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いよいよ大作「昭和史発掘」に挑戦という思いで松本清張の捉える大正末期から昭和に一歩を踏入れました
2020/08/22 17:56
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投稿者:多摩のおじさん - この投稿者のレビュー一覧を見る
このコロナ禍でステイ・ホームで家で籠る日々が続く中、某テレビで原武史氏がゲストで「100分de名著・松本清張
スペシャル 昭和とは何だったか」の最終回で取り上げた遺作となった小説「神々の乱心」の主題と構想の凄さにすっ
かり魅了され、上下巻を読破したのですが、同氏の関連書籍の「松本清張の「遺言」『昭和史発掘』『神々の乱心』
を読み解く」でも紹介の「昭和史発掘 」は是非とも読まなければと本書から挑戦してみました。
何せ9巻もあり、特に同氏が「秩父宮と二・二六事件の関わり」を指摘の二・二六事件は5巻も割いている訳ですから・・・
なお、上記の関連書籍の中の『昭和史発掘』を再発掘する」は、この大作を読むに当たっては、その概観を理解す
る上では道標的な内容で、事前に読み理解しておくことは多いに助けになると思います。
さて、第1巻の5話中で4話目「芥川龍之介の死」を除き「陸軍機密費問題」「石田検事の怪死」「朴烈大逆事
件」「北原二等卒の直訴」の4話は全てが大正末期から昭和初期の軍部に関わるもので昭和史と言えば太平洋
戦争と昭和20年の終戦に繋がる軍部の動静は避けることが出来ないテーマですが、まず、1話の「陸軍機密費問
題」は陸軍大将であった田中義一が1925年(大正14年)に政界に転身し、立憲政友会入りした際に用意した
300万円の持参金に関し、田中義一の長州閥への反感を持つ恢弘会の小山大佐の煽動で元主計・三瓶俊二が
告発し、翌1926年(大正15年)3月4日の衆議院で憲政会の中野正剛がこれを取り上げ帝国議会でも審議され
るも10月30日この問題を追及していた石田基検事が大森-蒲田間の鉄橋下で変死体で発見され、疑惑はうや
むやに終わった2話の「石田検事の怪死」に繋がっています。
而も石田基検事は3話「朴烈大逆事件」や与党憲政会の「松島遊郭収賄事件」(p.65)に関わる鬼検事(p.49)
であり、機密費問題を追及した中野正剛は寺内内閣下でのシベリア出兵に反対し、関連した尼港事件で当時の
田中義一陸相を追求(p.57)しており、一方、軍部は中野に対し赤化思想と捉え、宇垣陸相は陸軍に対する侮辱
とし若槻首相に迫り(p.47)、3月11日には立憲政友会の牧野良三が中野正剛の攻撃演説(p.60)、翌1927年
(昭和2年)に新正倶楽部の清瀬一郎が機密費問題を再追及し、立憲政友会の議員連中が壇上に上がり暴行を
加え演説を中止させた(p.67)と大活劇を呈するあらすじですが、著者は様々な史実の記録を散りばめ前後しながら
事件を鋭く検証するスタイルは、フィクションとノンフィクションが織り交ざった小説「神々の乱心」とは違い慣れるには
少し時間を要します。
そういう意味では、2話の「石田検事の怪死」、3話「朴烈大逆事件」、そして5話「北原二等卒の直訴」は、1話の延
長線上にあり、また2話、3話は著者の真骨頂の鉄道に絡む当時の時代背景の下の日本と満州の状況が比較的判り
易く描かれ読み易さがありますが、とは言え、夫々異常で政治、社会への影響が大きい事件が堂々と実行され、現在
の我々の感覚では理解し難いものを感じざるを得ない歴史があったことを知ったことは重要です。
ただ、その中で異色な4話「芥川龍之介の死」は、他の4話と同じ時代背景ですが、「芥川龍之介論や作品論でも
なく昭和史の一駒として書く」(p.215要約)とありますが、著者が昭和史のどういう一駒を描きたかったのかと疑問だけ
が残念ながら残りました・・・
因みに、「昭和史発掘 新装版 2」の「潤一郎と春夫」は二人の妻を巡り作品と昭和初期の時代背景が、ある意味で
小説のように描かれ、まさに昭和史の一駒に触れた作品でした。
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1965年というから結構昔に書かれた本ですが、戦前への見方・印象に未だに強い影響を誇っているようにおもいます。それだけ名著ということになるんだろうな。戦前について知ろうとするときに最も手に入りやすい本で、かつ基本として読んでおく本とおもいます。この本に触発されて書かれた本も多いはず。スパイMとか。
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うわっ、いったい何か月かかって読み終わったんだ・・・。
目次を列記。
・陸軍機密費問題
・石田検事の怪死
・朴烈大逆事件
・芥川龍之介の死
・北原二等卒の直訴
歴史認識のピントがわたし、ちょっとズレてるせいなんだろうけど、最初の2つがなかなか読み進められず、時間かかりました。けど、清張研究の編集をやるには避けて通れない作品だし、どうしても読み切らないと次に進めない。光子さんが「だんだんと2.26につながっていくところが圧巻ですよ」とおっしゃったので、がんばってこのあと4巻(?)読みますとも。朴烈あたりから少しずつ面白くなってきて、そこからはあちこち別の本にも浮気しながらで、3日で読みましたよ。(10/11/2006)
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面白いのでぜひ読んでください。
マニアックなところまでカバーしたすごい作品。
昭和初期の軍部の動きから政府の動きから世相まで
なんとなく見渡せます。純粋な意味で超おすすめ。
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好きな作家でしたので、全部読みました。寝不足ぎみ(^^)になりますが、ぐいぐい惹き付けられます。日本の昭和史を知りたいときには、この全集を読んで良かったと思います。
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堅い本です。
面白みには欠けるかもしれませんが、興味深いです。
