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紙の本
「能力主義」蔓延の恐ろしさ
2008/05/05 12:08
8人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ナンダ - この投稿者のレビュー一覧を見る
どの業界でも「能力に応じて」給料や退職金、ボーナスの差をつける「能力主義」が蔓延している。
他人の評価を必要以上に気にする必要はないとは思っても、平均点を超えればうれしいし、下回ればいい気分はしない。上司に気に入られる仕事もしないといけないかなあ、とか考えてしまう。
昔のちょっと大きな会社には、いつも窓際で鼻くそをほじっているような奇人・変人社員がいたもんだが、今はそんな存在は払拭された。そういう人が消えたあと活力ある職場になったか? むしろ「仕事をしない」とレッテルをはられたら居場所がなくなる、という恐怖感だけが広まったのではないか。
自分が「勝ち組」だと信じているのか、能力評価をする上司の力量を信じているのか、多くの会社員は能力主義を支持しているという。そんななかでは、「能力主義反対」は負け犬の遠吠えとしか思われない。
時流に乗らない仕事、上司の気に入らない仕事をしていたら飛ばされるから、萎縮する。人権やら憲法やらは「時流に乗らない」最たるものになりつつある。国立大学法人化のとき、あまりに流れが速いのでもはや抵抗できないと教員たちは思いこんでしまったという。
職場でも、地域でも、国レベルでも、戦後「当たり前の価値」と思われてきた平和と平等が危機に瀕している。そんな今だからこそ、せめて教育者やマスコミや弁護士といった一定の教育をうけてきた人間は、ちゃんと声をあげよう、それが責任じゃないのか、と本書は問いかけている。
警官の巡回連絡で勤め先をたずねられて回答をことわるとき、NHK受信料を「うちは払わないことにしています」と断るとき、君が代斉唱のときに座りつづけるとき……上気して顔がかっかとしないだろうか。興奮とも恐れともビビリとも言えるそんな気持ちを、一人一人が体に刻みこみ乗り越える必要があるのだろう。
紙の本
嘆かわしき日本人の国民性
2005/11/10 03:04
11人中、11人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:良泉 - この投稿者のレビュー一覧を見る
ひどく消極的なタイトルである。「平和と平等をあきらめない」。
あたりまえだろ、と言いたくなるが、本書を読めば納得する。
日本という国は、もう「平和」も「平等」もあきらめざるを得ないほど末期的症状を呈しているのだ。歴代自民党政権による反動政策・右傾化を言うが、それを許してきたのは一般の大衆なのだ。日本の国民なのだ。いや、むしろ積極的に“世の勝ち組”に加わろうと体制側を後押ししてきたのだ。
自分が勝ち組に居る限りは、負け組みを見下し、物質的豊かさを享受できる。勝ち組に居ることによって、たとえ日本が再び他国に軍隊を送ることになろうとも、自分は、自分の子や孫は命を捨てる必要は無い。戦場の駒は、負け組みから選出される。
そうやって、自分の最低限の人間性さえも破棄し、自分の理想を語ることも夢見ることも放棄し、ただただ勝ち馬に乗ることだけに邁進する。
そして、彼らは気付くことになる。爪をたてるようにしてでもしがみついていたはずの勝ち組席だって、最後には一部の“毛並みのいい”権力者たちが座るだけ。さんざん他人を蹴散らして、弱いものを踏みつけて上った階段も、一般大衆には結局のところ最後の段は用意されていないのだ。
それまで自分がしてきたように、今度は他人に蹴散らかされるのだ。
それが今の日本の政治を許してきた日本の国民たちなのだ。
本書は、靖国問題などに関し近年さかんに発言を続ける哲学者と、国民総背番号制反対などのルポを通し国家による管理強化を常に監視し続けてきたジャーナリストの対談の形式をとっている。
しかし、これは二人の著者による怒りの書なのだ。物言わぬ一般大衆に向けての挑発の書なのだ。
人間として生まれてきたからには、絶対失ってはいけない物があるはずだ。いまなら間に合う。大切なものを見失わないように、そして大切なものを奪い去ってしまおうとしている敵に対し、今こそ声をあげていかなければならないのだ。
まさしく「平和と平等をあきらめ」てはいけないのだ。
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