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めんどりヒルダのこわいよる みんなのレビュー
- メリー・ウォーメル (ぶん・え), ほんじょう まなみ (やく)
- 税込価格:1,430円(13pt)
- 出版社:新風舎
- 発行年月:2004.8
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絵本
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紙の本
めんどりヒルダへの愛に満ちた絵本
2004/10/17 18:15
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投稿者:まざあぐうす - この投稿者のレビュー一覧を見る
茶色のふさふさとした毛に真っ赤なとさかを持つめんどりのヒルダが羽を思いっきり広げて、驚く様子が表紙一面に描かれている。版画の黒い線が、ヒルダが驚き、あわてふためいている様子を生き生きと伝えてくれる。
ヒルダの目と嘴の開き方が妙にこっけいだ。コケコッコー!!
絵本の作者(文・絵)であるメリー・ウォーメルさんは、イギリスのスコットランドの小さな農場に娘さんや息子さんと本物のヒルダを含むめんどり達と一緒に暮らしている。
作者にとって、ヒルダは特別なめんどりなのだろう。いたずらっ子で、茶目っ気があって、冒険好きのヒルダをこよなく愛しているのだろう。作者は、めんどりヒルダの絵本を三冊描いている。どの絵本もヒルダへの愛に満ちている。『めんどりのヒルダ』『めんどりヒルダのたんじょうび』『めんどりヒルダのこわいよる』、私は夜のにわとりを見たことがないので、『めんどりヒルダのこわいよる』から読み始めた。
めんどりのヒルダは、ある晴れた日の午後、薔薇の茂みの下で、ぐっすり眠ってしまった。薔薇の花に囲まれて、ヒルダは、本当に気持ち良さそうに眠っている。薔薇の香りが漂ってきそう。
ヒルダが目を覚ますと、あたりはまっくら。
不安に満ちたヒルダの表情と夜の庭の様子が、版画であるがゆえにリアルだ。ヒルダが夜の庭で出会ったものは、へび、かいじゅう、みずうみ、きつね、動く橋。
へびは、しのびあしで、そっと通り過ぎた。
かいじゅうは、できるだけ高く飛んで通り過ぎた。
みずうみは、上手に泳いでわたった。
きつねは、早く走って通り過ぎた。
動く橋は、空高く飛び上がって、越えた。
そのたびに得意気に自分をほめているヒルダ。
朝になって、ようやくにわとり小屋に戻ったヒルダは、みんなに、「わたし とっても こわいよるを すごしたのよ」と言う。
ヒルダの話に耳を傾けているにわとり小屋のめんどり達の表情が、一羽一羽、個性的に描き分けられている。興味津々という表情がおもしろい。
「無事ににわとり小屋に帰って来ることができて良かったね」とみんなでヒルダを迎えているようにも見える。
「よるの にわは、おそろしいものが いっぱいなの」と言うヒルダ。
朝の庭の様子が描かれていて、へび、かいじゅう、みずうみ、きつね、動く橋の本当の正体が明かされる。それは、この絵本を読んでからのお楽しみ。
私の祖父もにわとりを飼っていた。にわとり小屋に数羽、庭に放し飼いしているにわとりが数羽いた。卵に手を出すと、指を血がでるほどつつく雌鶏、追いかけると向かってくる雄鶏、追いかけても反応しないチャボ、祖父の家で、しばらくにわとり達の様子を見ていると、幼い私にもにわとり達一羽一羽の違いが分かってきた。
鳥目という言葉があるくらいだから、夜のにわとりはじっとしているものと思っていた。祖父の家のにわとり小屋も夜は静かだったように記憶している。
もしかしたら、ヒルダが農場からいなくなった夜があるのかしら。朝、ヒルダがにわとり小屋に戻っているのを見て、ホッとした作者が思いついて描いた絵本ではないかしら…などと想像の翼を少し広げてみた。めんどりを実際に飼っているからこそ描き、語ることができる絵本だと思う。『めんどりヒルダのこわいよる』は、ユーモアに満ちた一冊だ。子ども達に、ぜひ読んであげたい。
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