時代を生きた人の考察。それが真実かどうかはどうでも良いのです。
ただ、このひとがどんな風に感じたかを、どんな事件があったのかを知る為の本です。
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主に未解決事件を扱っているので、松本清張版「コールドケース」のような趣です。第一巻は、まだ歴史の単独の事件の調査本ですが田中義一、森恪、など第二巻以降で主要な人物となる人物たちがチラチラと顔を見せます。彼らの運命が交差し、次第に不穏な空気を作り、次第に日本全体を大戦に向かわせて行くと思うと続きが楽しみでたまりません。昭和一桁の日本は本当に酷い時代で、政党政治の閉塞感など、現在に通じるものがあります。
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昭和初期のこの黒い感じ。ああ、これが日本史なんだよ、と心がときめく。
歴史が好きな人は、陰謀や密約、サスペンスなんかといった言葉に惹かれる傾向があるらしい。 まさに。
鎌倉時代の次に、好きな時代。
それを大好きな松本清張氏が書いてるというにに、今まで読んでなかった自分に反省。
226事件がこのシリーズの中でも目玉とのこと。全巻制覇します。
松本清張氏の推理小説に心惹かれる理由がわかった。
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初松本清張作品。
もっと難しい文章かと思ってましたが、すごく読みやすかったです。
芥川自殺の考察、彼の弱さがすごく共感出来ました。
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陰謀論についてWikipediaで調べているうちに一日が終わることのよくある僕には、この本はまさにうってつけでした。
いやまあ、ある意味都市伝説的な陰謀論なんかと一緒にしたら怒られるかもしれませんが、昭和の史実に潜む真実(と思しきもの)を、緻密な取材で暴き、論理を構築したうえでストーリーを展開していくという短編シリーズ物。
その言葉は説得力があり、「世の中の裏やべー」と、のうのうと平和を享受していてはいけないという気にさせられます。
「芥川龍之介の死」と「北原二等兵の直訴」という話が特に面白かった。
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最近、よくテレビに出演し、当時を語る鈴木宗男の言動に耳を傾ければ、実はこの人、現政権に嵌められたのでは、との疑念が芽生えてくる。
ホリエモンが確信犯であることは間違いなかろう。けれども、いわば一犯罪者にすぎないのを、かくも盛大にさらし者にしてしまう検察に、なんらかの意図があるのは明白。とりあえず、留置場に放り込んで、その言動を封殺し、やり過ごさせる、ってことか。
「日本の黒い霧」から本書へと読み継いでゆくと、
いずれの御方もいい時代に巡り会わせたようで、生きているだけ拾い物、一昔前であれば、線路上でバラバラ死体になっていたり、拉致され二度と日の目をみることなく冷たくなって路上に放置されたり、と有無を言わさず冥途の旅へと追いやられたのだろうから、
なんて実しやかに想像してしまう。
昭和初期の世相を背景に、政界や軍やらの悪党が跋扈する時代の出来事を、清張さん独自の取材でものにした力作。小説ではありません。
以前に取り組んだ折には、現在の新装版より巻数が多く、字も細かだったりし、全巻読破に至らず、中途で放り出してしまった。なので、この1巻目は再読ということになる。
通勤時の慰みとしては少々重い感じはするものの、初読時に比べてスラスラ入ってきます。面白くってね、環状線、2、3周したろかなと思います。さあて、年内に全巻読破できますかな。
(2006年記)
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数ある松本清張作品の中でも、最も読んでみたいと思っていた作品。
陸軍機密費問題、石田検事の怪死、朴烈大逆事件、芥川龍之介の死、北原二等卒の直訴を収録。
北原二等卒の直訴については、これまで全く知らなかった事実であったので、興味深かった。その他の章についても観察眼が素晴らしく、推理小説を読んでいるかのようだった。
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松本清張は読ませます。
東京に出張した折、本を持参するのを忘れ、
車中で読む本を、と、
上野駅構内の本屋で、
この本を手にしました。
本当は、陳舜臣の日清戦争の小説が読みたかったのですが、代打で購入しました。
陸軍機密費問題、石田検事の怪死、朴烈大逆事件、芥川龍之介の死、北原二等卒の直訴
上記6編が収録されていますが、なかんずく、石田検事、が面白かった。
政治的な機微に触れ消されたのは明白です。
きっと今の世にもあるんだろうなぁ、こういうの。
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陸軍機密費問題から始まる昭和歴史発掘。
初めは小難しげで取っつきにくかったのですが、読み進めるうちにだんだんおもしろみが増してきました。
陸軍機密費問題は石田検事の怪死に繋がり、朴烈大逆事件にも絡み・・・・・・と、歴史の中に伸びる一本の柱を想像しながら読み進めました。
恥ずかしながら、すべて知らない事件、出来事ばかりでした。
自分の国のことでも、知らないことは多い。いや、知らないことだらけです。
おかげで昭和一桁の時代の雰囲気を、なんとなく感じ取れたような気がします。
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大逆事件を計画したとされるアナーキスト朴烈のスキャンダル写真
そんなものに振り回されて議会は空転する
モラルをめぐるヒステリックな論争のなか、大正ロマンの時代は終わり
田中義一の軍機密費着服疑惑をもって昭和の幕がひらいた
腐敗の時代であった
芥川龍之介は、現実の汚さに耐えられず死を選択し
勇敢に声を上げる者たちは、権力にふみつぶされていった
権力とはなにか?
人々は、天皇こそ権力と信じている
しかし堅く守られたその実態を知る者はほとんどなかった