紙の本
うまいですね、相変わらず。それから、狐目の活躍がいいです。この手のミステリとしては、正直、並ぶものがない、といっていいかもしれません。それにしても、写楽か・・・
2005/12/11 20:43
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
長女と私が大好きな北森鴻のシリーズです。今回は新潮エンターテイメント倶楽部の一冊なので、文藝春秋から出ている冬孤堂シリーズとは別物ですが、全く無関係かというと、そうではありません。陶子が思わぬところで顔をだしたりしますから、ある意味、もっと大きな枠組み「考古学・民俗学・古美術」シリーズの一つといってもいいのかもしれません。我が家の長女などは、「森博嗣の小説が全部繋がっちゃってるのとおんなじ」と大胆に言ってます。
カバー装画は、個展を開けば作品が完売してしまうという京都在住の勝国彰、本文扉装画は佐藤正、装幀は新潮社装幀室。
カバー折り返しに出ている内容紹介は
「古文書の調査に赴いた屋敷では、出迎えるはずの当主が不可解な失踪を遂げていた。目立った盗難の痕跡もなく、事件性の見えないことから単なる家出と判断された矢先、一行は古文書が隠し持っていた重要な秘密、「謎の画家」の存在に行き当たる。(表題作)」
です。全部で四つのお話が入っています。簡単に紹介すると
ヘタレでもてない助手の三國、彼の写真を撮りたいという学生があらわれ、それが大学の都市伝説になっていく「憑代忌」、那智エマージェンシーコールで三國が呼ばれたF県火原郡栄村にはその底に神社の遺跡が沈んでいる可能性のある湖が「湖底祀」。
狐目の主任が三國を連れていった居酒屋の主人は、蓮丈のことを、あの別嬪さん、と気軽に呼ぶ。そこで語られたのは20年近く前、まだ修士課程の院生だった蓮丈が巻き込まれた御厨家での事件「棄神祭」、カバー折り返しに紹介が出ている「写楽・考」。
登場するのは御馴染みの面々。まずは、名探偵役である気鋭の民俗学者で東敬大学に勤める蓮丈那智。その研究室の助手で、青年の時代をはや終わらんとしているのが、独り身の内藤三國。その声質だけで衆生の煩悩を救済しそうなミラクルボイスの持ち主にして、蓮丈研究室の新たな助手が佐江由美子。ついでにいえば、現在人気沸騰中の天才女性シンガー・与弧沙恵は彼女の双子の妹です。そして、那智、由美子同様に天才的な洞察力を見せるのが、かつては民俗学の研究者、それも飛び切りの才能をもっていた研究者であった、現在教務部主任の狐目担当者です。
あいも変わらず、一人ボケているのが内藤で、残りの人間は皆、凄い。で、今回ですが、メインの話のスジが読めるんで、ちょいと弱いですね。でも、それを補ってあまりある那智の仲間たちの個性です(ヘタレの内藤はどうでもヨロシ)。そういった仲間たちとの出会いを楽しむ本、と思えば格別に楽しいお話です。
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調査に赴いた屋敷では、当主が行方知れずとなっていた。盗難の跡もなく、事件性の見えない不可解な失踪を探るうち、一行は「謎の画家」の秘密に行き当たる…。表題作他3編を収録。民俗学ミステリ第3弾。『小説新潮』掲載。
【感想】
http://blog.livedoor.jp/nahomaru/archives/50127667.html
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ミクニ先生が、どんどん、弱くなってくこのシリーズ。
とある章の冒頭でのマサージチェアに、
いやされてる姿に思わず、
笑ってしまいました(゜m゜*)プッ
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新たな助手を仲間に加え、内藤君はパワーダウンしている気がします。
そして狐目の名前が明らかに。表題作が好きです。
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シリーズ第3弾。今回はさらにスケールがUPしたような気が…。そしてあの”狐目”さんの名前もついに登場!民俗学者としての復帰を匂わせつつ話しに絡んできます。これからどういう話になっていくのか気になります!
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シリーズ第3弾。短編3+中編1
論文の著者・式直男を訪れた那智・内藤・佐江。しかし、2日前に失踪したという。
このシリーズ、毎回楽しみにしています。
毎回、蓮丈先生からの出題に答えようとするんですけど、難しい限り。
表題は、最後の中編になりますが、中に出てくる論文と同じで序章といった模様。
あの絵師がそんな事が関わっているのか〜。
思わず画集を開かずにはいられません。比べなきゃ!
