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年末だし歴史ものでも読むか、ということで本屋に行き何となく手に取ってみた。読み始めて内容をなんとなく思いだしたが、今読むことができてよかったと思う。器を超えると人はおかしくなる、ってのが最終巻のテーマの一つだけれど、昨今の政治や経済会でのスキャンダルを見ると、やっぱり人の内面というのはいつの世でも変わらんのだなぁ、と改めて実感した次第であります…。
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種崎浜の人殺しは本当に残念。
謙虚さを失ってはいかんのだと思いました。
自己啓発書もいいけど、この本もきっと役に立つと思います。
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超下っ端の武士が家来のため、妻のため、死にものぐるいで出世街道をよじ登っていく。歴史的な良妻に乗せられたりしつつ。
成り上がり物語自体も面白いし、何事も妻の意見を聞いていた一豊が土佐の主となるや、急に傲慢になるあたりで、環境が人に与える影響の怖さみたいなものも感じられる、感慨深い作品
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これまで戦国時代のメインストリーム的な小説を読んでいたけど、これはサイドストーリー的な小説。それだけに天下を取った人物ではなく、それを地道に支えてきた家臣の立場で当時の人々の心情や生活ぶりが描かれていて、もし自分がこの時代に生まれていたら?と、想像してみたくなる。それにしても山内一豊の奥方の千代の器量は素晴らしく、凡庸であることを自認している一豊を、コーチング的に導き一国一城の主にまで押し上げてしまう軽快なストーリーは、面白い。戦国時代に飽きてきたけど、もう少しサイドストーリー的なものを読んでみようかな。
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この快進撃(といっても“農民型”?の地味さはあったが)見てて気持ちよいなーと思いつつ読んでいたら4巻中盤まできて、あと少しでラスト! と意気込んで読み進めたら、何この衝撃的にヘコむオチ。
夢も叶ってるし死に別れだのそういう事は全くないのに、「こんなのってないよ」と危うく口に出しかけたわ。嘘だけど。でもショックでしばし呆然。
器を越える地位を得たり、技量でなく位階に自信をもってしまった人が非常にいただけない方向に暴走…種崎事件なんてものは今の日本ではないけれど、政治家とか会社とかにとてもよく居るタイプのように見える。
身の程を知ることの大事さや色々を考えさせられた本でした。今回は人に借りて読んだのだけど、この『功名が辻』は買って読み直す予定。
最近読んだ中で1番面白かった!
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関ヶ原後、掛川4万石から土佐24万石に大出世。それも千代の機転を基にした一豊の小山評定での発言がキーだとか。千代様々。それでも一国の主の器ではないことが明らかになり、千代の落胆ぶりが描かれる。
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2012.8.19読了。
最後のさいご、角力の場面をどう描いたかによって、大きく変わっていたと思う。あーおもしろかった。
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初めは千代の賢しら加減が嫌味で、一豊サイドも戦ばかりでつまらずあまり楽しめなかった。
2巻あたりから、戦国スターものの作品で語られない、秀吉衰退期や、関ヶ原で家康側につく人の様子などが描かれているところに面白さを見出した。
最後はかなしい。「竜馬がゆく」の上士、郷士につづいていく。
かっこいい!好きだ!おもしろい!という想いで(書き手も?)読み手も進んでいくタイプの小説ではなかった。
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小山軍議より山内一豊の死まで(あとがきも含め。)
土佐一国を賜った山内一豊。掛川から土佐へ移る経緯が面白い。
大名の転封はどのようなかたちで進んだのか、
ほかの大名はどのようだったのか、もっと知りたいと興味が湧いた。
山内一豊は、土佐の一領具足たちとうまく折り合いをつけられず、
不幸な結果になってしまっている。
『戦雲の夢』で登場した、桑名弥次兵衛がすこし登場する。
『夏草の賦』、『戦雲の夢』、『功名が辻』、と読んで、
いずれ『竜馬がゆく』を読むのがとても楽しみになっている。
解説が永井路子さん。
彼女も、山内一豊と千代を描いている作品がある。
読んでみようと思う。
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山内一豊とその妻千代の話。
