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DNA 上 二重らせんの発見からヒトゲノム計画まで みんなのレビュー
- ジェームス・D.ワトソン (著), アンドリュー・ベリー (著), 青木 薫 (訳)
- 税込価格:1,254円(11pt)
- 出版社:講談社
- 発売日:2005/03/18
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紙の本
DNA二重らせんの発見者が綴る、半世紀の進展のまとめ
2005/12/09 11:25
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:銀の皿 - この投稿者のレビュー一覧を見る
この本は1953年のDNA二重らせん発見から50周年を記念するプロジェクトの一巻として、2003年に出版されたものである。発見者の一人であるワトソンが執筆、共著者は英語ではandではなくwithとなっているので、中心はあくまでもワトソン個人の経験や見解ということであろう。これまでのDNAの歴史から現状までを、重要な話題を幅広く網羅した本であるが、発見者が50年間を振り返る中に、これだけの進展が(良いことも、問題も含んで)あったのか、と感慨をも感じながら読んでしまった。「たった50年、されど50年」である。
ブルーバックス版は上・下ニ巻に分けられている。手に取りやすく、内容的にも、これまでのDNA研究の歴史を概観したような前半の上巻と、遺伝子治療、個人識別など個々のテーマをまとめた後半の下巻というように分けられてすっきりしたと思う。かなり量も多く、きちんと書かれているので読むのは少し大変かもしれないが、わかりやすい記述であり、著者ワトソンの性格(正直ジムといわれているそうだ)を反映してかあけすけとも言えるぐらい率直な書き方で登場人物のエピソードなども活き活きと描写されているので退屈することなく読める。遺伝子をタマネギの細胞に入れる操作で「実験室はあたかも射撃場にマクドナルドが開店したような匂いだったという。」という妙にリアルな表現なども読み手をあきさせない。
食物の遺伝子操作、遺伝子治療など、近年社会的に問題となっていることについては、著者はねっからの科学者として科学の未来、人間の理性を信じて書いている。様々な問題も「知識は、たとえ私たちを不安にさせるようなものでも、無知よりはずっといい。無知が与えてくれる幸福感はいっときのものでしかないのだ。ところが政治的な懸念のせいで、人々は、無知と、それが与えてくれる見せかけの安心とを選ぶことになりがちだ。」と、明らかな事実は認め、それをどう扱うかを考えよう、という積極的な姿勢。理想的にそれが議論できるためにはまだまだ時間がかかりそうだが、その問題についても彼の意見は明確に書き込まれているところが気持ちがよい。
この半世紀のDNA研究のまとめ、としてべーシックなハンドブックとして手元置いておいても良い本だと思うが、索引がもう少し詳しければ更に使いやすかっただろう。「訳者あとがき」もとてもよくまとまっているので、まず読んで概観を。
紙の本
翻訳がいいと、すらすら読めちゃう見本。分からない話も、分かる気がする?いえいえこれって人間のドラマ一杯の読み物です
2005/07/28 19:56
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
著者のジェームス・D・ワトソンは、1962年、DNA二重らせん構造の発見でノーベル医学・生理学賞を受賞。最近のことでいえば、アメリカの国立衛生研究所の国立ヒトゲノム研究センター初代所長。アンドリュー・ベリーは、ショウジョウバエの遺伝学の博士号をもち、ハーバード大学比較動物学博物館の助手でライターでもあります。
でだ、なぜ唐突にDNAか。文科系に理解できる理科系の話、それが生物学、とは言いすぎだろうけれど、もしかしたら分るかも・・・という甘いスタンスで読み始めたのは、ブルーバックスには珍しい上下本、という姿かたちの問題と、そろそろ長女の学校で生物を習い始めるかな、くらいの軽い気持ちです。
総体的には分りやすい内容です。あくまで総体的、であって特にDNA発見から、バイオテクノロジー、産業化やモンサント社などの野望あたりになると、もう完全にドラマの世界。内橋克人国際版とでもいうのでしょうか。でも、でも、です。そういう人間臭い部分の分りやすさに比べると、やはり二重油らせんの図解部分などは、詳細に理解しようとなると、結構難しい。
