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牧師の息子に生まれ,神の存在を求める少年。
痛覚障害を持つ彼は人間の存在意義について思考を深める。
彼が歩む神への道は殺人者への道だった。
テーマは神の沈黙。現代版の「罪と罰」と言った雰囲気。
聖書を突き詰めるプロテスタントの思想がよく描かれ,
物語の雰囲気とマッチし,神の存在を考えさせられる。
神は人間に無関心なのか,神の視点は何なのか。
そんなことを考えること自体が不遜なのかもしれない。
仕掛けの1つとして叙述トリックが使われている。
「慟哭」でもそうであったが,
著者の叙述トリックは物語中盤で違和感を覚えてしまうのが残念。
しかし,本作では叙述トリックは肝ではなく,演出の1つに過ぎず,
驚きがなくても楽しめる大作に仕上がっている。
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デビュー作、「慟哭」を、一晩中一気読みを強いられてしまった貫井徳郎の、それを凌ぐと私には思われる独特な一冊。
彼が得意とする、いわゆる叙述ミステリーの常套とも言うべきプロット、手法、テクニックに則りながらも、その言葉のつなぎ方とテンポが実に巧みで、これも一息で読まされてしまった。
中でもこの作品のユニークさを高めているのが宗教の絡め方。
その小説にキリスト教的な世界観を濃く反映させた作家としては遠藤周作あたりがよく知られていると思うが、彼の作品とはあるヴェクトル上において対極にある、敬虔なクリスチャンが読んだらあるいは気分を害するのではないかと思われるような物語だ。
自らの信ずる宗教的価値観にのみすべての判断基準と拠り所をゆだね、結果的に現実社会においてはとても常識にそぐわない凶行を重ねてゆく典型的な狂信者。
が、その狂信ぶりが単なる狂信に終わるのではなく、最後にはとことんまで突き抜けてしまっているところが、すごい。
貫かれた狂信。
狂信も貫かれれば一種の恍惚をまとった聖心になりうる?
それぐらいラストシーンは、美しい。
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主人公と同じような疑問を抱いていたので、主人公が「救い=死」という結論に至った時は冷や汗が出ました。「あれ、変だな…」と思いつつ何が変なのかよくわからないまま読みすすめていたのでトリックが明らかになった時はギョッとしました。
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深いなぁそして暗い。
この人の書く話ってこういう暗さが堪らなく好きだ。
で、やっぱり構成が意表をついていて、ものすごくうまい書き方をしている。
聖書に疑問を持った牧師の息子の人生を通して、
『神がいるならなぜ戦争が起こるのか』などの誰でも疑問に思うようなことを深く考えていって…っていうストーリーです
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意欲作であろうことは分かるが、手を出すべきではなかった感じ。やるならミステリーという体裁をとる必要もない。が、読み進めさせられる筆力はある。
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答えの出ないテーマに悩む登場人物の心の葛藤が苦しかった。神は本当にいるのか、自分という存在に気づいてくれているのか。冒頭からずっと違和感を覚えていたことがあったが、トリックのためだったのね。悪意をもって殺人を犯した人がいないことが悲しいし怖い。
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―神の声が聞きたい。牧師の息子に生まれ、一途に神の存在を求める少年・早乙女。彼が歩む神へと到る道は、同時におのれの手を血に染める殺人者への道だった。三幕の殺人劇の結末で明かされる驚愕の真相とは?巧緻な仕掛けを駆使し、“神の沈黙”という壮大なテーマに挑んだ、21世紀の「罪と罰」。
なんでしょう。
他の誰かから見ていい人。
すばらしい人といわれてる人がすべて、実際はそうであるのか??
