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「人間そっくり」と似たプロットでした。
死体と自分自身に追い詰められていく展開は面白いですが、終わり方が突然で中途半端な感じがします。
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短編集です。
「使者」は、「人間そっくり」の元になったのかな?という印象で、人間そっくりの火星人が出てきます。ラストは違います。結構好きです。
あとは、「箱男」を連想させる「なわ」。あくまで連想させるだけで、全然違いますけどね。
考えさせられたのは「無関係な死」。
もし自分の部屋に、見ず知らずの人の死体が転がっていたら・・・?
こんな迷惑極まりないことって、ないですよね。どういう行動をとりますか?
今だったら、DNA鑑定も進んでいるので、自分の無罪を証明できるかもしれませんが、まず発見時に冷静では居られないでしょうね。間違いなく、まず疑いは自分に向きますね。
そうして試行錯誤して、無関係な死によって破滅に向かっていく男。たいへん興味深いです。
一番面白かったのは「人魚伝」です。一応、悲恋の物語のようです。
かなり分かりやすい物語でした。安部公房の作品としては今ひとつ捻りが足りない?のかもしれませんが、「肉食の人魚」という設定が魅力的でした。
人魚伝で長編を書いたら、面白いだろうな〜って思いました。短編だからこそ魅力的な物語なのかもしれませんが・・・。
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0311
読んだ時期が悪かったのか電車で読んだら酔いました…。
無関係な死、人魚伝なんかが好き。
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安部公房の作品には毎度引き込まれます。
全てをきちんと理解することなんて到底できなくて、でもむしろ、読む人にぐるぐると考えさせる、それが狙いなんじゃないかな。
短編集なので比較的読みやすいです。
表題作「無関係な死」、「人魚伝」が特にすきだったかな。描写がなまなましくて気持ち悪いです。でもそれがいい。
「無関係な死」で、関係性のあることの証明はひどく簡単なのに対して、無関係であることの証明は…、、このへんは分かりやすく考えさせられるところ。
「人間そっくり」に繋がるような「使者」、「疑惑者」あたりも良かったです。
短編集の形だけど、全ての作品がどこか深いところで全ておなじループに収束しているような印象。
やっぱりよく分からないので、いつかまた読み返したいです。
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気持ち悪くなるようなホラーが読みたかったので読んだ
阿部公房3作目
いやあこの人はホント凄いなあ
こんなに気持ち悪く人の精神を描けるというのは凄いことだ
主人公の幾分自分勝手な理屈に則って全ての物語が描かれている
そこにはいわゆる常識や良識といった(より大きな規範)存在は希薄で、主人公にとってそれは他人事のように描かれている
その自分勝手な主人公が、理不尽な状況に巻き込まれていき、始めは抵抗するが気づいたら彼もその理不尽を構成する一部分、もしくは理不尽さそのもになってしまう
阿部公房の作品は以上の様な展開になっていると思う
何が凄いって、その理不尽な状況の突飛さ、そして、状況は平凡でも主人公の心理描写
この2つが凄いと思う
特に「賭」は状況設定が、「無関係な死」は心理描写が、良かったと思う
でも、この人の作品は読んでいて楽しいものではないから、読む人はそのつもりで読まないと痛い目見ると思う
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十篇の短編が収められている。
なかでも「使者」は、自らが火星からきた使者であると主張する男の話だが、これは長編『人間そっくり』の元の話なんだろうと思われる。主人公は違い、結末も違うのだが、短編(アイディア)が長編になる過程をみるようで興味深い。
ここに収められている短編は、安部公房らしい、突飛で不可解な事件が主人公たちに降りかかり、そして主人公がそのまま破滅に向かっていく、静かな絶望に満ちたエンディングが多いのが特徴か。
興味深いのは「賭」である。
主人公である建築デザイナーは、ある会社から不思議な建物の建築を依頼される。それは、二階と三階の部屋が隣り合わせになるようにしてほしいといったような、不可解な注文だった。
このような変わった建物は、「宣伝」を仕事とする彼らの事業に必要なのだという。主人公は翌日、彼らの事務所に赴き、その仕事の方法を見るのだが・・・。
「宣伝の事業というものは生き物の体のように複雑です」というセリフがあるのだが、その会社の仕事の仕方こそ、安部公房が小説を作る際の「アイディア作り」の方法なのではないかという気がして、読みながら興奮した。
突拍子もないストーリーなのに、まるで実態をもつかのように現実味があり、だからこそ読みながらふわふわとした不安な気持ちになる。しかしそれが不快ではないのが安部公房の魅力の一つだ。
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短編なところがいいです。
頭のいいひとですね、安部公房さんは。
「誘惑者」と「人魚伝」が意外な感じで面白く思います。
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安部公房短編集。
収録は表題作の他に、『家』『透視図法』『なわ』『誘惑者』『賭』『人魚伝』等。
以前読んだことがある短編集なんですが、タイトルを見ても内容を思い出せないくらいにすっかり忘れていたので、再読。
安部公房節は相変わらずですが、やはり短編集のほうが内容が平易というか、ちゃんと全体的に説明がつくように仕上がっているのかな、と思いました。
もちろん、その裏には様々な意味が隠されているんでしょうが、最初の第一段階の時点で、混乱に巻き込まれるようなことは無いように思います。
お気に入りの作品としては、何代、何十代と前の人間かわからない『祖先』という生物を飼っている『家』と、全身緑色、乳首と臍のない人魚との恋愛模様を描いた『人魚伝』が挙げられます。
逆に表題作にもなっている『時の崖』については、裏にどういった意味合いが込められているのかよく分らなくて、あんまり印象に残らない一作。
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なんていうか、安部公房氏の作品って舞台設定はすごくSF的なのにそこに登場する人物の心理描写はすごくリアル。
そこがおもしろくもあり、言いようのない怖れを感じさせるところでもある。
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安部公房の短編集。
一つの問題を解決しようとする試みがさらなる問題を生み出していく、というような作品が多かったです。
捕らえられた網の中から逃げ出そうともがく度に、どんどん複雑に絡み捕らえられるという感じ。
大変面白かったです。
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『夢の兵士』『誘惑者』『家』『使者』『透視図法』『賭』『なわ』『無関係な死』『人魚伝』『時の崖』収録。
『使者』は『人間そっくり』に類似。
『賭』『家』『人魚伝』が面白かった。
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安部公房短編集。短編なので安部節炸裂な心理描写だったりのカラクリは容易く、混乱はさほどしないけれどその裏には様々な意味が隠されているだろなあ。なんて思ってしまい、結構何回も読み返しているのです。
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長編「砂の女」「他人の顔」と並行して書き上げた短編集。狂気じみた自意識におのずと追い詰められるような作品が多く、なかでも「人魚伝」はこれまで読んだどの人魚物語よりも衝撃的なファンタジーでした。
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短編群ではこれが一番好き。ねーだろ!の発想をさもあるように、さらりと持ってくる馬力。「家」、「人魚伝」あたりはかなりハイレベル。ものにより、幻想系不条理がある安部作品のなか、発想よし、エンタメ性よしのバランスいい短編集。
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短編の方がいろいろな表現がいっぺんに楽しめるというのはあると思う。安部公房という作家が、圧倒的な比喩力の直球だけではなく、多彩な変化球も兼ね備えていることがわかります。とくに『人魚伝』推し。