紙の本
何度も読み返してしまった…
2004/07/07 15:51
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:紫月 - この投稿者のレビュー一覧を見る
著者の前作『四日間の奇蹟』のレビューで『次回作を期待したい』と書いた私ですが、二作目の本書は期待通りというか、もう、期待以上の感動でした。
前作も綺麗な話でしたが、本書は『珠玉の』という形容詞がふさわしい時代ファンタジー。
かなりの長編なのですが、前作同様に素晴らしい著者の文章力とストーリー展開の妙に惹き込まれて、読むのは苦になりません。それどころか、読み終えたくなくて何度も読み返してしまいました。
ストーリーは現代の若者が突然平安時代に飛ばされ、そこで生きることになってしまうというもの。
木曾義仲、巴御前、平清盛、源頼朝、源義経、武蔵坊弁慶などなど、この時代、有名な逸話は数え切れないほどありますが、史実を知りながらその時代の人物として生きなければならなかった若者たちの苦悩と決意が生き生きと描かれています。
時代の流れ、時とはいったい何なのか?
そこに意志は存在するのか?
時の流れとは人の思いの奔流なのか?
否応なく時の流れに呑み込まれていく登場人物たちは自問します。
時、あるいは運命に対峙したとき、逃げるでもなくただ嘆くでもなく、懸命に生きようとした若者たちの姿が爽やかに、かつ感動的でした。
本当に、もう一度でも、いや、何度でも読み返したい…久々に手にした感動の書です。
紙の本
歴史の大きな流れの中で、必死に生きていく男女の姿に心を打たれました
2004/07/01 23:51
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:風(kaze) - この投稿者のレビュー一覧を見る
時は、平安時代末期。平氏と源氏の戦いが繰り広げられようとしていた前夜。平清盛がいて、木曾義仲がいて、源義経、武蔵坊弁慶、源頼朝といった人物がいる。本書は、歴史が大きく動いたその時代に、ある日突然、現代から放り込まれた男女の生きる姿を描いていった物語です。
「わたしは(俺は)、どうしてこの時代にタイムスリップさせられたのか?」「歴史は、もはや変えられないものなのか。なんとか出来ないものなのか」との思いを抱えながら、やがてこの時代に生きる人間として、決死の覚悟で行動していく友恵と武蔵。
時の大河がうねり、逆巻く激動の平安時代の末にあって、滅びることが定められた人のために、それぞれが必死になって生きていく姿に、強く心を揺さぶられました。
本書の通奏低音として響いているように感じた一節、友恵の台詞が、とても胸に染みました。その箇所を引いておきます。
>(58pより)
作者のデビュー作『四日間の奇蹟』もいい味わいの小説でしたが、それとはまた趣の異なる本書には、前作以上に物語の中に引っ張り込まれる力がありました。平安末期の時代が立ち上がってきて、登場人物たちと行動をともにしているような気持ちにさせられました。
紙の本
単なるタイルスリップした話でなく・・・
2017/11/05 23:13
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投稿者:ポッター - この投稿者のレビュー一覧を見る
学生の3人が平安時代にタイムスリップしてという設定であるが、ほぼ史実に即した展開で、歴史小説としても充分楽しめ、又過去の歴史に連なってしまった主人公達の気持ちにもなれ、贅沢な作品。時の流れの中では、我々は無力。だからこそ、今の時を精一杯生きて行く!作品の展開力は見事!ずしりと心に残る作品でした。
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幼馴染みでそれぞれに男女の剣道部の主将を務める高校生、白石友恵と原口武蔵は、下校途中、工場火災に巻き込まれ、そのまま消息を断った。二人は、友恵の友人由紀の弟・志郎と共に、平安末期の世界へと呼ばれたのだった…。
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第一回『このミステリーがすごい!』大賞を受賞した『四日間の奇蹟』に次ぐ第二作。
本を開いて目次をひと目見て「あ、失敗したかな?」と思った。各章のタイトルが 歴史小説のそれだったからである。歴史は苦手なのだ。しかし 読み始めて見ると舞台は何の変哲もない現代だった。そして主役たちは普通の高校生。
それが次の章に移るなり 時はいきなり 源平合戦の時代に巻き戻されてしまうのである。どうしたことなのか。これからどうなるのか。訝りつつ読み進むうち 少しずつからくりが解ってくる。あまりに壮大な思惑による時の歪みだったのだ。すべてが歴史があるべき様に進むために巧まれたことだったのだ。そう判った時 背筋がぞくぞくする心地がした。
「デジャヴ」というのは もしかすると こんな時の歪みによるものなのかもしれないと ふと思った。