といわれればそうでないこともしばしば。。。
のような気がします。
矛盾というのは人間社会よくありますが、それがいい意味での矛盾と感じられる言動というものはとても大事なのかもしれませんね。。。
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重すぎます。
なんだろうこの読み終わった後の空虚な感じ。
嫌いでは無いけど、
あまり他の人にはお勧めできないかも。。。
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貫井徳郎、好きです。
今回もお得意の叙述トリック炸裂で、
途中腑に落ちないながらもまんまとだまされました。
ちょっと元ヤクザの登場は陳腐だったけど。
今回のこの作品に関して言えば
気になる点が多すぎて素直に面白いとはいえず。
クリスチャンですから、私は。
妙に説明くさい割には、肝心なことが抜けていて、
「これ読んだ人にとってクリスチャンってどう映るんだろう。」
と考えると、あまり多くの人に読んでもらいたい本じゃありません。
もちろん「小説」だということは重々承知のうえで書いているレビューなわけですが。
他のかたのレビューではいいことも沢山あるので、
そちらを参考にするといいと思います。
私の考えはある意味偏っていますから。
それにしてもいくら貫井徳郎が面白いからっていっても
帯に「21世紀の罪と罰」なんて書いてありましたが、
ドストエフスキーと並べたらそれは故人に失礼と言うもんだ。
あと表紙が怖いですね。
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―神の声が聞きたい。牧師の息子に生まれ、一途に神の存在を求める少年・早乙女。彼が歩む神へと到る道は、同時におのれの手を血に染める殺人者への道だった。三幕の殺人劇の結末で明かされる驚愕の真相とは?巧緻な仕掛けを駆使し、“神の沈黙”という壮大なテーマに挑んだ、21世紀の「罪と罰」。 (amazonより抜粋)
飛行機の中で読んだ本。
神の声を聞きたいと願う牧師の話。歪んだ結論が少し面白いけど、「やっぱり」という感じで終わっていきました。
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牧師の息子に生まれ、神の存在を求めすぎるあまりやがて殺人をもいとわなくなる無痛症の少年。
最後に「あっ!」と思わせる仕掛けが用意されている。
この人の本はミステリーとしてだけの楽しみだけではなく、人間を丁寧に描いているので好き。
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「プリズム」を読んだ時に「この人の本は他にも読んだことある・・・」と思ったら、これでした。私はこの2冊しか読んだことないのですが、トリックが好きな作者なんでしょうか?でも「プリズム」よりはおもしろく読めた気がします。
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神の存在を求める少年が三つの章でそれぞれ殺人を犯すわけだけど、この少年の彼の中だけで一貫している心理が描かれており、読者それが誰の殺人に結実するかと推理しながら読むことになる。すなわち「誰を殺すのか」というフーダニットの変則なわけです。
PS
主人公の名前が早乙女輝……ビルゴの人と同じや…
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牧師の息子が神を求める話。
殺人事件はあるけどメインじゃないです。一応トリックはあるけどわかりやすいので真相に驚愕ってことはないかと。
神の不在、神の沈黙に戸惑い苦悩する場面が主なのでなんとも重々しい。この問題について教徒の方がどう考えるかは興味があります。教徒ではないので私は意見を持ちませんが、信仰については考えさせられました。
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少年時代を越えればあとはドンドン読み進められます。早乙女の少年時代は、物事が淡々とでもドロドロと進んでいくだけで、途中もどかしい想いをするかもしれませんが、あそこをガーッと読んでおくことで後々の展開の面白さが増します。いやあ、全体的に静かな戦慄が流れていた気がします。「超越者」に至っては「えっ、早乙女の人生って……」とゾッとするこ箇所が多々ありました。★3つにした理由は、終わり方がどこか消化不良に感じたこと。この手の終わり方は普段は絶妙だと感じるのですが、この物語の場合はもう少しスパッとしてる方が良かったかな。でも、数奇な親子の運命に、読みながら戦慄しつつもどこか哀しさを覚えていてました。神、というものの存在とその理由をきちんと考えてみたいと思います。
それにしても、"名も忘れてしまった女友達"に手を出した時の、あの冷静な最初の一撃は何故かすごくゾッとしたなあ。