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紙の本
罪深き辛口レビュー
2005/08/30 10:38
7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:紫月 - この投稿者のレビュー一覧を見る
いやいや面白かった。
文芸書だけでなくハウツー本や自己啓発本に至るまで、なんと175冊もの書籍を著者独特の辛口で切りまくるという、異端のレビュー集です。
私は元来悪評というものが好きではないので、悪評はしないし読みません。
そもそも悪評したくなるような本は最後まで読まずに途中で投げ出してしまうことが多いし、運悪く最後まで読んだとしても、そんな本にさらに時間と労力を割いて書評を書こうとも思いません。
読むほうに関しては、人の悪口を聞いているようでひたすら居心地悪く感じます。
ましてや悪評されている書籍が自分が好きだったり感動したりしたものだったりすると、「あんたの書評の方がよっぽどひどいじゃないよ!」と評者に食ってかかりたくなるくらい。
でも本書はとっても楽しかった。
著者にかかったらベストセラー本も直木賞受賞作もカタナシ。
邪悪だけどどことなく人好きのする切り口。そして所々にちらりと覗く著者の博識とテンポの良い語り口。
普段は気にも留めない自己啓発本まで、なんだか新鮮に見えてくるのです。
しかし楽しすぎるせいなのかどうなのか、読後には175冊もある対象書籍のうち、『読んでみたいな』と思った本はたったの数冊。
本書の罪深さが分かろうというものでしょう。
それでも本書にちょっとしたカルチャーショックを受けた私。
たまには辛口レビューも……なんて思ったりもするのです
紙の本
熱中症にご用心
2005/08/14 20:35
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る
今年の夏は暑い。まあ夏だから暑いのは当然だし、毎年そのようなことを言っているような気もするが、真夏日が何日間連続とか今夜も熱帯夜でとか報道されるとげんなりする。この時期熱中症という言葉をよく聞く。これは身体の外と内の熱さによって引き起こる体調の不調を総称した症状らしい。昔よく言われていた日射病は熱中症の軽度の症状で、重度になると死亡ということもあるから夏の暑さも侮れない。予防としては、暑い時の過度な運動を避けることとか爽やかな服装とか適度に水分を補給するとからしいので、緑陰読書でもした方がいいかもしれない。
でも、読む本はちゃんと選ばないと、本の熱中症になりかねない。斎藤美奈子の『誤読日記』は175冊のさまざまな本の書評集なのだが、斎藤自身が書いているように「質はともかく量だけはたっぷり、飽きるほど」あるし、紹介されている本の選書はドラマの原作本があったり実用書があったりベストセラーがあったり「いかにもたこにもミーハー」で、それに斎藤自身の毒素が加わるのだからたまらない。決して涼しげな読書体験とはならないに違いない。そこで予防のために<斎藤美奈子熱中症>の特徴を整理しておこう。
この症状にかかりやすい人だが、性格的にまじめな人とか引っ込み思案な人は気をつけた方がいい。斎藤の熱をそのまま受け止めかねない。だから、斎藤の著作がこれが初めてという人はもう少し無難な『読者は踊る』とか『趣味は読書。』といった作品で斎藤の口調とか毒素に慣れてからがよろしいかと思う。体力の弱い人や体調不良の人は読書体力をつけてからの方がいいだろう。熱中症は急に暑くなった時などに起こしやすいが、<斎藤美奈子熱中症>も同じ。斎藤美奈子を少しずつ馴れていくことが必要だ。
でも、もし万が一<斎藤美奈子熱中症>にかかった場合は早めに頁を閉じるしかないかもしれない。または水分補給してからもう一度読み始めては。でも、この効果は保証の限りではない。
紙の本
意外とオジン的かも
2005/08/04 20:31
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:k-kana - この投稿者のレビュー一覧を見る
斎藤美奈子はもう書評界のブランドである。サービスの質の高さで裏切られることはない。
本書を手にとってを読む人は、①斎藤美奈子の切れの良い啖呵を楽しみたいと思う人——誰を相手に、どんなワザで臨むのか。手練の名人芸を楽しみたいと。②彼女がどんな本を俎上にのせているのだろうか——たとえ悪口のメッタ切りであっても読んでみたいと思う人だろう。大新聞の読書欄に取り上げられる、もっともらしい本の数々にウンザリしている人間には目からウロコである。こんなにもアホらしいけどタメになる本があるんだ、と。
いわゆるビッグネーム——立花隆・丸谷才一とか、朝日新聞・東京大学とか——に対峙するとき、舌鋒はときに鋭くなりますね。『闊歩する漱石』(丸谷才一著)を評して、これほどご陽気な漱石論は初めて読んだと、海老にたっぷり衣をつけた天ぷらのやう、と喝破するのだから。天声人語については、得意ワザは竹に木を接ぐ「ウルトラ接ぎ木」、と一刀両断である。また、東京大学出版会の『少年犯罪』でのグラフ不備の指摘など、当の著者は恐れ入りましたではないか。
バラエティに富んだ175冊である。話題の貴乃花親方が絵本『小さなバッタのおとこのこ』を出しているなんて初耳です。もう「相田みつを、って誰?」なんて言えません。
ちなみに最後のページの著者名索引から、2箇所以上で引用されている作家をひろいだすと。数人が該当しますが、しっかりと五木寛之、渡辺淳一が食い込んでいますね。意外と斎藤美奈子はオジンかな。
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