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紙の本
ナチス時代のシュトラウス
2018/05/16 00:23
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:H2A - この投稿者のレビュー一覧を見る
シュトラウスは軽率な俗物のように見られているが私はそう思っていない。それにナチスに協力的で政治にはうとい人物だったとも思っていない。この本ではシュトラウスがナチスに対して、高い地位と名声を利用していかに立ち向かっていたかを書いている。ここで特に問題にされているのはホフマンスタール亡き後のシュトラウスにふさわしい喜劇の台本を提供できる作家を求めてシュトラウスがいかに逡巡したかということ。作者に言わせるとホフマンスタールの持つ幻想的な作風は、シュトラウスのアポロ的な作風とは本来合わず、その点から見て合格点なのは薔薇の騎士だけということになる。そうは思わないが、シュトラウスがようやくめぐり逢った、彼の喜劇オペラの台本を創るのに相応しい作家はユダヤ人であるかのツヴァイク。シュトラウスはユダヤ人であるツヴァイクを護るという挙に及んだ。いくぶんシュトラウスを美化している傾向もあるかもしれないが、従来のシュトラウス像の少なからぬ部分を新たにするにちがいない。
紙の本
出版社コメント
2004/07/12 17:16
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:久保民夫 - この投稿者のレビュー一覧を見る
これまでタブー扱いされてきたリヒャルト・シュトラウスのナチス時代に焦点を合わせて、「シュトラウス=ナチス協力者説」を覆しつつ、そのオペラの制作原理を系統立てて見直したものです。同時に、シュトラウスの活躍した「第二」帝国の時代から、二度の大戦に至るドイツの歴史も浮き彫りにしています。特に、従来、蔑ろにされてきたナチス時代のオペラに光を当てた著者の功績は高く評価されるもので、同時代人の証言と歴史資料を交えて謎に迫る著者の筆致はまるで推理小説を読むようです。ぜひご一読ください。なお、これまでに下記のように多数の評価をいただきました。
■「喜劇は病的な時代を〈治療〉するか」(『朝日新聞』)→BOOKアサヒコムに書評が掲載されています。
■「ナチス政権とシュトラウスとの文化闘争——二十世紀芸術を考える上で貴重な考察」(『図書新聞』)
■「ワーグナーを継ぐ男はいかにナチスと闘ったか」(『週刊文春』)
■「ナチスに荷担したことで戦時中の作品の正しい評価がなされていない、リヒャルト・シュトラウス復権を図る!」( The Mostly Classic )→モーストリークラシック・エキサイトに書評が掲載されています。
■「日本におけるR.シュトラウスの楽曲の理解に大きく寄与」(『クラシックジャーナル』)
その他多くの書評をいただきました。
『出版ニュース』04年5月中・下合併号
『音楽現代』04年6月号
『サンデー毎日』04年5月30日号
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