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レ・コスミコミケ みんなのレビュー

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みんなのレビュー21件

みんなの評価4.3

評価内訳

21 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本

寓話的でSF的で哲学的で幻想的で、他に類をみない、私が大好きな短編集です

2009/07/23 18:00

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:らせん - この投稿者のレビュー一覧を見る

戦後イタリア文学を代表する作家、イタロ・カルヴィーノの傑作と言われているのが、本書『レ・コスミコミケ』です。
寓話的でSF的で哲学的で幻想的で、他に類をみない短編集です。

宇宙創世の始めから、この世に起きたあらゆる出来事を見届けてきたと自称するQfwfq(クフウフク?)じいさんが、この一連の物語の語り部です。
このじいさん、ある時は宇宙を構成するあらゆるものが、ただ一点にひしめきあっていたビッグバン以前の出来事を“ご近所物語”として語り(ただ一点に)、またある時は、回転する銀河の公転周期を測るため、銀河の端っこにしるしをつけてみたり(宇宙にしるしを)、またある時は、一億光年離れた向こうの星雲に「見タゾ!」と書かれたプラカートを発見して、その謎の「見タゾ!」の告発にビビって、意趣返しを企んでみたり(光と年月)、ある時は、進化の途上で陸にあがるのを頑固に拒む魚類の叔父さんに婚約者を奪われたり(水に生きる叔父)、またある時期は、じいさん自身が絶滅した恐龍だったり(恐龍族)、Qfwfqじいさんの語ることは正にワールドワイド・ビヨンドザタイム。
どんな時でもQfwfqじいさんはいて、あらゆるものがQfwfqじいさんなのです。
落語に出てくるご隠居が披露する、博識と昔話を宇宙規模にスケールを大きくしただけの、途方もないホラ話しと言えなくもないですが、ビッグバン理論をはじめ、きちんとした学説に基づく宇宙理解がそのベースにはあり、その科学知識に想を得た突飛な物語がSFの傑作といわれる所以です。
また「いつでもどこにでも偏在する」Qfwfqじいさんの存在は、多分に哲学的で、仏教の華厳経に出てくる「一即多・多即一」という概念(私なりの解釈では、この宇宙において万物は互いに交じり合いながら流動しており、「一」という極小のなかに無限大の「多」一切が含まれ、無限大の「多」のなかに、「一」という一切の極小が含まれる)を思わせます。
そして、はしごで昇れば手が届きそうなほど近くに月があった頃のじいさんの恋を語った、冒頭の一遍「月の距離」に見られるような、絵画的な美しさは正に幻想的です。
「無色の時代」は、灰色な地球に色ができはじめた頃、じいさんが出会った美少女アイルに色を教え、最後は彼女を失う切ない話ですが、白黒の世界に色がついていく場面が、これも詩情あふれる美しさで語られており、映画『カラー・オブ・ハート』の先をいっています。
私がこの本を「寓話的でSF的で哲学的で幻想的で、他に類をみない短編集」と書いたのは、Qfwfqじいさんのホラではなく、こればっかりはまったくの真実なのです。
ふつう短編集を読むと、一番好きな話はコレ!と決まってくるものですが、この本に限ってはどの話も好きで、私的ベストワンが決められません。
12の物語、その全てが個性的で甲乙つけがたい。
また本書を楽しむ上で重要なのが、米川良夫さんの訳です。
まるでQfwfqじいさんの言霊が降りてきたんじゃないか、と思わせる素晴らしい語り口に魅せられて、何度も繰り返し読む私の愛読書です。

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紙の本

素朴な言葉で壮大な宇宙を描いてしまったレ・コスミコミケ

2007/08/04 19:01

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:sanctusjanuaris - この投稿者のレビュー一覧を見る

レ・コスミコミケは間違いなく異色だと思う。
構成としてはQfwfgが語る、
12章の物語からなっている。12個の章は、
ほとんど独立した短編として読むことができる。
一応時系列になっている(時間的前後関係が
不明なものもある)が、当の作品の中で、章の
時間的前後関係はとりたてて重要ではないと 思う。

