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紙の本
その先にあるもの
2005/03/31 23:12
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投稿者:アプロ16th - この投稿者のレビュー一覧を見る
■次々斃れて行く豪傑達を見て、あぁとうとう、こんなところまで来てしまったんだなぁと思いました。■今まで「冒険活劇」という印象のあった、北方版ですが、この巻は大きな戦の「解説書」のような記述が多いです。淋しいですが、いつまでも、正面からぶつからないワケにはいかないですからね(でないと、この彼らのアイデンティティが崩壊するでしょーし…)。それでも丁寧に書かれている、英雄達の最期には胸が詰まります。■原典のラストは読んだ事のある人はお分かりかと思いますが、あまり楽しいとは言えないです。でもそれが『水滸』だという覚悟はあったのですが、やっぱりそろそろツライです。しかし、ここまでもかなり変わってきているので、ラストももしかすると大どんでん返しがあるかも知れないと期待してます(史実は変えられないとは思うけど!)
紙の本
宋と梁山泊の全面戦争の行方は
2004/10/31 22:42
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投稿者:格 - この投稿者のレビュー一覧を見る
宋と梁山泊の全面戦争.双頭山で,流花寨で,激戦が続く.梁山湖の前衛である流花寨では宋の禁軍の将軍である宿元景と水軍による両面からの攻撃により,花栄の凄まじい弓による防戦などがあるものの風前の灯火となる.そして,ついに流花寨で穆弘,欧鵬が,双頭山で,宋清,楽和が,…梁山泊は崩壊寸前.しかし,宣賛を中心とした北京への捨て身の攻撃が….
集結後ついにおこる講和への動き.宋の一部は本気,そして,梁山泊の本心は? いったい,この物語はどのようにして終るのか.ハッピーエンドはありえない.哀しい結末を迎えるのなら,中途半端で終るのもやむをえないのか.北方の気持ちはいかに.
気になるセリフを少しだけ.
『すげえものを見た.人間業じゃねえ.ほんとに,すげえものを見た.』
『ただ結果を待つのではない.結果の先に,やらなければならないことが,また山ほど見えてくる.』
紙の本
いついかなる戦争にもカッコイイ終わり方などあるはずはないのだ。
2004/11/05 15:16
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投稿者:よっちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
宋国も梁山泊側もともに戦いに疲れが見え出す。この大河小説の筆の運びも息が切れ始めたかとの印象を受けるが、むしろこの第15巻は終結へ向けて流れを変えるタイミングのための踊り場なのだろう。
全土に広がった梁山泊の山寨のそれぞれが宋軍の全面攻撃を受ける。首都開封への攻撃拠点流花寨は6万の禁軍、4万の地方軍、3万の水軍に攻め立てられる。双頭山は6万の地方軍に本営を取られ、陥落寸前。二龍山は北京大名府軍4万と膠着状態。ここでもう一押し宋国の攻撃に勢いが加われば一挙に梁山泊は崩れる………。
各拠点での戦闘模様が交互に叙述されるのだが、残念ながらこれまでの合戦に見られた機略、知略もネタ切れになったのかとの印象は免れない。何人かの登場人物のエピソードも平板になって節目の役割に光るものが薄らいでいる。
梁山泊のこれまでの勇ましい連戦連勝の図式はここにいたって頓挫する。宋国にも戦費の調達が限界に近づく。また青蓮寺派の強硬路線に対し、高キュウと皇帝側による休戦の工作が進行する。双方が果てしない消耗戦を続けることは現実の戦争でもありえないことだ。すでに大量の犠牲者を積み上げてしまったこの戦争の張本人、宋江は「替天行道」の志を堅持したままで明日をどう描くのだろうか。しかし、調停に乗り出す強国もなければ国連もなく、まして国際世論もない。完全戦勝への夢が断たれた今、帰順、和睦、講和あるいは招安等の選択に大義はあるのだろうか。彼は悩み始めている。
それは宋江の悩みではなく著者の悩みなのではないのだろうか。原典「水滸伝」を換骨奪胎したとして称賛された北方版『水滸伝』である。終結が原典と同工異曲ではここまでつきあってきた読者に申し開きが立たないであろう。
戦争の終結へ向けて。14巻までの颯爽とした武人の姿はなく、がらりと趣を変えたむしろ敗戦を覚悟した沈鬱、葬送の序曲がこの章にあるような気がしてならない。そしてむしろここからこそが著者の腕の見せ所である。
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