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対話の回路 小熊英二対談集 みんなのレビュー

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みんなのレビュー8件

みんなの評価4.1

評価内訳

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8 件中 1 件~ 8 件を表示

紙の本

俊英小熊英二のスリリングな対談集!

2005/11/30 23:36

9人中、9人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ブルース - この投稿者のレビュー一覧を見る

どうしても気にかかっている本が一冊ある。それは、小熊英二の『民主と愛国』という本である。この本は、今から三年前に出版され、数々の賞を受賞しこの書評サイトでも圧倒的な賛辞が寄せられていた。内容は、民主と愛国という言葉が戦後から1970年代にかけてどのような意味の変遷を辿って来たのかということを当時の出版物から綿密に解明したものだが、何しろページ数にして何と千ページ近く、値段も6千円を超えているので購入するのを躊躇っていた。
そのような中で、同じ著者による対談集が出版された。まずは著者のお手並み拝見というような軽い気持ちで読み始めたのだが、これが類を見ないほどの密度のある見事な対談集であることに驚かされた。
通常、対談集というと、当たり障りの無いことに始終し対談が終わった後は編集者任せというのが多いが、著者は手間隙かけて本書を編んでいる。また、対談の前には、対談相手の刊行物や業績に時間をかけて目を通すなどして入念な準備をしている。そのような真摯な姿勢が相手側に伝わっているためか、対談は類がないほど丁々発止のものになっている。時には、著者の舌鋒が余りにも鋭いので、非礼とも受け止められかねない箇所もあるが、お互いに信頼と敬意があるためか、対談は後味の悪いものにはなっていない。
対談の相手は、作家の村上龍・島田雅彦、歴史学者の網野善彦、社会学者の上野千鶴子、民俗学者の谷川健一・赤坂憲男、哲学者の姜尚中など多士済々である。対談相手によって、話題は異なるが、大家との対談では相手の業績を辿っていく中で、小熊氏が疑問に思うところを尋ねるというかたちで進められているので、大家の学問の優れた手引きともなっている。それが最良なかたちで現れたのが、網野善彦氏との対談であろう。
網野氏は、言うまでも無く、高名な中世史家であるが、畑違いな小熊氏がどのように網野ワールドに切り込むか興味があったが、本質に迫ったやり取りが展開されている。特に、網野史学が形成された1950年代のマルクス主義歴史学会によって推進された「国民歴史学運動」との関わり、1960〜1970年代に提唱された非農業民の重要性、1980年代に著作で発表された単一国家日本への疑義などがどのような背景から生まれたのかについて突っ込んだ議論が展開されている。
また、民俗学者の谷川健一氏との対談はさらにバージョンアップして鋭い問いかけに満ちている。小熊氏は、現在の民俗学のあり方にはかなり批判的で、谷川氏の「小さく儚いものに愛着を注ぎ、国家との関わりを避けようとする民俗学」は提唱当時、同一化を絶えず強いる国家への有効なアンチテーゼとなっていたが、現在では既に戦略として失効しており、何の役にも立っていないという。民俗学の大家に向って随分思い切った発言をするものだが、この裏には小熊氏の民俗学再生への期待が込められているように思われる。
このように、小熊氏は大家を前に怯むことなく次々と根本的な問いかけを発しているが、現代への鋭い問いかけもこの対談集で行われている。
その一例として、比較的若い世代の村上龍や島田雅彦や姜尚中などの対談の中で展開された現代日本のナショナリズムの鋭利な分析が挙げられよう。以前は日本のナショナリズムは天皇制を明確に支持していたが、現在では特に天皇制に拘りを見せていないという。また、著者は日本ナショナリズムのアメリカとのアンビバレンツな関係も鮮やかに解きほぐしており、この方面には疎い私は大いに啓発されるものがあった。
本書を通じて、私は小熊氏の知的誠実さ、緻密な思考、舌鋒するどい知的ラジカリズムにすっかり魅了されてしまった。近いうちに、この鋭い論客の代表作『民主と愛国』を是非読みたいと思っている。今後、活躍が期待できる若手研究者の一人ということが出来るであろう。

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紙の本

サラリーマンの小生として

2007/02/17 16:51

6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:くにたち蟄居日記 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 初めに断っておくが 小生はごく普通の会社員であり 通勤電車で日経を読みつつ どうやって仕事をやろうかと考えている生活を送っている。従い 例えば網野善彦さんとの対談に出てくる各種人名については 知らない人も多い。