「月の距離」(第1章)に出てくる「つんぼの従弟」は、
気ままに自分のロマンを追いかけている。彼は
『不在の騎士』に登場するグルドゥルーに
似ている。VhdVhd夫人はこの「つんぼの従弟」に
憧れ、QfwfgはVhdVhd夫人に恋焦がれる。

このような三角関係
  (一人の女性を巡って二人の男が争う)、
そして
トリックスター的な自己
  (両生類としてのQfwfg、あるいは恐竜としてのQfwfg)、
二項対立
  (「宇宙にしるしを」のQfwfg vs Kgwgk etc.)
が基本的な人間関係となっている。この関係を軸に物語りは
動いている。

各章の独立性が強い。とても面白い章もあれば、
退屈なのもあった。一人の人間の現実も、
百億光年離れた銀河も、宇宙ができるより前も、
恐竜の心情も、
水素の誕生も、
自由に行き来してQfwfgは語る。
(彼が何者かは謎である。)
宇宙の特殊な現象、
人間の日常生活とかけ離れきった世界の出来事を、
あたかも私たちの日常生活の出来事を
記述する/語る調子で、展開させていく。
魚の叔父と新生類のフィアンセの間で
板ばさみとなった両生類のQfwfg。
宇宙の原型段階で、あらゆるものが未分化の状態に
あっても、真の愛情の発露であるPh(i)Nko夫人(後に
光熱エネルギーに分解され消滅してしまう)の
発言はただ、
「ねえ、みなさん。おいしいスパゲッティをみなさんに
ご馳走してあげたいわ!」という素朴なものだった。

カルビーノは、
いがみ合い、失恋、深い愛情など、素朴な
日常の出来事を、壮大な宇宙の現象に
絡み合わせて、面白い描写をする。
その力量ゆえに、
Qfwfgが壮大な宇宙見渡し図を、
人の素朴な言葉でさらりと言いのけてしまった
異色の作品が出来上がったのだろう。

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紙の本

不思議とリリカルなほら話たち

2004/11/03 23:59

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:べあとりーちぇ - この投稿者のレビュー一覧を見る

 長らく絶版だった本書も、ようやくまた手に取ることができるようになった。河出文庫の『柔かい月』に次ぐコズミック短編集復刊第2弾である。
 イタロ・カルヴィーノ氏というと「ほらふき男爵」的な作風がイメージとして浮かぶ、という友人が居る。確かに『まっぷたつの子爵』、『木のぼり男爵』、『不在の騎士』の「われわれの祖先」三部作が一番好きだという彼女には、カルヴィーノ氏の作品はそういった意外性とユーモアに満ち溢れたものだろう。

 本書も基本的には「大法螺」の短編集である。語り部Qfwfqじいさんは何せ、宇宙創世以来のすべての出来事の生き証人なのだ。ビッグバン以前、まだ全宇宙がたったひとつの点に集まっていた頃を懐かしむ「ただ一点に」などという思い出話さえもがちゃんと収められているほどである。何百万世紀、何億光年という時間と距離を軽々と飛び越えて、Qfwfqじいさんは遍く宇宙に存在する。
 「いくら賭ける?」に出てくるように、彼にとっては「今日、原子ができるかどうか」の賭けも、「アーセナル vs レアル・マドリードの試合でどっちが勝つか」の賭けも、そう大して違わない昔話なのである。ほとんど気の遠くなるような壮大なスケールの物語を、さらりと語るQfwfqじいさんの格好いいことと来たら…。

