紙の本
伊勢神宮の謎は深まるばかり、でも真っ向勝負している。
2016/01/23 12:51
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:のりちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
伊勢神宮を始め天照大神の謎に真っ向勝負した作品でとてもよく分かった。
天照大神の発祥が、中国の道教に求められるとは驚いた。本家では廃れても日本ではちゃんと継承しているところが日本的であり、日本人らしい。
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[ 内容 ]
伊勢神宮は、日本文化のなかでももっとも日本的なものと思われている。
しかし、その誕生から現在まで、伊勢神宮はその姿を大きく変えている。
祭神であるアマテラスオオミカミのそもそもの姿とは何か?
また、伊勢神宮は千三百年を越える年月の流れのなかでどのように変容していったのか。
道教の隆盛や蒙古襲来など、東アジア世界全体の歴史・文化・社会の潮流に目を配りながら、その祖像と変遷を検証する。
[ 目次 ]
第1章 アマテラスの旅路(「アマテル」神社の存在 「アマテル」と「火明命」 ほか)
第2章 中国思想と神宮(なぜ伊勢に鎮座したのか 海の神仙境 ほか)
第3章 神国の系譜(「神国」ということばの由来 『愚管抄』の神国観 ほか)
第4章 近代の神宮(天皇親拝 東京遷都と伊勢行幸 ほか)
第5章 植民地のアマテラス(植民地における神社と教会のちがい 海外神社の誕生 ほか)
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
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[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
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この本を読みながら、今回の震災で外国が不思議に思われる日本人の行動の中には、日本人の意識の深いところに、日本が神に守られている国である、日本人は守られているという思いがあるのではないかと思った。それは長い歴史の中で日本人の心の中に、ほとんど意識することがなく、そこにあるもののように思った。
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伊勢神宮、もとい「アマテラス」の発生(誕生)からその可能性もろもろ。この著者の特徴で、かなり発想的なものが多い、が、十分に言及されていない問題も多くあります。よってネタの宝庫(笑)。このジャンルに興味がある方はとりあえず読んでおいて間違いないと思います。
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伊勢神宮内宮の祭神であるアマテラスに迫る第一章の内容は非常に興味深い。日本国内に限定した視点ではなく、東アジアの枠組みで展開される著者の主張は面白かった。
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伊勢神宮の起こりから現代まで。その歴史を辿ります。雄略天皇の時代という有力説があるということで、その時代に遡ることに驚きを感じます。天武の時に天皇そのものが神と主張したにしても天照大神を先祖神として崇拝するようになったその変遷に興味があるところです。大日本国の読み方は実は大日如来(神)の本国であるという見方も本地垂迹説からは解釈できる説明には唸ってしまいました。しかし、古代のことよりも一番興味深く読めたのは、近代に朝鮮神社、台湾神社などを創建した時の話です。朝鮮神社に天照を祭るのではなく、朝鮮民族の始祖とされる檀君を祭るべきであるという日本の神道家・葦津耕次郎他の強力な意見があったとのこと。そうしていた場合の現在の日韓関係はどうなっていただろうかと興味津々ですし、台湾神社では内地人の結婚式を増やす努力をしていたが、昭和8年のピークでも年間17件に過ぎなかった!現地に如何に受け入れられなかったかを語っています。また終戦末期に伊勢神宮の空襲を恐れ、陸軍が守備隊を編成していたということも考えてみれば当然のことであり、伊勢神宮が焼けなかったのは奇跡的なことだと思いました。
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神道の歴史とその存在意味について論じられている。神道はもともとは道教をならい始まった宗教である。日本固有の宗教で、宗教的な普遍性はあまりない。明治以降、国威発揚にしばしば使われて来た。歴史的にも聖書のような文書化された経典はあまり重要視されてこなかった。極めて、情緒的な宗教ではないだろうか。今も昔も、宗教を国威発揚に使うべきではないと感じた。
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日本における、伊勢神宮(天照大神)の信仰が、歴史の時間軸のなかでどのように東アジアと接点を持ち、変化してきたかを見つめる。原始的な信仰が国家との相関をもって続く神道に成る、経緯と分離の過程を知り、これからどのような立ち位置で接していくかを提議されたような気がします。
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伊勢神宮を古代の天智、天武、持統、から、中世の元寇に際しての神国感、江戸の国学、維新の国家神道、戦中の植民地神社、戦後の折口まで、一気に話すが、新書の200ページ程度に書ける内容ではなく。
検討すべきことの目録提供になる。
植民地神社とか、興味深い。「神社参拝に反対するのは、日本の政策に反対するのではない」と主張するキリシタンに、「じゃあ、イエスはアマテラスより偉いというのか!」と詰め寄る警察官の無学さ。
キリスト教、イスラム教が歴史上、通過したあらゆる過程を通過してない未熟過ぎる模糊とした神道。
室町までは、仏教のもと、世界に通じる哲学を産んだ日本人なのに、どうしてそうなるんでしょうね。
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伊勢神宮成立に関する推理がおもしろい
アマテラスと道教、海の民
アマテラスと卑弥呼、そして神功皇后、持統帝
伊勢神宮は、2つの宮があって、内宮は、アマテラス大神を、外宮は、トヨウケ大御神を祭神とします。
また伊勢神宮は、20年毎に、式年遷宮をおこなっている。
明治までは、密教の中心である大日如来の化身がアマテラス大神であるという本地垂迹説をとっていて、伊勢神宮はそれにふさわしい場所である。
伊勢神宮を志向するのは、蒙古襲来のころと一致する。即ち、日本は、神の国であり、神風が吹いたとされた。
明治になると、神道が天皇制と結びつき、明治天皇の親拝が実施された。
アマテラスは、天を照らすという太陽神、それと平行して、アマテルという神社が全国にある、アマテルは「火明命」
アマテルは、尾張い関係していて、海産物を天皇に収めていた一族?
卑弥呼は、鏡が好きで、道教と関連があったのではないか。魏志倭人伝の鬼道とは道教ではないか。当時の中国では、初期の道教を鬼道とよんでいた。
そして道教の西王母が、アマテラスではないか
ヒミコは、ヒノ巫女、日女御子
応神天皇の段には、アメノヒボコが渡来してきたいきさつが載っている。
太陽を浴びて受精してしまう、日光感精型のモチーフであること
波や風を起こしたり、しずめたりできる呪具から、海洋民族的性格をもつこと
常世といっているが、道教の神仙境として、道教の影響を受けている可能性がある
播磨国風土記いは、呉の勝、韓国より渡り来て、なる記載があり
アメノヒボコ伝承も、中国の江南である可能性がある
伊勢神宮はいつ誕生したのか
アマテラス大神がいつごろ誕生したのか、伊勢神宮が成立したのはいつか
アマテラスは、大和から伊勢に遷座しなければならなかった理由とは
雄略期に伊勢大神(=アマテラス)とし、5世紀末とするのが、現在のところ妥当といっています。
日本書記には、神宮は、伊勢、出雲、石上の三宮しかない
神功皇后紀が、日本書紀にはわざわざもうけられている、推古、斉明、持統の3女帝をモデルにしている可能性もある
伊勢の記述が、祠から神宮に変わるのが、用明天皇期、585年には、伊勢は、すでに神宮となっていた。
目次
序章
第1章 アマテラスの旅路
第2章 中国思想と神宮
第3章 神国の系譜
第4章 近代の神宮
第5章 植民地のアマテラス
終章
あとがき
ISBN:9784121017796
出版社:中央公論新社
判型:新書
ページ数:232ページ
定価:740円(本体)
発売日:2005年01月25日初版
発売日:2007年03月20日5版