からの開放を促し、最終章で得られる、形はないけれど確かに感じる「人の心」を汲み取れたら、という読後感をもたらすのです。
(初出:CANARYCAGE)
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あの小説と比べてみれば
2004/05/24 15:33
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投稿者:紫月 - この投稿者のレビュー一覧を見る
「このミステリーがすごい!」大賞受賞作です。
でも、ミステリーではない…少なくともミステリー小説として面白いとは思いませんでした。
ジャンルが違うんですよね〜。
読みながら、どこからミステリーになるんだろ?なんて思ってしまいました。
と書くと面白くないのか?と言われそうですが、面白いです、とっても。
というか、上手いという感じ。
事故で指をなくしたピアニストと、脳に障害を持ちながらも天才的にピアノを操る少女の物語ですが、何も起こらない冒頭の部分からとにかく読ませてくれます。
情景描写もいいですし、ピアノに疎い私でさえ、なんだか曲をイメージできてしまうような書き方です。
本書で惜しいのは、肝心の部分があの人気作家の小説、つまり『秘密』を連想させるということ。
同じような設定の小説があるとき、あとから出たほうはかなり不利です。
どうしても本書が『秘密』を連想させる、という言われ方をされてしまう。
でも両方を読み比べてみると、私は本書の方が好きです。
登場人物の一人一人がとっても純粋で好感が持てますし(真理子は明らかに喋りすぎで、実際にこんな人物がいたら閉口してしまいますが)、ラストもとっても感動的で綺麗です。
ミステリ小説にこだわらず、なおかつ『秘密』を引きずることなく読むことができれば、とてもいいんじゃないかと思います。
しかし、この辺りは好みの問題です。
『秘密』の方が断然いいと言う方もいるでしょう。
でも、私としてはこちらがお勧め。
著者の次回作を期待したいです。
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▽挫折した音楽家の青年と脳に障害を負ったピアニストの少女との宿命的な出会い。そして山奥の診療所で遭遇する奇蹟。選考委員も泣いた!これぞ癒しと再生のファンタジー。第1回『このミステリーがすごい!』大賞金賞受賞作品。
2005/09/16
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出版社/著者からの内容紹介
脳に障害を負った少女とピアニストの道を閉ざされた青年が山奥の診療所で遭遇する奇蹟。ひとつの不思議なできごとが人々のもうひとつの顔を浮かび上がらす ....
--このテキストは、絶版本またはこのタイトルには設定されていない版型に関連付けられています。
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ピアニストの如月敬輔は8年前、留学先のオーストリアで強奪犯の銃口から1人の少女・千織を庇った。が、発砲された弾は敬輔の左手薬指を吹き飛ばし、敬輔のピアニストとしての生命を絶つ事となる。その事件で天涯孤独の身になった千織を引き取る事を決心した敬輔は帰国した後、千織にピアノを教えだす。知的障害を持ち日常会話もまま成らない千織だが、何故か彼女は一度聞いた曲は完璧に覚え、やがてその腕は敬輔が嫉妬する程までに上達する。人見知りの激しい彼女を少しでも社会に溶け込ますために始めた慰問活動という名目のピアノコンサートは好評で多忙な日々を二人は送っていた。
依頼のあった山奥にある老人ホームの慰問に訪れた時、敬輔は学生時代の後輩である岩村真理子と再会する。人見知りの激しい千織だが初対面の真理子には何故か懐き、不思議さを感じつつも無事にコンサートを終える。一夜明けた翌日、事故が起こった。それは奇蹟の四日間の幕開けだった。
癒される……とまで言うと嘘臭いが、とてもいい話です。心に沁み入るという感じ。切なさ感もあるのでほろりとさせます。
事故で起こったある事は、ファンタジー小説では使われる題材なので目新しさは無いのだが、そんなものは全く気にならないです。
敬輔と真理子のメンタルな部分に潜む陰がに徐々に無くなって行くの様が無理なく書かれているように感じましたし、何よりも丁寧に4日間が書かれてて良い感じです。