 ハヤカワ文庫SFで出ていた版の帯には「宇宙は笑いで始まった」という煽り文句が踊っていた。原子(アトム)を使っておはじき遊びをしたり、星雲を飛ばし合って宇宙全体を追いかけっこする「終わりのないゲーム」や、1億光年離れた星雲から覗くプラカードの「見タゾ!」というメッセージに翻弄される「光と年月」などは、なるほど自由奔放なイマジネーションを駆け巡らせたユーモア溢れる作品である。
 しかし本書でより魅力的なのは、ユーモラス作品よりもむしろ「月の距離」や「恐竜族」、「無色の時代」や「渦を巻く」などの、ファンタジックで切ない短編たちだと思う。月が梯子を上れば手が届く距離にあった時代の、月に焦がれる男と彼に焦がれる女の物語。絶滅した恐竜の最後の1頭が、疎外感と生き残りの誇りを抱いて生きる物語。まだ世界に色がなかった時代のQfwfqじいさんの恋物語。生命に「形」がなかった頃から恋焦がれる相手を探す物語。
 設定はどれも奇想天外なのだけれど、「ほら話」というよりはあまりにもリリカルで幻想的な作品たち。カルヴィーノ氏独特の味付けの効いたロマンスというか、はっとするほど美しい情景が詰まっている。

 原題を無理矢理日本語に直すとおそらく「宇宙的喜劇」ということになると思う。人類の精神史や科学史をユーモラスに風刺しているシーンがあちこちに散りばめられているのもさすがの上手さである。
 そういうほら話の中に見え隠れする、語り手のQfwfqじいさんの意外に叙情的な一面を意識して読み返せば、きっと読むごとにまた新しい魅力に気付くことができると思うのだ。噛めば噛むほど味が出てくる、本書はそういう作品である。

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紙の本

こんな発想は他の作家には無理

2019/09/06 22:40

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ふみちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

日本では私が先に読んだ「柔らかい月」の方が初めに発刊されて、何年かたったのちに「レ・コスミコミケ」が発刊されているが、イタリアでは「レ・コスミコミケ」の方が早くに発刊されている。といっても、この小説に登場するQfwfqじいさんのほら話は時空をはるかに超越している地球がまだ暗黒だったころどころか、地球そのものが誕生していない時代のことも語り始めるのだから、何年か前にどちらの本が先に刊行されているかどうかはどうでもよくなってくる。原子で遊ぶ物理や恐竜や月と地球が隣接していた時代の話と奇想天外なのはカルヴィーノ作品ならでは、こんな作品はほかの人には書けない

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紙の本

SFとホラ話が溶け合って、ぐるぐる渦を巻いているような

2009/02/21 00:04

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:東の風 - この投稿者のレビュー一覧を見る

宇宙のはじまりの頃にあったこと、人間などまだいない太古の時代に起きたことを、<わし>こと<Qfwfq老人>が語っていく連作短編集。

混沌の中に生まれたはじめのいーっぽみたいな、SFとホラ話が溶け合ってぐるぐる渦を巻いているような、何ともいえない面白味がありましたねぇ。あっけにとられているうちに、ずんずん、ずんずん、話が進んでいって、はあ? はああ??? とどのつまり、ははは、おかしいね、あははーと笑うしかないみたいな・・・。まったくもって、これは愉快でユニークな短編集なのでした。

「月の距離」「昼の誕生」「宇宙にしるしを」「ただ一点に」「無色の時代」「終わりのないゲーム」「水に生きる叔父」「いくら賭ける?」「恐龍族」「空間の形」「光と年月」「渦を巻く」のひぃふぅみぃよぉ、全部で12の短篇からなっています。
 なかでも、次の三つの短篇が面白かった!

★地球からすぐ手の届く距離に月があった頃、わしらは舟に脚立を立ててな、それをのぼるだけで月に行けたんじゃよ・・・・・・「月の距離」

★わしがまだ子供だった頃、Pfwfpとゲームで遊んだんじゃよ。で、そのゲームというのが変わっていてなあ。アトムの原子を、ビー玉みたいにはじいたり転がしたりぶつけたりしてな・・・・・・「終わりのないゲーム」

★ある夜、わしが天体望遠鏡を覗いておった時のことよ。一億光年の彼方にある星雲から、妙なプラカードが矢印みたいに突き出ておってな。そこに、「見タゾ!」と書いてあるんじゃよ・・・・・・「光と年月」

本書の帯に、作家の川上弘美の推薦文が載ってまして、<そりゃあもう、類のない本なんです>と書いてあるんですけどね。ほんと、こいつは風変わりで、無類のおかしみがある一冊。

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2004/10/10 01:08

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2004/11/01 00:48

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2014/07/20 19:22

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