本作で、教務部「狐目」さんの本名も明かされます!
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第3弾。
三国君はどこまでヘタレ道を貫けるのかと言う点も注目してしまいます・・。
が、狐目の担当者がドンドン存在感を増して元研究者として相当優秀だったのだとはっきりわかりましたね
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チーム・蓮丈が形成されつつあるのが楽しい(笑)しかし女三人には尻に敷かれっぱなしだし、狐目相手には分が悪いし、負けっ放しだぞミクニ!ヒエラルキー最下層だ!
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表題作はそこ行くのかぁ…強引過ぎるしソコ民俗学じゃないよ、狐目さん…というかんじ。そも、写楽について考察してないのが反則だぁ!民俗学が描かれているようで意外と考古学チック。佐多ちゃんがミクニのお株を奪った! 那智先生にもっと文章に出て来て欲しいです。
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好きなシリーズ。
民俗学に興味を持つようになる本。
ただシリーズを通して同じ記述が多く飽きる面もある。
話はとてもよく出来ていて、先の展開が読めない。
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イマイチ乗り切れなかった・・・
なぜかと考えてみるに、今回那智先生が単独プレーで離れて残った弟子二人がメインだからだと思われる
三國クンも成長してると感じるけど、アシスタントの真由子ちゃんも頑張ってるけど!
でもやっぱ、那智先生が好きなんですよ!!
まぁ、それは置いといて話は那智先生がいないせいか推理物としての色合いが強い
民俗学の考察は少なくなってる・・・残念
表題作の「写楽・考」は力入ってますね〜
他シリーズの冬狐堂の人が出てた
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蓮丈那智シリーズ。相変わらず民俗学に関する考察も多く、読んで勉強になる作品。今回は別シリーズのあの人も登場! ……というか、最近の北森作品シリーズものは、ことごとくキャラがリンクしてるなあ。豪華で嬉しいけど。
この中では「憑代忌」が好き。もうどろどろで恐ろしい物語。事件そのものもそうだけど、三國の写真の謎が……あまりに怖いよなあ。さらにその行動がたいした「悪」として捉えられてはいないだろうところが、最大に怖いお話。
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相変わらずの中編連作民族ミステリー。
もう3作目だけど、まったく飽きない。
正直民俗学だけで語ってくれて全然かまわないほどの密度の濃さで、ミステリーなんかいらない。人死ななくていい。
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異端の民俗学者・蓮丈那智とその助手・内藤三国がフィールドワーク中に出会った事件を集めた短編集。
「憑代忌」「湖底祀」「棄神祭」「写楽・考」の4編収録。
ついに最終巻です。
そして、気になっていた狐目の彼の名前がついに出てきました。
それを見て、やっぱりこれが最後なのだなぁ、と寂しくなってしまいました。
大学に流布した都市伝説と憑代(よりしろ)の変換についての「憑代忌」
湖の底で発見された鳥居についての「湖底祀」
日本書紀に出てくる保食神(うけもちのかみ)と破壊される神についての「棄神祭」
式家に伝わるという絡繰箱と洋人画、そして仮想民俗学についての「写楽・考」
「憑代忌」の憑代の変換についてと「写楽・考」のラストにでてくる発想は面白かったです。
ただ、ところどころで読んだことがあるような気がしたのです。
「棄神祭」で出てくる御厨(みくりや)家と「写楽・考」に出てくる絡繰箱の正体から洋画家と絵師についてなど、なんとなく覚えがあるのですけど・・・。
ちょっともやもやしています。。。
でも全体的に、民俗学的には『Ⅱ』のほうが面白かったかなぁ。
しかしこれで最後なのですね。
長編が読んでみたかったなぁ。
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表題作、読んだことあるかも、と思ったけど、知らなかったな。どこかでタイトルを見たような。しかし写楽には謎が多い、って何かで読んだよな。今回、ついに狐目の人が高杉と名前出しした。このシリーズ、まだ続いてるのかな。・・・って何気に検索かけたら、なんと2010年1月に作者が亡くなっていたなんて!結構好きな人だったのに、全然知らなかった!超ショック!いやー、もう新作が読めないなんて。蓮杖那智シリーズ、まだ続きそうでもあったのに。いやー、ほんとびっくり。ショック。いろんなことが飛んだ。この本の感想とか。北森鴻、再読しよう。