紙の本
懇切ていねいな説明がいい
2008/12/23 23:38
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:半久 - この投稿者のレビュー一覧を見る
好評だった、前作『議論のレッスン』の続編。懇切ていねいな語りくちは健在だ。
なぜ論理表現のレッスンなのかというと、だいじなのは「論理的に思考する」ことではなく「思考を論理的に表現する」ことだからだ。
思考はそもそも論理的なものではなく、ハチャメチャなものであるという。しかし、そのハチャメチャな思考をそのまま表現してもわかってくれる人はほとんどいない。第三者に伝えるためには、なんらかの共有ルールにしたがって自分の考えを整理して、表出する必要がある。そのルールが論理ということになる。
このルールを学び、例題を使ったレッスンによって、論理表現力を磨いてもらおうというのが本書のねらいだ。新しい「アイテム」もいくつか登場するが、基本からしっかりレクチャーしてくれるので、前作を読んでいなくてもついていけると思う。
そのアイテムだが、まず「理論語」と「観察語」がでてくる。簡単にいえば、使い方を決めて使う語が理論語であり、決めないで使える語が観察語になる。一般に理論語のほうが抽象度は高い。議論のすれ違いを防止するためには、理論語の再定義をしっかりしておくことがたいせつになる。
次は「論証」。これも簡単にいえば、主張と根拠のペアに、隠れた根拠であるところの論拠が加わったもの。主張と根拠と論拠は、論証の勘どころである(このあたりは前作と同じ)。
さらに論証の二大類型として、「演繹的論証」と「帰納的論証」が登場する。ごぞんじの方にはおなじみのものだが、著者はまったくの初心者でも理解できるように説明してくれる。続けて論証の妥当性・推測力・健全性を判定するための方法が解説される。
妥当性の高い論証とは、統計的なデータが根拠となっている主張なのであるが、これをおこなうのはけっこうむずかしい。最初から統計になじまないタイプのもの、まだ統計化されていない「素材」もある。世の中にあふれかえっている「主張」の相当数は、統計的なデータに裏づけられているわけではない。そういった主張は、みずからの体験や皮膚感覚などに照らしてやっていることが多い(それを完全に排除するわけにもいかないのが、むずかしいところだ)。
単なる放言ではなく、信頼性の高い主張をするということはたいへんなことなのだ。
最後の終章における「論証の評価」が、まとまりきれてないように感じた。だが、総じて初心者に好適であるだけでなく、中級者にも復習として使えるよい論理本であると思う。
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『議論のレッスン』の続編版みたいな感じ。わかりやすい表現の仕方や人の主張の反論のやりかたのようなものが書かれてる。これ読んだときに文章を書くときどういったことに注意すればよいか、イメージが出来上がってきた
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論理「表現」の本で、
レトリックというか、純粋に文章術について
語ってた感じでした。
ふーん、程度の内容。
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言葉を使うにも型がある。型をスキルにしていくことは,コミュニケーションだけでなく,提案書でも,チラシ一枚の作成においても不可欠。管理職の部下に対する文書,言語指導上でも必要。感覚でなく根拠で明示しなければならない日々のために,しかも安価で携帯に便利,ユースフル。お値打ちの一冊。著者の他作品もどうぞ。
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[ 内容 ]
会議、新聞、友達の忠告…。
日常私たちは、根拠をともなって主張されると簡単に受け入れてしまっていないだろうか。
考えをいったん整理したうえで表現する「論理表現」の力を身につけて、議論を評価し、結論の正しさを判断する力を養おう。
議論の構造を解いたロングセラー『議論のレッスン』の著者による、日々の話し合いを明快にするレッスン第2弾。
[ 目次 ]
序章 議論の現状
第1章 観察語vs理論語
第2章 理論的に負荷のかかった質問(loaded question)
第3章 論証とはなにか
第4章 論証と証拠
第5章 演繹的論証と帰納的論証
第6章 論証の妥当性・推測力・健全性
終章 論証の評価
[ POP ]
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☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
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[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
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根拠と主張と論拠。
とりあえず意識して生活してみよう。
確実に少しずつは話す能力ごUPするはずだ。
ただし論拠という考え方、そして帰納法と演繹法。これらを知っておかないと、上達はしないと思う。
早めに出会えて良かった。
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こういう類のものは、ある程度目的意識を持って、読むモチベーションを保ち続けられる年齢になってから読んだ方がいいかも。
脳みその足りなかった私は、高校の頃に手に取るも
「なんでこんなまわりくどいこと言ってるんだ、くだらない」と途中で投げ出した過去を持つ。
20代半ばにして再読したら、脳内に染み渡ることこの上ない(ようやく)。
実践を意識して読めたからでしょうね。
書いてあることは学校で習うようなことばかりだが、日常生活の視点を少し切り替えられそう。
キーワード:
・主張、根拠、論拠
・演繹、帰納
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今まで読んだ中ではもっとも簡易な文章で理解しやすい。
でも分かった気になってるだけで、実際には意識して訓練しないとなかなか身に付かなさそうだった。
とりあえず主張する時は根拠を意識するところからかな。
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これまでの著者の本と基本路線は一緒ながら、「表現」に絞って論じた本。かなりこれまでの本と内容は重なるけど、僕のように読んだらすぐ内容を忘れちゃう人間にとっては、この程度かぶっていてくれた方がありがたい。
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論理について書いてある本は初めて読んだので他と比較することはできないが、この本は多少小難しい話は出てくるものの、身近な例を挙げて説明しているので私は理解しやすいと思う。
相手の話している内容を吟味するのには使えるテクニックが書かれていたが、実際に議論している時は分析に時間をかけていられないので使えないのではないだろうか。
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何を考えているか理解できず、一緒にいると漠然とした不満の溜まる存在に出会うことがある。相性の問題だと割り切ろうとしても、気まずい存在であることに変わりはない。
『論理表現のレッスン』(NHK出版)を読み、気まずさのしのぎ方を体得した気分になれた。本書によれば、人間の思考はそもそもハチャメチャに飛躍するよう仕組まれている。飛躍した思考を第三者と共有できる形に整え、表すためのルールが論理であるという。『「論理的に思考する」のではなく、「思考を論理的に表現する」ことが大事』。そのためのツールとして言葉がある。
文中に例として出される議論や会話では、言葉に対する解釈が人によって異なる様子が示される。同じ「我慢する」という表現でも、ある人は積極的な意味に捉え、ある人は精神と肉体の限界を越えた状態を思い浮かべるのだ。事前にその意味を統一すれば話し合いの効率はあがる。
『語と語、句と句、文と文との関係性にこころを向け、その関係性に注意を集中すること』が「論理的である」ということでもある。
他者の価値観に誠実な関心を示すこの考え方は、コミュニケーションの基本姿勢でもある。冒頭に挙げた「相性」という表現も、改めて考えれば漠とした概念ではある。苦手意識を一度離れ、気まずい存在と自分とに共通のルールを見つければ、歩み寄りの機会があるかもしれない。どう検討してもルールがひとつも見つからなかったら、それが自分にとっての「相性」の認識だったと思うこともできる。自分の思考が即時に理解できるのは自分だけだ。そこには思い込みも多い。他者との関わり合いの中では常に意識的に、相手に理解されるような言葉を組み立てなければならない。
著者は大学で心理学を教えている。教育の現場にあって、学生たちのレポート作成やプレゼンテーションにおける表現力不足に驚き、論理表現やディベートの重要性を痛感したという。本書は『議論のレッスン』という本の続編にあたるが、内容は独立している。人と人、人と事物が関わり合う際の、考え方のプロセスを示唆してくれる。