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昭和史発掘 新装版 2 みんなのレビュー

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紙の本

民族問題も絡めた満洲問題を解きほぐしてもらいたかった。

2008/12/27 14:25

7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:浦辺 登 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 この一冊には下記の5つの事件について、松本清張の視点で解説が加えられている。
・三・一五共産党検挙
・「満洲某重大事件」
・佐分利公使の怪死
・潤一郎と春夫
・天理研究会事件

 これらの作品を読んでいてふと気づかされたのは、「昭和史発掘1」に収められていた「陸軍機密費問題」が「満洲某重大事件」と「佐分利公使の怪死」に繋がっていることだった。官僚化した陸軍軍人が政治に介入し、「統帥権」という絶対権力を振り回して政権を操ったが、その余波が各地域で引き起こした事変だった。
 ここで思い出されるのは、陸軍大将乃木希典の「軍人は政治に介入すべきではない」という言葉だが、後輩の田中義一が陸軍機密費を持参金にして政治に色気を見せたのが間違いの初めだったのか。

 そして、事変から戦争へと突き進む原因を作ったひとつの事件が「満洲某重大事件」だが、これなどは天皇の意向を無視して陸軍が暴走を始めた事件だった。これぞまさしく「統帥権」の干犯だが、このことを追求する政党人が少なすぎた。陸軍機密費による買収、憲兵隊による恫喝を受けていたからだろうか。
 本書を読んでいて思ったのは、民族問題もからめて松本清張には解説して欲しかったということだ。チベットでの暴動が世界に報道されるようになったことで中国には多数の民族が存在していることが日本でも認識されるようになったが、この満洲の問題には満洲族と漢民族との三世紀弱にわたっての抗争が横たわっている。この民族間の支配、被支配の関係を前提に満洲問題をみていくと、主義主張だけではない権力闘争の裏面が読み取れ、軍閥間の離合集散の流れがより鮮明になってくると思う。

 ちなみに、「三・一五共産党検挙」の中で佐野学という人物と後藤新平が縁戚関係であると簡単に述べられているが、南満洲鉄道総裁、内務大臣、東京市長も務めた後藤新平の養女と結婚した佐野彪太の弟が佐野学になる。共産党創立にあたって、党員が佐野学と距離を置きたがったのも理解できる。

 これら一連の作品は昭和40年頃に書かれているので、読者に対して事件に登場する人物や時代背景の注釈が不要な時代だったと思うが、今後は必要になってくるのではと思う。

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紙の本

松本清張の捉える大正末期から昭和の軍部と宮中との微妙な関係が朧気ながら判ってきたような・・・

2020/08/24 20:51

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:多摩のおじさん - この投稿者のレビュー一覧を見る

このコロナ禍でステイ・ホーム中、某テレビで原武史氏がゲストで「100分de名著・松本清張スペシャル 昭和とは
何だったか」で知った遺作の小説「神々の乱心」の主題と構想の凄さにすっかり魅了され、上下巻を読破したので
すが、同氏の「松本清張の「遺言」『昭和史発掘』『神々の乱心』を読み解く」で紹介の「昭和史発掘」も是非読
まねばと、その2巻目です。

第2巻も第1巻と同様に5話から成り、また同様に4話目には「潤一郎と春夫」と文学系をおき、他の「三・一五
共産党検挙」「満洲某重大事件」「佐分利公使の怪死」「天理研究会事件」の4話は全てが大正末期から昭
和初期の昭和史では決して避けることが出来ない軍部と思想に関わる重大事を取り上げています。

1話の「三・一五共産党検挙」は、1922年(大正11年)7月の創立された共産党が、翌年6月の第一次共産党
検挙後の再結党に向けた重要会議~1926年(大正15年)12月の第3回党大会の五色温泉会議があったと警
視庁特高課毛利警部へのタレコミ電話で始まり、1928年(昭和3年)3月15日の全国一斉の共産党員検挙と
起訴に1925年(大正14年)に成立の治安維持法が初めて適用された判決迄を党幹部を中心に活動状況を
事細かに追っています。

著者は本事件の端緒として、この会議を無断欠席し、毛利警部と会っていたと党側にも探知されていた北浦千太
郎(p.57)や、当局の極秘資料の「大阪府当局ノ聞込ミ」(p.9)、特に幹部の福本和夫が捕まった大阪の同士宅
に出入りし三・一五で検挙、4年判決も仮出獄したK党員(p.59,60,78)や、後に「検挙の端緒はスパイである」
と述べた検挙の中心人物の松坂次席検事(p.62)の内部スパイの存在と、党の27年テーゼの要項をまとめた「報
告の要点」の存在を知っていたかのような押収(p.61)、解読された中尾勝男の暗号名簿の存在(p.66)を指摘し
ています。

5話の「天理研究会事件」と同様、「神々の乱心」の下地の1つである2話の「満洲某重大事件」では、1928年
(昭和3年)6月に北伐軍に追われ北京を撤退し奉天に戻る途中で河本大作参謀を中心に実行された張作霖の
爆死事件を巡り、第1巻の「陸軍機密費問題」で取り上げられた田中義一内閣の瓦解が昭和天皇からの叱責を
受けたこと(p.183)として原田熊雄の「西園寺公と政局」を引用し、昭和天皇が「おまえの最初に言ったことと違う
じゃないか」との不興(p.186-187)や、鈴木侍従長の「もし某重大事件に関することなら、おそらく、お聞きになり
ますまい」の一言で天皇の信任を失った(p.189)を挙げ、軍紀の粛正をせまる宮中に対し、激しい反感を持ち、後
の五・一五、二・二六事件で西園寺や牧野内府、鈴木侍従長などが襲われる遠因の指摘(p.190)、野党時代は
「満洲某重大事件」の内容発表を迫った浜口雄幸内閣も軍部の重圧で沈黙し、その内閣で陸相の大命にも拘
わらず四個師団廃止問題で宇垣一成の陸相の座を阻んだ陸軍内部の新たな潮流~満州占領を目指す若手将
校を中核とする革新組という妖怪は内部においては下克上となり、外部に対しては軍の暴走の指摘(p.196)は歴
史の転換の暗示として印象に残るものです。

その中で異色の「潤一郎と春夫」は昭和5年の浜口内閣の緊縮財政でかつてない不況時代で、米価下落が農村
へ打撃を与え、後の五・一五事件に繋がっていくという不安な時代を背景に、谷崎潤一郎とその妻・千代との冷めた
生活、そして谷崎潤一郎の妻の姉妹との自由奔放な恋愛とは対照的な彼女を思いやる佐藤春夫の揺れる心の内
に触れながら夫々の作品を引用しつつ、小説のように描かれ、昭和史の一駒に触れた印象に残る作品です。

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2007/07/23 11:31

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2012/02/08 01:32

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2012/10/22 22:31

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2013/05/31 23:19

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2013/10/20 22:19

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2020/03/07 22:54

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2023/02/19 11:06

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