物語の本筋に突入するのは頁換算するとほぼ真ん中あたりで、一見、前段階が頁換算上長いという感じを受けますが、それも全く気にならないです。前半は過去の話が上手く挿入されているのでダルイや間延び間は全然感じなかったし、後半に入ると「どうやって終るのだろう」と言うのが気になってしょうがない。自分の読むペースの遅さにもどかしさを感じた(笑)
千織が可愛く描かれててとても和みますし、題材の一つであるオムライスの使い方が素敵です。
これ映像化しないかなぁ。凄く見たいんだけど。
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「このミス」大賞・金賞受賞という事実と、本の裏の『癒しと再生のファンタジー』という紹介文のちくはぐさに思わず手に取った。で、感想。
「これはミステリーではない。文章はうまいが、内容は二番煎じ」
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ファンタジーとしてはすごくありがちな話だと思う。でも、それを承知の上ですごく泣けた。
何かどこかで観たか読んだかした話と似てるな、と思ったんだけど、結局何に似てるかは思い出せなかった。ううう、気になる。
しかしなんでこれが「このミス」なんだろ。確かに舞台は難の変哲も無い『現在』なのだけれども。最近ジャンル分けし辛い本が増えてるなあ。
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確かに泣ける。それに、読みながら色んな音楽が頭に鳴り響く。誰かの何かに似てるとかそんなのは別に問題じゃなく、素直に奇蹟を感じられればそれで良いと思う。ただ、これがミステリーなのかどうかというのは疑問に思うかも・・・。
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『このミステリーがすごい!』の第1回大賞金賞受賞作です。 ”ある人気作家の作品(敢えて書きませんが)と設定が似ているけど良い”という前評判をあちこちで聞いていて、割と前から気になってました。
似た設定だということは気にせず読もうと思っていたのですが、読み始めてみるとやっぱり気になっちゃってました。
いつ出てくるのかというのが常に心にあるような感じで・・・。
真ん中辺りまでその設定が出て来なかったのでちょっと意外でした。
でも、面白かったです。
先に世に出ていた方の作品は、読後にかなり切ない余韻が残ったのですが、こちらは爽やかな感動を置いていってくれたという印象でした。
もちろん途中には、切ない要素も悲しい要素もツライ要素もあるんです。
それが、最後には素敵な状態で終わっている。
私は涙までは流れなかったんですが、読む人によっては泣けちゃうんじゃないかと思います。
確かに設定は似ていて、あの作品を読んだことのある人なら間違いなく連想してしまうだろうなあという感じは受けました。
あまり見かけない設定だから余計に。
でも、盗作だとかパクリだとかの悪印象はない。
それよりも、設定が同じでもまったく違う作品になるものなんだなあと逆に感心してしまいました。
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脳に障害を負った少女とピアニストの道を閉ざされた青年が山奥の診療所で遭遇する奇蹟。ひとつの不思議なできごとが人々のもうひとつの顔を浮かび上がらす ....
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面白かった!指を失ったピアニストと、障害を持った少女が一緒に暮らす話。なんつーか、、、途中から、とにかく先を急いでしまうほど必死に文字を追っていました。なんとも切ないお話。なにしろ、読み易かった!久々に一気読みしました♪あ〜眠い;;;;
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第一回「このミステリーがすごい」大賞の「四日間の奇蹟」。
ネタ的には斬新なところはなかったけど、そういうありきたりのネタをモチーフにしてあそこまで引っ張られるのはやっぱりすごい文章力だと思う。中盤からラストまでは一気に読めた。泣ける度でいうと東野圭吾「秘密」の方がちょっと勝るけど、新人賞だということを考慮すれば全然オッケー。イイです。
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帯とポップだけ見て買ったんだけどこれが正解。知恵遅れの女の子と、その子をかばって指を失ったピアニストの話。幽霊ネタ、というのとは少し違うけど不思議話です。でも感動した。