自身を愚鈍であると認める山内一豊を、その時代の支配者への印象を高めることにより、一国一城の主にしたてた千代の参謀っぷりがすごい。
ただし、土佐二十四万石の主の器かどうかは評価がわかれるところ。
土佐にはいるまでは、面白く読めるが、土佐以降は能力以上に出世した人間の悲しさを描写しているようで、今でいうピーターの法則そのものを表していると感じる。
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千代が一豊を大名の器ではない、と一刀両断。それでも愛すべき旦那様だったのでしょう。ラストはヘビーな話でしたが、全巻を通じては読みやすく、爽やかなお話でした。
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初めて読んだ司馬遼太郎さんの作品、全4巻。律儀一筋の山内一豊と、彼を支えた賢妻・千代の二人三脚の人生を描いた歴史小説。信長・秀吉・家康の3武将に仕えて戦国時代を生き抜いたこの夫婦、すごいです。まず千代の利発さに感銘を受け、次第に、武将らしくなっていく律儀な一豊に好感を抱き、最後は謙虚さを失った一豊にガッカリすると同時に、そんな一豊を諭す千代にまた感銘。たくさん教訓が得られる本でした。
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秀吉が亡くなった後~関ヶ原を経て土佐の国守となるまで。
一豊の最大の功名がみられる、が前巻までと比べて胸がスッとしない。
歳を取ると先が見えてしまい、諦めにも似た空気が一豊にもよねにも見られる。
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あっという間に全巻読破。今まで数多く司馬遼太郎作品を読んで来たが、この作品ほどサクサクと読めた長編作品はなかった。ありていに言えば、面白くてためになる作品である。主人公を一土豪から一国一城の主へと出世を遂げた夫とその賢妻という視点も面白いし、信長、秀吉、家康という三英傑と微妙に絡み合うさまも日本史ファンを充分に楽しませてくれる。
さて、ラストとなった本巻においても興味深かったセンテンスが幾つかあったので引用してみたい。
・「合戦の前に疲れるのは愚ぞ。風邪をひくな、腹を冷やすな」と言った。疲れれば士気が落ちる。士気が落ちれば悲観的な噂を信じるようになる。それを防ぐには身体を雨で濡らさぬことが第一だということを、この歴戦の男はよく知っていた。
→珍しく伊右衛門(一豊)の言。身体の疲れが士気に影響することをこの未来の殿様は経験上学んでいたのである。
・「人はその性格によって最良の行き方をとるべきだ。福島殿はあれでよし。しかし、わしが己の気象にもないことをして宙に浮いたるがごとき言動はとりたくない」
→これも伊右衛門の言。関ヶ原の戦いに際して、攻撃方法の作戦を立てていた時のもの。いやいや、巻が進むにあたって伊右衛門も逞しくなってきたものだ。
・風邪をひかぬようにするには、居眠りなどはせず常に気力を充実させていることだ。
→司馬遼太郎氏の論。なるほど、気が緩んだ時に風邪をひくことが多く、言い得ているのだろう。
・「頂くときにはあっさり頂くものです。ご律儀も時によってよしあし、うじうじとご遠慮なさるとお人が小さく見えます」
→土佐一国拝領が決定した時に、千代が伊右衛門に諭した言葉。なるほど、豪快に受け取れということか。
・千代は思った。男が自分の技能に自信を持った時の美しさというのは格別なものだが、自らの位階に自信を持った場合は鼻持ちならなくなる。
→なるほど。技能と位階(名誉など)とは男を光らせる種が異なるということか。出来れば技能に自信を持ちたいものである。
・昔から千代は夫についての悪評を耳にしても伊右衛門にきかせたことがなかった。噂などという無責任なもののために夫が悲観したり激昂したりすることは、伊右衛門のために害あるのみで益は一つもない。
→実に千代は度量が大きいというか、思考が深い。
・「まだ山坂がある、ということほど、人の世にめでたきことはございませぬ。気根をふるいたたせねばならぬ相手があってはじめて、人はいきいきと生きられるのですから」
→勿論、千代の伊右衛門に対する言。なんとポジティブな思考だろうか。
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関ヶ原で勝ち、土佐一国を拝領した時までは夫婦二人三脚で階段を一段一段駆け上がってきた努力が報われて良かったと読んでいて嬉しくなった。
しかし、土佐入国後に一豊のあまりの変わりようにガッカリさせられた。国主になったプレッシャーがあったのかな。最後は読んでいて寂しくなった。
土佐独自の身分制度が出来上がっていく背景や流れを理解することができた。
一豊の一生を見ていて、人間は律義さ、実直さ、謙虚さ、懐の深さ、そして夫婦の絆はとても大事だなと思いました。