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紙の本

自らの特性と自分なりの方法で向き合っていく共感覚の少女の物語

2010/08/29 14:51

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:wildcat - この投稿者のレビュー一覧を見る

「あ、猫がいる」という理由だけで、本を選んでしまうことがある。

そうやって猫が主役の猫本ではなくて、
いい味を出してそこにいるという作品ともおもしろい出会いをしてきた。

本書の主人公・ミアは、共感覚を持った少女である。

共感覚は、「音をきくと色が見えるというように、
五感のうち二つ以上の感覚が同時に働いて起こる知覚現象」である。

共感覚の当事者であるパトリシア・リン・ダフィーが
『ねこは青、子ねこは黄緑―共感覚者が自ら語る不思議な世界』という本を書いているが、
この本も猫がいるからという理由で、8年前にたまたま手にしていた。

あ、猫だと思わなければ共感覚の世界をまったく知らなかったかもしれない。

マンゴーは、ミアの猫の名前。

おじいちゃんのお葬式の日に出会った猫だ。

おじいちゃんと同じ目をしているから、
きっとおじいちゃんの魂の一部が宿っているのだとミアは信じた。

ひとめでこの猫が好きになったミアは、動物を家に入れないという家のルールを変えさせた。

マンゴーという名前は、目がオレンジ色だから名付けられたのだとみんなは思っているが、本当は違う。

共感覚者であるミアには、マンゴーのゴロゴロのどを鳴らす音、ミャーォという鳴き声、
マンゴーのいた場所や歩いた跡が季節ごとに色が違うマンゴーの色そっくりに感じられたから。

ミアは、8歳の頃まで、みんなが文字や数字に色を見ているのだと思っていた。

数字が色を持って見えるために混乱してしまうことが影響して算数が苦手だったミアは、
本当の色で書いたら問題が分かりやすくなるかもと
黒板の掛け算の数字を自分が見える色で書き直す。

先生には「数字に色なんてありません」と怒られるし、
クラスのみんなには「アタマ オッカシーン ジャン」と言われ、
校長室に呼びだされる羽目になる。

そこで「まずいことになっている」と悟ったミアは、
本当は、校長先生の名前は「積みあげたばかりのわらの色」ですと
教えてあげたいところをがまんし、
「まちがってました」、「ふざけてただけです」といい、
「ごめんなさい」を20回以上言って切りぬけた。

以来5年間、彼女は自分が見える色のことは誰にも言ってこないできた。

ところが、とうとう数学の小テストでFを連発し、
両親に先生からの手紙を渡さなくてはならなくなってしまう。

両親にこの理由を説明しないわけにはいかなくなったミアは、
とうとう自分の秘密を両親に伝えることにした。

その後は、かかりつけ医にかかり、セラピストにかかり、
神経内科医のジェリーに紹介され、
ようやっとミアは自分が何者かがわかったのだ。

  「ミアは病気じゃない。なんの問題もない。本当なんだ。

  お母さんからきいたお話からすると、なんの異常もない。

  共感覚っていうんだ」

これは、病気ではないので、治すものではない。

あちこちに色が見えたりしたら、ちゃんとまっすぐ歩けないし勉強のじゃまにもなっている、
どうやったら消せるのかと問う母親に、ジェリーはこう答える。

  「お母さんのご心配はわかります。正直、そうだと思います。

  が、ミアにとっては、そうじゃないふうに外界を感じることが正常なんです。

  ミアはそれをおぎなう方法を学べばいいんです。しかし『治療する』ことはできません。

  ぼくが会った人で、共感覚なんてなくなってほしい、といった人はいません」

  「ミアは自分で訓練して、頭の中でちがう結びつきを作る集中力を養えばいいんです。

  おそらく、おとなになるにつれて意識しなくてもできるようになります。」

  「いろいろなタイプの共感覚を持っている、いろいろな人と。

  ディスカッショングループに参加することもできるし、記事を読むこともできる。」

ここから、ミアの日常は急展開していく。

共感覚のメンバーが集まるウェブサイトで同じ共感覚の同世代の少年・アダムにメールを書いたり、

針治療で様々な色を見る経験をしたり、

お風呂で音楽を聴いて色の洪水を楽しんだり、

スーパーマーケットで出会った共感覚と思われる小さな男の子とその母を
病気じゃなくて共感覚だと教えるために探したり、

親友が秘密をばらしてしまって、学校中に共感覚のことが知られてしまったり・・・。

こういった共感覚者としての体験も重ねていくが、

親友・ジェンナと語り合ったり気まずくなったり、

姉や弟と協力したりけんかしたり、

歴史の授業で組むことになったロジャーと仲良くなったり・・・。

ごく普通のティーンエイジャーとしての日常も重ねていく。

こういった彼女の毎日の中で、マンゴーは、静かな存在感を持っている。

ミアがおじいちゃんのために絵を描いて、命日にお墓に持って行ったとき、
マンゴーも一緒についてきて、乾いていない絵の上を歩いて足跡を付けたといったエピソードは描かれているが、
ミアとマンゴーとのエピソードはそれほど多くは描かれていない。

マンゴーがミアにとってどれほど大きな存在感を持っていたのかは、ある出来事によってわかる。

本書は、ディスレクシアの少女を主人公とした『グリーンフィンガー』同様に、
自らの特性と自分なりの方法で向き合っていく少女の成長の物語である。

研究者や当事者の書いたノンフィクションだけではなく、
児童書やヤングアダルトの分野でこういった本があることは、
様々な特性を持った自己と向き合っている当事者や周りの人を励ますことになると思う。

タイトルにその障害や特性を表す言葉が入っていないと探しにくいこともあるのだが、
同世代の子どもが主人公の話を探していた人に自然に手に取ってもらえる効果もある。

洋書はそういったタイトルの本が多いように思う。

翻訳の際に副題を入れるべきか入れないべきかは
きっと翻訳者も編集者も悩んでいることだろう。

タイトルがどうつくかは、探している人のところに届くかどうか大きく影響するが、
縁があって私のところに来た本は、こういったテーマの本を探している人のところに届くように
読んだ足跡をつけていこうと考えている。

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2005/04/21 10:06

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