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偶然手にした一枚の絵から、その作者・石田黙の魅力に取りつかれ、彼に迫ろうとする美術雑誌編集者の水島。そして、記憶を失い、何者かに監禁されてひたすら絵を描かされる謎の画家。インターネットオークションを通じて自分以外にも黙を探している人物がいることを知り、ますます興味を持っていく水島。しかし石田黙のことを周囲の誰も知らない・・・黙とはいったい何者なのか??
最後の結末は予想外でした!
この石田黙って人物が実在の人だとはまったく知らずに読んでいました・・・
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大分前に読んだので内容は覚えていない。
しかし、不思議な世界に引きこまれたという感情は覚えている。
これは、内容プラス文章力だと思う。 この作者は叙述トリックの大家
として知られているが、それだけではなく、読ませる文を書く
文章力、表現力が高いのだと思う。
機会があったら、もう一度読み直したい。
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以下、文藝春秋に記載された本人のお話
小説にして美術書
過去、絵画について書かれたミステリの名作は数多い。例えば、歴史的に有名な画家(ダ・ヴィンチ、フェルメールなど)の絵画が発見され、その行方をめぐって事件が起こるという小説があるとする。しかし、読者はそんな絵画が現実に存在しないとわかっているので、ある程度冷めた意識で読む。作品の行方をめぐるサスペンス、殺人事件の謎にどきどきすることはあっても、結局、その絵が偽作だったり、焼失してしまったりして話は終わる。その点にかなり不満が残るかもしれない。
私の『黙の部屋』はそれらの作品とは一線を画している。作中に使われている三十点に近い作品は全部本物。そして、一つ一つの絵が現れるにしたがって、ストーリーが進行するといったものだ。
絵を使って、いかにストーリーを組み立てていくか、読者は作家の苦心に思いを馳せながら読んでいく。そういった意味では、過去にない珍しいタイプのミステリだと自負している。
最後まで読めば、あなたは謎の画家・石田黙についてすべて知ることになるはずだ。『黙の部屋』を小説として読んだ後、最初にもどって絵を見返していけば、この本は「石田黙・作品集」にもなる。一冊で、小説と美術書の両方が楽しめる。作者の狙いはまさにそこにあるのだ。成功しているかどうかは読者の判断に委ねられている。
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ひょんなコトから『石田黙』という画家をしった美術雑誌の編集者。
そこから連なっていく、不可思議な人間模様とは??
『石田黙』は実在の画家です。
なので、実際の絵を見ながら本を読み進めて行けるので
とても分かりやすかったです。
こういう絵の描写は、どれだけ細かくされても分かりませんから(´ω`;)
本の内容も折原ワールド満載でしたが、
絵の不思議さに引き込まされました。
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「騙されないぞ、騙されないぞ」と呟きつつ読んでいたら……あら、騙されなかったわ(笑)。
思ったほどの仕掛けじゃない? という気もしたけれど、雰囲気が良いのでもうそれだけで充分。図版も入ってて豪華だし、「魅せられる」一冊ですよこれは。読んでいるうちに、「石田黙」という作家の存在が現実なのか虚構なのか、それすらも分からなくなってきたし(現実だよね?)。
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石田黙の妖しい絵に魅せられた。これは謎の画家、石田黙を紹介するためのミステリーですね。美術界の裏側なども興味深く読めた。小説であり、美術書(石田黙作品集)でもある不思議な本。
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ある店で石田黙という画家の作品を見つけた水島。徐々に石田黙にひきつけられていく水島。ネットオークションで黙の作品を落札する水島。三田村裕子との出会い。三田村裕子の兄・黙士の失踪。石田黙を兄と想い作品を集める裕子。裕子の元恋人・松野友也。美術評論家・竜野建作と事件の関係。何者かに誘拐された裕子を助け出すために謎のアトリエに向かった水島。殺害された竜野。竜野の妻の死と事件の関係。
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図書館。折原一さんを初めて読んだ。実在の画家とミステリーを絡めているからなのか、独特の妖しさが全体に流れている。実際に絵が多用されているのも効果的。事件と犯人そのものはそんなに面白くないのに、作品が醸し出す雰囲気にはのみ込まれてしまった。
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美術雑誌の編集長水島が、石田黙という謎の画家を追い求めていくうち、不可思議な事件が起こる。
折原さんだ、折原さんだぞ……と念を押すように読んでいたが、ころりと騙された。すっかり全部騙されたというよりは、ああそっちかと方向性を違えたような、表裏を間違えたかのような、ちょっとした騙しが小気味良かった。
水島が石田黙に魅了されていく様はおもしろく、運命の出会いとはこういうものかもしれない。新規ハイ過ぎるのではという心配が多々あったが、それさえも石田黙の謎めいた存在と合わせて取り憑かれているかのようで、作品の不思議さを醸し出している。
そういえばオークションで石田黙を出し続けていた目白勇二は謎の男のままだったが、なんだったのだろうか。個人的には「星座」の絵がとても神秘的で好きだ。