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アオリに「万感胸に迫る感涙の一作」とあるんですが、まさにそのとおり!!若い二人が変えようのない歴史の流れに翻弄され、切ない最期を迎えます。
時代は源平の戦の頃。源義経なんかも出てきます。時代モノですが、そんなに堅苦しくはないです。よく知られた史実を取り入れているだけに、結果がある程度見えているからこそ登場人物がどうなるのかハラハラ見守る気分です。下の「トキオ」に続きまたもタイムトラベルネタですが、やっぱり私のお気に入り。
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SF仕立ての義仲物語。
この設定の善し悪しは、多分読者の好みによるところがおおきいでしょう。
感想はこちら。
http://xxxsoraxxx.blog11.fc2.com/blog-entry-32.html
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幼馴染みでそれぞれに男女の剣道部の主将を務める高校生、白石友恵と原口武蔵は、下校途中、工場火災に巻き込まれ、そのまま消息を断った。二人は、友恵の友人由紀の弟・志郎と共に、平安末期の世界へと呼ばれたのだった…。
【感想】
http://blog.livedoor.jp/nahomaru/archives/50176451.html
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義仲と巴、義経と弁慶。「時」の力が引き合わせた運命の物語。染み入るような切ない雰囲気がたまりません。好き嫌いの分かれる設定かなと思うけど、そこを差し引いても素晴しいです。
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四日間の奇蹟の作者が描く壮大な人間の愛の話!!ワタシこれで悟りを開きかけ(未熟なのでこの程度 笑)ました(大げさ??)
主人公の女の子と男の子が「今」から千年ほど前の時代へそしてかの有名なあの2人に。。。2人は「今」へは戻れなかったのだけれど、どこで生きるかは問題ではなくて、過去だろうと今だろうとその生を精一杯生きることが重要なのだ。ワタシたちにとっては歴史は過去だけれど、そこにいる人たちにとっては限りなく「今」なのだとなんというかそう体感した話です。あぁ。。自分の拙い文章力がイヤ。。。
とにかく、この話が好きって結局それが言いたかっただけなんだけれど。。。
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長編小説。
現代の少年少女の三人がある日突然タイムスリップ。タイムスリップしたのは平家と源氏が戦う、本などでしか知らない時代。そこで彼らはそれぞれの道を選ぶ。その事で彼らは今後の「歴史」に大きく関わることに―という内容なのですが、私はこの本を読んで号泣しました。しかも三回以上。とても長いお話ですが、読み終わった時に考えさせられる小説でした。
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現代の高校生3人が源平時代にタイムスリップしてしまうSFと歴史小説のかけあわせです。
友恵は巴になり滅び行く運命だと知りながら義仲を守る決意をし、武蔵は弁慶となり自分が好きだった友恵が憎む義経を守る立場になります。
平家物語をベースにしていますのでこんなところから入れば案外平家物語へすんなり入れるかもしれないですね。
最後の衣川の場面は涙を誘います。
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幼馴染の友恵と武蔵がタイムスリップし、源平の世で巴御前と武蔵坊弁慶として生きるというお話。木曾義仲・源義経も登場しますけど・・・私的には前半は凄い良い話ですけど、後半はちょっと・・・という内容。
これは好き嫌いが大きくでる作品だと思います。
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現代に生きる三人の人間が平安時代末期にタイムスリップする話。話の進み方もとても読みやすい、時代物のお話です
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本当は星六つで行きたいんだけど......
歴史的には......ある意味の反発であるかもしれないが、
(あくまでも個人の意見です。)
時に翻弄された一人一人の弱さや時がもたらした残酷さに
痛感させられた。
大切の誰かのために一生懸命生きていく、
愛してる誰かを救う、
そして救いというものは、
いったいどういうものだろうと、
物語の中の一人一人の気持ちは痛いほど
読んでいる人々の心に刺している。