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さて、このタイトルの意味は?
読了後考え込んでしまいました。
こういうラストなら、同じく北村薫さんの「スキップ」が思いつきますが、読後感は大分違う。それって、大人と子どものちがいかな、と。中身はどうであれ、外観上権利の主体となりうるかどうか、という点で、この物語のほうがより悔しさが大きい感じがする。
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中二のエリ子と中一のダイゴがパラレルワールドに迷い込むお話。ヤングアダルトものだけあって読みやすい。エリ子の一人称で書かれているが、中二の女の子の感性が新鮮。ラストは予想外で、でもそれがまた良かった。
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この小説が、ヤングアダルト向けとして出版されたことが残念でならない。たしかに「パラレルワールド」なんていう設定は、中学生向けかもしれない。だけどここに描かれたものの凄さは、自分が中学生だったら絶対に分からなかったと思う。少なくとも「オチが弱い」とか「考えさせるものが少ない」とかそういう思考にとらわれていたあの頃では、絶対に分からなかった。
主人公と弟が迷い込んだ「少しだけちがう世界」。そこで描かれる出来事は、むずかしい文学用語じゃ絶対に書けないものだった。藤野千夜の特徴として「ギャル語」、文学理論風に言えば「日常言語」というものの使用がある。だけど日常言語を使ったからって別にすごいわけじゃない。そんな作家はごろごろいる。藤野千夜が特別なのは、ふだん感じる「なんともいえない感じ」それを「ふだんの言葉」でつかみ取る事にある。私たちが感じる悲しみは別に「コミュニケーションの不安」とかそういうものじゃない。もっと普段の生活の中の一つの「なんか、いやな感じ」それを感じている。ところがそれが文学では「コミュニケーションの不安」だとか「恋愛の不可能性」とか言われてしまう。そうじゃないのに。
しかし藤野は普段の言葉でしかつかめない感情を、普段の言葉でつかみに行く。たとえば「子どものいじめ」や「弟についての気持ち」これらについて藤野は、立派そうな文学言語ではどうしてもたどりつけなかった地点へ軽々とたどり着いてしまった。読んでいて「ああ、これだ。私はこういうことを感じていたんだ」と何度も思った。しかしそれはあまりにも普段の言葉で書かれすぎているがゆえに、文学業界では評価されにくい。私も今、このうまく言えない感じが歯がゆくしようがない。
そして私はこの物語のストーリー、すなわちパラレルワールドという設定そのものに、とても怖いものを覚えた。ハードSFのような複雑な設定はない。だがこの設定が、ふだん感じる怖さをとても増幅している。とりわけ私は(他のレビューではひじょうに評判の悪い)後半に、その怖さを感じてならない。この怖さを今まで教えてくれたのは、大島弓子と一部の文学だけである。この、どうしようもない「不安」。もっとも藤野小説は、不安を大げさには語らない。だけど、その我慢している語り口に涙を流さずにいられない。私と来たら読み終えてぼろぼろ泣いてしまった。でももし中学の頃だったらこれを読んでも泣かなかったと思う。「どこで泣いたの?」と逆に不思議でならないだろう。
だけど私は本当に『ルート225』を読んで悲しくなった。そしてこの悲しさがきちんと伝わらず、評価もされない事に、やりきれないでいる。本当に良い小説なんです。私はただそう繰り返したい。本当に、良い小説なんです。(けー)
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そんな終わり!?とスッキリしなかったけど、世の中スッキリしないことだらけだよなぁ…とも思ったりもして。解説のオジサンが素敵☆
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前にいた世界とほんの少しズレたパラレルワールドに迷い込んだ姉弟。中学生の明るい語り口調で書かれた文章の雰囲気は明るいけど、内容的にはちょっと怖かった。向こうとこちらを結ぶものが、野球選手のテレホンカードってところが切ない……。いつか失われる事が解っていても、前を向いて進む二人は逞しい。
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さすがYA向けで文章が軽くて読みやすい。どうもこの作者の作品は私には合わないような気がしますが、でも『夏の約束』よりは楽しめました。
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度肝を抜かれました。えっ?本当にこれで終わりなのっておもわず叫んでしまう作品。ひさびさに裏切られた。
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芥川賞作家さんだそうで。パラレルな世界を姉・弟の会話のテンポで読ます、LAST元の世界に戻れないけれども、「’ダッシュ」の世界で生きていく二人。ちょいっと物足りなかったりして。
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中2のエリコと中1のダイゴは普通の姉弟。
ある日、母親に頼まれて、ダイゴを迎えにいったエリコ。二人が家に帰ると何故か両親は家にいず。
友達でなくなったはずの同級生が仲良く話しかけてきたり、死んだはずの後輩が生きていたり。そんな微妙なパラレルワールドに迷い込んでしまった二人。
オチがちょっとアレ・・・。もうちょっとファンタジー期待してました。。
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ストーリーは、「世にも奇妙な物語」みたいなSFっぽい設定(パラレルワールドへの混入)も混じりますが、主人公の女の子のパワーと行動のリアルさに圧倒されます。この作者の他の作品で「人は誰かがいなくなった跡を見ることでしか、その人の存在を確かめることは出来ない」のような一節があったと思いますが、本作にもそんな虚無感が漂っていると思います。ラストは「えっ!?」と驚かされること間違いなし。
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結構前に軽い小説が読みたくて何気なく買った。今度映画化だかなんだかされるらしい。
姉と弟が不思議な世界に巻き込まれる話。姉の弟のいじめっぷりが酷い。ラストは「えー、こんななの、えー、いいの」って結構びっくりした。読みやすい。
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高橋留美子の「炎トリッパー」を思い出した。
途中くらいまでホラー小説を読んでいるような気分。
正直、主人公の女の子一人称文体がとても読みにくくて、読了できないんじゃないかとさえ思っていたけれど、半分ちょっと前まで頑張って読んだらあとは何とかなった。
読み終えてしまえば、この話はこの文体じゃないと成立しないと納得できる。
とにかく文体が好みではなかったので自分の中での印象は悪いのだけれど、それでも面白い物語だったので読後感はとても良い。
オチはオチとして、まるっきり救いのない話でもなかったのが良かったのかも。
ヤングアダルト向けに書いたにしては、結構重い話だと思う。
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エリ子とダイゴは景色は似ていても両親の居ない違う世界へと迷い込む。うーん、ダイゴは大人になったらどんな男になるのだろうか(笑)
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さくさくっと読破。
例えると、前評判が良くてこけた輸入映画という感じ。
世界観は嫌いじゃないけれどね。
どうせ離れ離れにするんだったら一人だけ元に帰したらいいとかちょっと思ってしまったり。
まぁ、難しいところなんだろうけども。
本棚の肥やしとなるでしょうって感じかな。
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5でいいと思う。すっげえ面白かった。結末が切ない。平行世界モノだけど人物・心理描写に重点が置かれている。楽しめた。