各化学者の先陣争いから、大学や企業を巻き込んでのお金をめぐる闘争、そして環境問題から食の安全への消費者ニーズの変化、病気の克服など身近な話題満載。繰り返すけれど、そこはとても面白い。権力闘争、派閥人事、ノーベル賞秘話、そういった誰もが理解できる話が90%、そして専門家らしい話が10%といったところ。
しかし、特許というのは凄いなあと思います。動くお金もだけれど、ある発見なりアイデアに人が群がり、思惑があって、覇権に失敗する企業もあれば、学問の独立性を守るためとの潔い決心が、大学にもたらされたであろう巨万の富を民間に転がり込ませます。山師のような学者も登場します。そして、偉大な発見は放射線やペニシリンの時と同様、相変わらず偶然に負うところが大きいのです。それにしても、企業というものがいかに低い動機で学会に金を出すものか、儲けられると感じればデータを独占秘匿する、人知れず特許を出すは当たり前です。
ともかく読みやすい本なので、何故かなと思ったのですが、よく考えればこの本は共著みたいになっているけれど、多分ワトソンの原稿なり口述をライターであるベリーがまとめ、それを青木薫という、私にとっては『フェルマーの最終定理』というわかりやすかった本の翻訳もしている優れた翻訳家がいたせいでもあります。
本文で思わず笑ってしまった一文があるので引用します。共産主義者の愚かさを表す最高のものです。
「ちなみに、二重らせんの発見に対するルイセンコ派の反応は、いかにも反啓蒙主義者らしいものだった。いわく、「それは二重だと主張するものであって、ひとつのものが、相反する性質を有するふたつのものに分かれるという話ではなく、つまりは反復や増加に関する理論であって、発展を論ずるものではないのである」。いったい何が言いたいのか私にはわからないが、ともかく意味不明という点では、ルイセンコの遺伝に関する次の記述と共通している。」
思わず、電車の中で噴き出してしまいました。ま、これはルイセンコだけではなくて、一時代前の哲学書、あるいは純文学、そして現在の教科書といった分りにくいことが価値だと錯覚している人間や、或は真意を知らしめまいとする政府関係の文書、特に法律の文章そのものです、笑ってばかりはいられません。いや、他人事じゃあない。
紙の本
DNAとバイオテクノロジーについての正直ワトソンの率直で前向きの意見表明
2006/03/04 17:51
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:萬寿生 - この投稿者のレビュー一覧を見る
DNA二重螺旋構造発見五十周年記念事業として企画され、2003年に発行された本であるという。二重螺旋発見の当事者であるジェームス・ワトソンによる、その後の五十年間のDNAとバイオテクノロジーの全ての分野についての、研究、発展、社会への影響の歴史と展望が解説されている。人間を中心として、遺伝子の分子生物学の全分野について、俯瞰できる。素人にも分かりやすく書いてある。ヒトゲノムの解析と企業による特許化、遺伝病の診断と差別化の可能性、遺伝病の予防と治療、氏(遺伝)か育ちか、遺伝子組み替え食品、等等、遺伝子解析の可能性と社会的問題について、率直で前向きの意見が表明されている。これまでの著作のなかでも、正直ワトソンといわれていた特性が、明瞭である。
紙の本
DNAの二重らせん構造を発見したワトソンらの研究過程を追った画期的な書です!
2020/02/24 09:43
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、上下巻2冊で構成されており、その上巻にあたります。同書は、1953年にDNAの二重らせん構造を発見したジェームズ・ワトソンの研究について書かれたもので、特にこの上巻は、二重らせん構造の発見からヒトゲノム計画までが記述されています。同書の「序章 生命の神秘」では、二重らせん構造を発見した際の興奮が生々しく描かれ、続いて、「第1章 遺伝学の始まり」、「第2章 二重らせん」、「第3章 暗号の解読」、「第4章 神を演じる」、「第5章 DNAと金と薬」、「第6章 シリアル箱の中の嵐」、「第7章 ヒトゲノム」において、遺伝現象が分子レベルで解明されるまでの過程、バイオテクノロジーの過去から現在までの技術紹介とその問題点、ヒトゲノム計画の詳細、遺伝病の原因を探る研究についてと話が進められます。ワトソンらの研究過程をつぶさに描いた非常に興味深い書です!
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