 読者としては 全く資格を欠いているとしか言いようがない。それでも 小熊さんの作品が出ると 割りと買っているから不思議である。そして自由な読み方で読んでいる。


 例えばインド日記を読んだ際には 何より 小熊さんの強烈な「好奇心」に痺れた。日経通勤の小生としては 「これは新入社員の読本にすべきだ」という 誰も期待していないような感想を持つに至った。


 単一民族神話の起源を読んでいると 会社においても正社員、契約社員、アルバイトという「多民族」(これは取りも直さず待遇と権限の問題である)と会社として纏まるべきという「単一民族」(会社のidendity)の問題のせめぎあいと読んでしまう。 きちんとした「資格を持った読者」の方から見るとめちゃくちゃですよね。


 但し ここで言いたいのは そういう読み方が出来るという本であるという点の凄みであり 著者の「自由無碍」な精神が 小生をして 読ませるという点が重要なのではあるまいか? というのが 小生の確信犯である。


 この対談集も その意味で色んな読み方が出来る。そうして 小生含め 多くの人が「読める」という気がしている。多くの人に読んで貰うということは 基本的かつ短絡的に 良いことだとは思う次第。

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紙の本

「あとがき」より・目次

2005/07/12 14:34

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:新曜社 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 本書は私が一九九九年から二〇〇三年までに行った対談を集めたものである。
 私自身がかつて出版社に勤めていたので、その経験からもいえることだが、対談ほど安易にやろうとすれば安易にできてしまうものはない。
また一方で、真剣によいものにしようとすれば、大変な作業が必要になるのが対談というものである。
 当然のことだが、対談は一種のコミュニケーションである。対談と称して、通り一遍のあいさつや、あたりさわりのない四方山話ですますことはできる。だが本当に相互の神髄に食い込むほどのコミュニケーションをはかることが、日常生活において困難なことであるように、充実した内容の対談を実現するのはむずかしい。
 まずよい対談を実現するためには、相互の信頼が不可欠だ。相互に信頼や尊敬が成立している場合には、相手の深層に迫るような質問を行ない、深いコミュニケーションをはかることが可能になる。逆に言えば、相手に対して信頼や敬意、予備知識や感心がない場合ほど、あたりさわりのない会話だけですまそうとする傾向が強くなる。
 この対談集で私の対談相手となっているのは、作家や学者など、何らかの表現にたずさわっている人びとである。こうした人びとと信頼関係を築くためには、相手の作品を読み込み、「私はあなたの作品に接している。そして評価している」という姿勢を示すことが必要だ。そうでなければ、相手の信頼を得ることはむずかしい。

・・・・・・対談は共同作業だから、私の努力だけではどうにもならない部分があったり、準備や質問が的外れだったりしたこともある。この対談集に収録された対談も、完璧な作品ばかりとはいえない。
 しかしさまざまなハードルをのりこえて、対談がうまくいったときは、楽しいものである。人間誰しも、通り一遍のやりとりをこえて、深い部分での対話の回路が成立したと思える瞬間は、たのしいものだということは知っているだろう。願わくば、この対談集の読者にも、そうした楽しさを共有していただければ幸いである。
(小熊英二)

【目次】
「日本」からのエクソダス (対談者 村上龍)
同時多発テロと戦後日本ナショナリズム (対談者 島田雅彦)
人類史的転換期における歴史学と日本 (対談者 網野善彦)
柳田の経世済民の志はどこへいったのか (対談者 谷川健一)
〈有色の帝国〉のアジア認識- 柳田思想の水脈と可能性 (対談者 赤坂憲雄)
戦後思想の巨大なタペストリー (対談者 上野千鶴子)
ナショナリズムをめぐって (対談者 姜尚中)
秘密の喫茶店 (対談者 今沢裕)
あとがき

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紙の本

網野善彦氏、谷川健一氏、赤坂憲雄氏との対談がスリリングである

2016/07/11 17:54

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:まなしお - この投稿者のレビュー一覧を見る

この本は、小熊英二氏が様々なジャンルの方たちと行った対談を収めたものである。村上龍氏、島田雅彦氏の両小説家との対談は、あまり面白くなかった。村上龍氏との対談では何故かお互いに遠慮しているように感じた。島田雅彦氏とは同年代ということもあるのかあまり白熱した対談になっていない。
この対談集で読みごたえのあったのは網野善彦氏、谷川健一氏、赤坂憲雄氏との対談である。小熊氏は、この三氏との対談では自分の納得できないことにはとことんまで食い下がっている。その応酬がとてもスリリングである。

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2006/06/14 21:24

投稿元:ブクログ

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2008/02/24 16:59

投稿元:ブクログ

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2011/10/07 14:38

投稿元:ブクログ

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2016/12/16 12:21

投稿元:ブクログ

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